香肌峡が有名な松阪市飯南地区。自然豊かな山間の町にいわゆる「映えスポット」がたくさんあると聞いてびっくり。飯南と言えば、広大な自然を堪能する場所だと思っていました。
お話を聞くと、歴史あるお寺や道の駅、巨大なアートにおしゃれなカフェなど、日常を少し離れてリフレッシュできそうなフレーズばかり。
退屈な日常にちょっとアクセントがほしい、そんな時にぴったりのショートトリップです。
思いついたらすぐ行ける、近場で楽しむ「非日常」をご紹介します。
夫婦の滝に癒される「大石不動院」展望台もおすすめ
まず最初に訪れたのは、「大石不動院」。国道166号線沿いに建つ、歴史あるお寺です。
建立は弘仁3年(西暦812年)、なんと1210年も前だそう。
今回、普段は入ることができない本堂の中を特別に見せて頂きました。
奥に祀られているのが、不動明王。
弘法大師がこの地を訪れた際に造ったと言われる石仏です。
普段は本堂の外側から参拝できるそうです。
ちらりとみえる不動さん。よく目を凝らして見てくださいね。
年次行事の際に使われる護摩行のお道具も見せていただきました。
お行儀よく並んだ小さな器の中に、護摩行で使う、胡麻やお米などの供物が入っています。
「お料理みたいですね」と思わず小学生のようなことを口走ってしまったのですが、住職さんは「そうですねぇ」とおだやかな笑顔を向けてくださいました。やさしい。
国道から見える県内唯一の滝「不動滝」
本堂を出ると、水音が。
本堂の次に案内して頂いたのは「不動滝」通称「夫婦滝」と呼ばれる二股に分かれる滝。元々は一本の滝だった不動滝。420年前に本堂を建立した際に当時の人々の手によって、二本に分けられたのだとか。
国道から見える滝は県内ではここだけ。写真を撮りに来られる方も多いいわゆる「映えスポット」です。
こちらは滝のそばにあるむくの木。
昔、顔にこぶができてしまった人が、この木に「コブが取れるように」とお祈りしたところコブが取れたという言い伝えが。そんなご利益にあやかりに訪れる人もいるそうです。
その他にも、滝に打たれて頑固な蓄膿が治った人がいたりと、滝にまつわる言い伝えがたくさん。
なんだかお話を聞くほどパワーを頂けそうな気持になりました。
申し込みをすれば滝修行もさせていただけるそうなので、ここぞというときには打たれに来たいと思います。あやかりたい。
夏場は子どもたちが水遊びに来ることも多いそうです。
滝のそばには小さな東屋もあるので、涼を楽しんでひと休みなんて休日もいいですね。
絶景に臨む展望台
夫婦滝を堪能した後は、展望台があるということで、石段をてくてくと。
上りきると弘法大師坐像と薬師如来坐像をお祀りした大師堂が。展望台の前にご挨拶に立ち寄ります。
敷地がとても広いので、春や秋は散策も気持ちよさそうです。
敷地内には他にも太宰府天満宮のご神体の一部を拝領した天満宮など、お社がいくつか点在しています。自然を満喫しながら参拝をして、ぶらぶらと頂上を目指します。
見事な景色!勾配が思ったよりきつく、少し息が上がりましたがこの景色に疲れを忘れました。
香肌峡が見下ろせる大絶景。
ベンチに座ってちょっと休憩。
なんだかとっても遠い所へ来たような、非日常のひとときでした。
お茶うどんを召し上がれ!道の駅「茶倉駅」
お昼は道の駅「茶倉駅」で頂きました。
オリジナルメニューがたくさん並ぶ中、お茶が練り込まれているという、お茶うどんを頂きました。
飯南は県内でも有数のお茶の産地。周辺には茶畑が多く見られます。
お得な「お茶うどんセット」これだけついて、850円です。みんなが大好きな天ぷらもついています。
つるんとしたのど越しで、コシのある美味しいおうどんでした。甘く煮しめた椎茸が肉厚でいいアクセントに。
後味にこうばしいお茶の香りがとってもさわやか。
その他にも、しし煮込みうどんや、味噌カツ丼など、ボリュームあるメニューがたくさん。
平日限定10食というしし煮込みうどん。地元の猟師さんが獲ったいのしし肉が使われることが多いのだとか。
飯南町の老舗旅館「待月」さんとのコラボレーションメニューとあって、スタッフ自慢のメニューのひとつ。
こちらは味噌カツ丼。ボリューム自慢の800円!お得!
