ホーム 00移住 移住って、遠くに行く事だと思ってませんか? 県内移住という新しい選択肢。

移住って、遠くに行く事だと思ってませんか? 県内移住という新しい選択肢。

昨年、OTONAMIE にて募集していた
移住者と地域をつなぐ人づくり講座
 Local School Field Mie
 ローカル スクール フィールド ミエ」に参加させて頂きました。

その時の募集記事はこちら(昨年の記事で、募集は終了してます。)

参加する前は「何が学べるんやろ?」って思いながら、初めての人、場所が苦手なのでどきどきしてました。

県内の色んな地域づくりに取り組む方からのお話や、
現地での体験等を踏まえてディスカッションを行い、
地域づくりのノウハウを習得するとともに、つながりを構築する。


実際に行って見てみよう!
自分にできること、考えてみよう!

そんな仲間といっしょに地域づくりをたのしく学ぼう!
という内容の講座で、
私は実践編の全5回に参加させていただきました。

ゆるゆるとみんな興味のあるとこへ。街を散策。

 

参加しようと思ったキッカケは、
今住んでいる主に伊勢市中心部にもたくさんの空き家があり、この空き家、住むことも引き継ぐことも活用することもされずに朽ち果てて行くのか・・?
市内に空き家はあるのに、家を建てたい人の土地がなくて次の世代(主に結婚した後の20代後半〜30代の)が近隣の街に出て行く。
これって悪循環だよなー。と思ったことです。

 

空き家バンクってどうなってるの?
市はどんな対策してるの?
伊勢市以外の、もっと人口の少なくなっている市町村はどんな対策をとっているの?
そもそも、街づくりや地域活性化をしてる人は、どうやって行政と連携してるの?と、わからない事だらけ。

「移住、空き家、地域活性化、地元活用」などのキーワードと「実際の現場」の繋がりが私は全くわからなかったのです。

 

この講座では、いきなりの漁船に乗る体験と街並み散策をした鳥羽市に始まり、南伊勢町でも漁船にのり(笑)街全体を家と見立てて空き家の活用を学びました。
地域の資源を活用しながら、移住者がじわじわ増えている多気町丹生と、今観光に力を入れてることも知らなかった地元の明和町。
クリエイターが中心となり空き家の対策やリフォームの相談を受けたり、観光案内所のスタッフがもはや街の有名人という大台町。
最後は桑名市で、今回のスクールの振り返りをして半年間の講座終了!というものでした。

とっても面白い経験をさせて頂き、自分の見解が広がったことは言うまでもありません。
全ての回の感想を書きはじめると長くなるので、割愛させていただきますが・・。

鳥羽にて、漁船の上から牡蠣の養殖イカダを見せていただいたり。

 

今回これに参加させて頂き、わかったことは「答えは1つじゃない」ということでした。

移住してきて、これじゃまずい。と思って動いた方もいたし、
動き始めていたら行政から何かしらの業務委託されたという方もいたし、
行政側の視点から入り、今民間で活動してる方もいました。

大台町から見る、清流宮川。

 

移住や空き家というキーワードが以前よりも身近になってきた私の近くに、実は移住を経験された方がいました。
伊勢市内から、多気町丹生に移住された方が。

県外の方が落ち着いた土地に住みたいと移住を検討したり、そろそろ親の近くに・・と、Uターンで移住を考える人が多いイメージでしたが、三重県内の移住ってあまり聞いた事がなかった私。

県内で移住を決めたキッカケや、苦労したこと、実際に生活してみてどうなのか、今なら聞けるかも!と思い、今回取材をお願いしました。

下司恭子さん。

コロナ禍になってすぐ、何か始めようと音楽に手を出した私。
音楽全く初心者の私に根気よくピアノを教えてくれた、ピアノの先生で、ピアニストとして、ライブやホテルでのラウンジ演奏など活躍されています。

伊勢市で生まれ育ち、進学と共に名古屋へ。
ワーキングホリデーでオーストラリアで生活したり、家族の都合でバリ島で生活した経験も。
帰国後実家のある伊勢で暮らすも、老後まで住みたい場所はどこかな・・と考え、移住先を探し始めたそうです。

 

・移住先は元々、多気町丹生地区と決めてたのですか?

下司さん:「全然そんな事はなく、横輪の桜を見に行った時に【あ、私こんな山の近くに住む!】って直感的に思ったんさ。
玉城町、多気町、度会町、松阪市・・辺りで探し始めて、子どもの志望高が決まってくるにつれエリアが絞られてきて、以前丹生のあじさい祭りに来た時にすごく土地の印象が良くて丹生で探し始めたの。」

 

結構ざっくりしている・・。
というのが私の印象。笑

そして、移住先を丹生に決めた下司さんが、先に丹生に移住した人から言われた言葉。

「とにかく足しげく丹生に通いなさい。」

その土地の空気感や、歩いて生の情報を得にいく事が大切だと。

 

だから下司さんは何もなくても丹生に通い、歩きまわる時間がない時は金川珈琲(2020年にオープン。東京から丹生に移住してきた方が開いたお店)でコーヒーを飲んで帰るだけと、いうことも多かったそうです。

そして、ある日「区長さん」という存在を知る。

その日も金川珈琲でコーヒーでほっと一息ついた後、その近辺を歩いていたそうです。
そして出逢った人に「この辺りに住みたくて空き家を探している・・」と話すと、「そんなら区長さんとこ行きない」と言われたそう。

