ホーム 02【遊びに行く】 河崎まちあるきその2。雨の日も、上をむいて歩こう。

河崎まちあるきその2。雨の日も、上をむいて歩こう。

こんにちは!毎日暑いですね~。

こんにちは=暑いですね。と、まるで同義語にしてしまえそうなほど今年はよくこの言葉を使います。この記事が公開される頃には、少し涼しくなっているといいな!

前回、伊勢河崎商人館で西山清美さんにお話を聞かせていただき河崎商人館の中を色々と紹介しました→河崎まちあるき、その1。まずは伊勢河崎商人館へ。

今回は商人館から一歩外に出て、蔵や瓦の意匠のことを。

百聞は一見にしかず。たくさんの写真とともに、お送りします!

まずは蔵の色にご注目。

蔵の壁って白いイメージないですか?

河崎の蔵は黒。重厚感があって、凛々しくてかっこいい。

蔵をより長持ちさせる為に外壁を木でカバーする、これを「刻み囲い」という。

このあたりは太平洋側で雨も少なくない。土壁を守る為、木を横にはり壁に雨がつたいにくくなっている。

そして普通だと白木のままだが、河崎の蔵は煤(すす)と魚のあぶらをまぜた塗料を塗っている。煤で防虫、あぶらで水を弾くから、より長持ちするのだそう!なんとも合理的。

河崎の人はこれを「ぬれがらす」と言うのだそう。(河崎初心者の私は初めて知りましたよ・・)

もちろん、黒く塗るのはコストがかかる・・からこそ、この辺りの商家の豊かさが垣間見れる。

そしてこの刻み囲いのすごいところは、木を取り外すことができる所!

傷んだ場所のみ新しくしたり、火事になった時は、くさびを抜き木を外し、火が燃えうつらないようにもする役目も。

火事の時は、刻み囲いを取り外す人、蔵の扉を閉める人など役割が決まってたんだとか。蔵の扉はとても重い。それをぴっちりと締め、その隙間になんと味噌(!)や泥をぬって、火の侵入を塞いだそう。おもしろい~!

 

そのまま目線を上に、次は瓦にご注目。

正面に見えるのは鬼瓦。鬼瓦は、文字通り鬼の顔の瓦もあれば家紋を入れたりする場合も。

この蔵の家紋は違い鷹の羽という家紋。

それをこの蔵を建てる明治の時代にここまでシンプルに、今でいうとロゴマークのようにデザイン化してしまったそう!

これを教えてもらってから、近くのお寺や蔵を見るたび私の目線は瓦にご注目。今まで何気なく見ていたお寺の屋根に、大きな鬼の顔の瓦がついているのを見つけた時は、思わずニヤリ。としてしまいました。

 

そのまま目線を横にずらすと、瓦の隅には河崎のまち独特の「隅蓋」と呼ばれる飾り瓦。

 

河崎商人館の門の近くにある隅蓋は船のモチーフ。

これは、数年前に地元小学生に隅蓋のデザインを募集して、新たに作ったそうです。実際に勢田川を船でのぼる体験が楽しかったから、このデザインなんだとか。

川の近くだったからか、波や鯉、カエルなど水にまつわるモチーフが多く、他にも桃や丸籠など、縁起の良いモチーフが多い。

河崎商人館の蔵の中にはたくさんの隅蓋の写真と実物の展示も。

 

河崎商人館の敷地内には、他の蔵を取り壊した時の瓦がいくつも残っていました。

近くで見るととても大きい!でも造りがとても細かくて繊細。職人さんの技術が光っています。

こちらは、隅蓋の型なのか・・とても古いものなのか・・なんかほっこりするお顔。

 

 

さて、次は目線を玄関扉より少し高くして。

皆様の家には注連縄(しめなわ)ってかかってますか?

伊勢は昔から多くの家の玄関先に、1年中しめ縄がかかっています。

河崎商人館の入り口にもごらんの通り。

そのしめ縄にかかれている木札には、「笑門」とか「蘇民将来子孫家門」など。商売をしている家だったら「千客万来」などと書かれたものも。

ですが・・!私はここでみたことないしめ縄に出会ったのです。

 

 

(ムズカシクテヨメナイヨ・・・。)

 

私の心の声に気づいたかのように、西山さんが解説してくれました。

「久那戸之神」とは久那戸(くなと)、「来な門」来るな、せきとめる。という意味があるそう。

集落の境で邪霊や疫神などの侵入を遮る神と言われている。

その横に書いてあるのも神様の名前で、八衢比古命(ヤチマタヒコノミコト)八衢比売命(ヤチマタヒメノミコト)と読むそうです。

八衢とはいろんな方向に分岐した道のある街のこと。こちらの神様も、街に外部から侵入しようとする邪神や魔物を防御する神だそう。

三神とも近くにある神社、河邊七種神社のご祭神なんだそうです。

 

こちらは1702年の河崎の地図。街の周りに川より細い水掘りがあるのがわかる。
こちらは河崎商人館ができる際に復元した惣門。

江戸時代の河崎は街を囲むように掘りがあり、その四方に門があったそうです。

夜になるとその門を閉め、悪さをするような人が入ってこないようにし、自分たちで街を守っていたのだとか。

しめ縄の木札の違いは、この街をみんなで守りたいという思いが反映されたものだったんですね!

ちなみに、河崎商人館は違いをわかりやすく見られるように、前のギャラリーとカフェにそれぞれ違う木札のしめ縄が飾れれていました。

 

河崎の歴史や河崎商人館のこと、たくさんのお話をしてくださった西山さんに、西山さん自身が感じる河崎の魅力を伺うと・・「うーん、雨の日かなあ」と。え、意外!

雨の日に、この黒壁の蔵が湿気をおびて、しっとりとした雰囲気になるのがとても良い。雨の日も悪くないなー。と思うよ。と、教えてくださいました。たしかに、さんさんと太陽の日差しを浴びているよりも、しっくりくる。

あとは満月に近い日の夜、見上げた空に蔵の白壁のラインとお月様が勢田川に映る様子も素敵だそう。

いろんな季節や時間帯、長くこの場所に居るからこそ、気づく良さかもしれません。

 

ぬれがらすの黒壁、職人の息吹を感じる鬼瓦に隅蓋、街を大切に想う気持ちのしめ縄。

河崎をあるく時は、いつもより目線を上げておくと楽しそう。

くれぐれも、つまづかないようご注意を。

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伊勢河崎商人館(NPO法人伊勢河崎まちづくり衆)

HPはこちら→http://www.isekawasaki.jp

住 所/ 〒516-0009 三重県伊勢市河崎2丁目25番32号

電話番号/ 0596-22-4810

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