こちらも「待月」さんのお味噌を使用しています。
他にも、ちょっとしたお土産や、地元で採れたお野菜の販売もあるので、ふらりと立ち寄ってみてくださいね。
地域の食べ物は見ているだけでわくわくします。旅の醍醐味です。
手作り感あふれる巨大モニュメント!渾身の稲わらアート
飯南下仁柿地区、道の駅「茶倉駅」から美杉方面へ10分ほど車を走らせると、のどかな山間の田園風景の中に突如現れる巨大ななにか。
なにかがこちらを見て微笑んでる。
なんなの。
見上げるほどの大きな体で満面の笑みを浮かべるのは、地域の方が造った「稲わらの巨大モニュメント」。平成28年から始まった「稲わらアート」は毎年1月頃に出現し、5月頃まで飾られているのだとか。
例年モチーフを変えて制作される「稲わらの巨大モニュメント」の令和4年のモチーフは「布袋尊」。
高さ6m、胴回りはまさかの11mというから驚き。
せっかく無病息災の立て札もあるので、新型ウィルスが撲滅されるようにお祈りさせていただきました。布袋さん、よろしくね。
空気が澄んだ里山のど真ん中で異彩を放つ、巨大オブジェはなかなか見ごたえがありました。
稲わらの巨大モニュメントの手前には、趣深い看板が。黄色に大きな赤色の文字。視認性がとても高いですね。
豊かな香りの本格派コーヒーが愉しめる「みなまた珈琲」
美味しいコーヒーを頂けるとのことで「稲わらの巨大モニュメント」をさらに美杉方面へ車で6分ほど。
こんな山奥に、ほんとうにあるの?と思うような細い道を登っていくと、ぽつんと現れる一軒のお店。
旅の最後に訪れたのは「みなまた珈琲」。本格的なコーヒーが楽しめるとあり、口コミで人気が広がっています。
小さなお店ですが、店内には焙煎機もある超本格派。
オーナーが海外のコーヒー豆の産地でコーヒー産業に関わっていたとあって、豆の知識はとっても豊富です。
おススメの珈琲を訊ねると、その日とっておきの一杯を入れてくださいました。
毎日、豆の状態を産地ごとに把握した上でお湯の温度も調節しているのだとか。
自家製のパウンドケーキと一緒に頂きました。
すっきりとした飲み心地の、透明感のあるコーヒーです。まるでアロマを楽しむような豊かな香りにうっとり。
軽い口当たりのパウンドケーキがさらりとしたコーヒーにとてもよく合います。
店名の由来は「みんなまた来てね」という店主の思いから。
店舗の前にはドッグランがあり、また、近隣の遊歩道の整備などもコツコツと進めているそう。珈琲だけではなく、いろんな楽しみを見つけられそうです。
珈琲を心から楽しむ店主親子の様子に元気をたくさんいただき、素敵な旅の締めくくりになりました。
いつもの生活を少し離れて「非日常」を
松阪市街地から車で40分ほどで行くことができる飯南地区。自然豊かでアウトドアでは有名ですが、こんなふうにちょっとしたスポットを巡る旅も、とても充実しているなと感じました。
生活圏を少し離れたところに目的地を決めて、ワクワクしながらドライブする時間も素敵です。県外の往来が難しい昨今、近場に目線をぐっと近づけて非日常へのショートトリップを楽しんでみて下さいね。
大石不動院
住所:松阪市大石町4番地
TEL:0598-34-0180
HP:http://www.mctv.ne.jp/~hudouinn/index.html
道の駅「茶倉駅」
住所:松阪市飯南町粥見452-1
TEL:0598-32-2555
HP:https://chakra-village.jp/
仁柿巨大稲わらのモニュメント
住所:三重県松阪市飯南町下仁柿樋山口バス停横
TEL: 0598-32-2511
みなまた珈琲
住所:松阪市飯南町上仁柿3046
8歳、6歳、4歳の3児の母です。ライターをしています。