そして丹生区役所に行き、無事区長さんと対面。

下司さん:「とにかく『区長さん』の存在を知ってからは、めっちゃ早かったの!
区長さんはその地区のことをよく知ってて、どこが空き家になっているかも把握していたから、条件を話して、そこから家が決まるまではあっという間だった!」

今もよく行くという金川珈琲さん。

 

「区長さん」・・って、私は初めて聞く呼び方だったのですが、要はその地域のことをよく知っている、自治会町さんです。
(渋谷区とかの区長さんとは違うんです。)
その町によって独特の呼び方があると思いますが、丹生では「区」という呼び方で、その地域に住む時に「区費」というお金を年間で払う必要があったり、であい(お寺や公園の掃除など、寄り合って地域のことをすること)があったりするそうです。

ちなみに私が育った明和町の団地でも公園の草抜きをしたり、自治会費も払ってましたし、伊勢市ではお木曳に向けて積立したり、粗大ゴミの回収をしてくれたり。
アパートやマンションだとその呼び方は共益費になると思いますが、要はその地域を守り良くしていく為に、自分達でお金を出し合ってく仕組みや組織の名称が違うってことだと思いました。

地域によって呼び方が違うから、最初はちょっと戸惑うかもしれませんが、移住を考えてる方は、最初にこの辺りのことも知っておくと不安が軽減されるかも。

 

 

・移住先が決まってからの苦労はありましたか?

下司さん:「土地を購入する時の手続きがめちゃくちゃ面倒くさかった。
色んな場所に行って、話を聞いてなんとか終わらせたけど、全部終わった今でも、うまく説明はできないかも。笑
あとは、家が広い上に片付けがされてない状態で買ったので、人の生活が丸ごと残ってた家の片付けが大変でした。
友達に来てもらったり、色んな人に手伝ってもらいました。」

使い物にならない大量の畳やゴミたち。

 

そうそう、私も家が決まった後のこの片付け中のタイミングで、下司さんの家の片付けを手伝いに行ってました。
1年ちょっと前くらい。

作業後のお茶タイム。右側、めっちゃ目をつぶってるのが私です。

 

床は浮いてるし、白アリもきてるし、階段はぎしぎしと音をたてて、畳も使えない古さで・・ここだけの話、本当に住めるの!?って思いました。
しかも、業者さんを入れずに知り合いと一緒に自力でリフォームしてるというから、ますます心配になります。

でも、ゴミを捨て、床を貼ったり、壁を塗ったり、砂利を入れて庭の整備をしたりして、目標をしていた、息子さんの高校入学のタイミングの1週間ほど前にはシステムキッチンが入り、なんとか住めるまでにリフォームを完了させるというスゴ技。

 

そこまでしてこの場所が良かった理由のひとつに、「はなれ」があったこと、があるそうです。

ピアノの先生である下司さんは、住む場所の他にピアノ教室にできる場所もほしくて、それが叶う条件はこの場所以外になかったそう。
どんなにリフォームが大変でも「ここに住みたい!」という思いの強さが、周りを動かすまでの行動力になっていたのかもしれません。

 

色々な工事を終え、今は猫ちゃんも快適そうに暮らしている。

 

下司さんのピアノ教室【フレンドリーPIANO】は現在3歳〜72歳までの幅広い年齢の方が通っています。

クラシックピアノだけじゃなく、JAZZやポピュラーミュージック、コードも学べるのが特徴。
コンサートも定期的に開催しているので、本番を経験すると度胸もつき、拍手をもらえてモチベーションがあがる、そんなピアノ教室です。
月謝制でなくワンレッスン制もあるので、自分のスケジュールのタイミングでレッスンを入れられるのが大人の方でも通いやすいと好評だそうです。
(レッスンの問い合わせはフレンドリーPIANOのInstagramか公式ラインからどうぞ!)

 

・丹生で暮らしてみて、どんな変化を感じましたか?

下司さん:「たまたまかもしれないけど、ここの地域の人たちは穏やかで過干渉じゃないの。
移住してきたからって白い目でみる人もいない。
息子も友達の家族に一緒にスキーに連れて行ってもらったり、家族ぐるみのお付き合いもあるけど、面倒臭くない。その距離感がちょうど良くて、私には居心地がいいかな。
あ、でも冬はめちゃくちゃ寒かった。初めてスタッドレスタイヤにしたの!
あとは、新しい生徒さんと出逢えたのも、変化のひとつかな」

田舎あるある。ご近所さんからのお裾分けが大ボリューム。

丹生で暮らしはじめてから、ちょうど1年。
ご近所さんとの関係が深まったり、季節ごとに変わる土地の香りを楽しんだり、伊勢市内では見られなかったような花や虫がいたり、色んな変化を楽しんでいる下司さん。

一方で、多少時間はかかるけれど行きなれた美容院やご飯屋さん、ピアニストとしての仕事先は今まで通りの場所に行けるし、会いたい時に友達にも会える距離。
1から全部の新しい関係を作るわけではないから、大きくストレスがかかることも少なかったそうです。

県内移住は新しい選択肢のひとつかもしれない。と、今回お話を聞いて思った私です。
暖かくなってきたし、気になる土地があれば、一度足を運んでみるのもいいかもしれません。

 

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