独身時代は、紅白歌合戦と年越しそば。ゆく年くる年を見ながら、おごそかに新年を迎える。そんな年越しだった。
結婚して、ブラジル人の夫と迎える年越しは、毎年賑やかだ。親戚の家に料理を持ち寄り、庭ではシュラスコ。焼きたてのお肉を暖かいリビングに運んでくれる。食べて飲んで、いよいよカウントダウン。「Feliz Ano Novo!」(フェリスアノノヴォ!※あけましておめでとう!)と同時にシャンパンを開ける。
夫は日系ブラジル人3世。祖父母が日本人移民であり、日本文化のバックグラウンドを持つ。それに甘えて普段は日本食、食文化の違いで特に困ったことはない。目玉焼きはしっかり両面焼き(生N G。生卵を食べるのは日本人とロッキーだけだと言っている)、苦手な納豆を食卓に出さないくらい。
そうだ、正月はブラジル料理を作ろう。それまでに一度、作ってみなければ。ということで、ブラジルの食材が揃うお店に行ってみる事にした。
イオン津南の前にある、多国籍なお店へ。
個人的な意見だが、日本人が1人で入るにはちょっと勇気がいるこのお店。Plasnet Foods(プラスネットフーズ)
5年ほど前、ブラジルを訪れた時、夫無しで薬局に行った。鉄分のサプリメントを買う為だった。レジで、恥ずかしすぎるジャスチャーを交えながら、欲しいサプリを訴えるもなかなか伝わらない。いつの間にか、可哀想な日本人を助けようと、薬局の人や心優しいお客さんに囲まれてしまった思い出がある。
ブラジルの方は、共感力がすごく高い気がする。おかげさまで、サプリは無事に買えたのだが、そんな思い出がよみがえり、なんとなく1人ではお店に入りづらい。あのジェスチャータイム再来か。いや、今回はブラジルのプロ(夫)が隣にいる。
「Boa noite!」(ボアノイチ!)
店員さんがこんばんわとポルトガル語で挨拶してくれたので、ちょっとドキドキ。見慣れない商品が、所狭しと並んでいる。
明るい店内、お客さんと楽しそうに会話を交わす店員さん。ちょっとホッとした。クリスマスシーズンに夫が買ってきてくれる「パネトーネ」がずらり。
私:すみません。トルタ・デ・フランゴ(鶏肉のタルト)を作りたいんですけど、何が必要ですか?
店員さん:ああ、トルタ。それならこれですよ。
まずはイタリアンパセリとオリーブ。叔母さんが使っているのを見たことがある。とゆうか助かった、日本語がめっちゃ上手な店員さんでした!
親切に対応してくれた店員さんによると、私が作ろうとしているトルタは、家庭によって作り方や材料が違うのだとか。美味しく作ろうと思うと、結構手間がかかるとのこと。
うん、やっぱり助けてもらおう。困った時の叔母さん。他力本願です。必要な材料を購入し、店を出ると…。外でシュラスコやってる!
このお店では色んな部位のお肉が買える。しかも、焼いてくれるらしい。これは寒い時期にもってこいのサービス!
何でも気さくに教えてくれるプラスネットフーズ。店を出る時、「ワールドカップ、日本の試合もみるね!」そう言って手を振ってくれた店員さん。これからは1人でも来れそう。
Vamos fazer uma torta!叔母さんと、トルタ作る!
叔母さん、本日はトルタ作り、よろしくお願いします!
まず分量を計っていく。小麦粉は計量カップではなく普通のティーカップで計り、さじはスプーンでO K!こうゆうところが好きですブラジル。
鶏胸肉を圧力鍋で茹でたら…「はい、鍋振って!」と叔母さん。
すごい、お肉が勝手にほぐれている!
生地ができたらフォームに流し込んで180度で40分。
おお、これがトルタ・デ・フランゴ。ブラジルのパーティー料理だ。
味の染みた柔らかな鶏肉、生地はふわっふわ。時々、オリーブのアクセント!「うんま!次はお母さん1人で作れる?」と息子。
なんとなく、サッカーの話題に話をそらしてみた。サッカーのことをよく知らない私だが、今、激アツな話題があることを知っている。
親戚のほとんどはパウリスタ(サンパウロ出身)で、地元の名門クラブ、コリンチャンスが大好き。今、彼らがザワついているのは「これがコリンチャンスです。」と日本語で書かれたユニフォームについて。公式ユニフォームってことは、あれ、選手も着てるの?
このユニフォームの賛否、話し出したらきりがなさそう。
冬本番、暖かくしてお過ごしください。Feliz Natal e um Próspero Ano Novo! メリークリスマス、良いお年を!
Plasnet Foods(プラスネットフーズ)
三重県津市雲出本郷町1800-1
059-991-0410
読んで頂き、ありがとうございます。三重県松阪市の山間部、70もの橋が架かる香肌峡在住。地元の写真部としても活動しており、香肌峡を旅するように暮らしています。フォトスポットやクセになるディープなお店をご紹介したいです。