ホーム 04【知る】 伊勢志摩サミットで三重の何が変わるのか? Vol.1 高垣和郎さん

伊勢志摩サミットで三重の何が変わるのか? Vol.1 高垣和郎さん

伊勢志摩サミット決定で盛り上がる三重県。経済効果は500億円とも試算されています。
「伊勢志摩以外の市町村にどう影響するのだろう」「サミットが終わって三重県に何が残るのだろう」素朴な疑問が浮かんできました。そこで地域資源コーディネーターの高垣和郎さんにインタビューをさせて頂こうと思い、まずは電話でアポイントを取りました。

村山「サミットが決まって、伊勢志摩以外への影響をお聞かせ願いたいのですが…」
高垣さん「私じゃないでしょ、それ聞く相手は(笑)。私でよければ良いけど。」

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高垣和郎さん:地域資源活用コーディネーター(津市産業振興センター)、農商工連携コーディネーター(財団法人三重県産業支援センター)

村山「今日はお忙しい中、インタビューにご対応頂きありがとうございます。地域資源活用コーディネーターのプロフェッショナルとして、三重県でサミットが決まった意義について聞かせください。」
高垣さん「今回のサミットが三重で行われるという意義は、地方創生と言う大きな課題がある中、三重県が自ら立候補して、三重県に決まったと言うこと。まず諸外国では考えられへんことやんな。さてそこで、このサミットに対して私達自らが何かを仕掛けていかなければ何も起こらない、つまり自らが盛り上げ、諸外国の方々をもてなすことができるのか、それともそっぽを向いてしまうのか、その辺りは日本中から注目されとると思うよ。」
村山「三重県で働く方々で、何かを仕掛けようとしている人にとって、サミットとは何なのでしょうか。」
高垣さん「まず、サミットとは世界的な政治のセレモニーです。従って“オバマ大統領が食べたあの料理”みたいな事は少し違うし難しいと思う。日本文化である日本酒などはありえるかもしれへんけど、三重産ではなく日本産としてやわな。サミットは世界の中の日本であり、三重の物を使ってくれるかどうかは別の話やんな。」

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村山「つまり、日本代表の世界で通用する三重の物でなきゃあかんと言うことですね。ではサミットに向けてどのような視点を持つことが大切でしょうか」
高垣さん「サミットまで時間がないので、今から世界レベルの商品をつくるのは難しいよね。そこで、世界レベルってどういうもんなんやろ、という視点を持つ良い機会がサミットやと思います。」
村山「地方の商品が世界へ出て行くためには、どのようなステップが必要でしょうか。」
高垣さん「地域の良い商品が、世界レベルではないよね。 “これはええもんや!おいしいんや!” のなぜ良い物なのかを分析することがまず最初ですよね。例えば、三重県が誇る小女子。一部の水産加工会社は上手に商品化されとるけど、東京では愛知県の小女子が有名やわ。三重県と愛知県の小女子の違いってわかる?三重県の方が絶対美味しいんやで!」
nari_bow「数値的な違いですか?」
高垣さん「数値的にも調べれば違いがデータで出てくると思うけど、黒潮やんか。黒潮は南から熊野灘を通って伊勢湾を半時計回りに潮が回ってくるわな。黒潮で上ってくる水というのはスカスカの水やさ。で、木曽三川の森から栄養を含んだ川の水が、伊勢湾の三重県側に栄養を注ぎ込んでくれるわけさ。小女子はカタクチイワシやんか。どこで生まれるか知らんけど、伊勢湾に入ってきて愛知県側を泳いでくるわな。そのまま腹を空かせたまま三重県側に入ってきて、栄養をいっぱい摂って、プクプクの脂っけのある良い小女子になる。だから三重の小女子の方が絶対美味しいはずやん。」
村山・nari_bow「ほぉ〜、なるほど。」
高垣さん「って言うたら、めっちゃ美味しく感じるやんか(笑)。“同じ伊勢湾の小女子でも愛知側と三重側ではちがうんや。我々は元々美味しい物を食べてたんや” ってね。だから千年の食文化のある京都とか大阪の人が評価してくれるんです。」
高垣さん「このような “なぜ美味しい” のか、ストーリーを語ってくれな、わからんのさ。買う側は。そう言うのをキチンと発進するには、サミットを通じて世界レベルはどうやってストーリーを発進しているか、という視点を持つ良い機会やと思います。」

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村山「サミットで急に地方の商品を世界に売り込むことは厳しそうですね。では今回のサミットで世界レベルを知るという経験を経て、目指すべき所はどこなんでしょうか。」
高垣さん「サミットで学んだことが活かせるのは2020年のオリンピックさ。我々が目指すのはそこさ。世界中から来たオリンピック選手が “日本ってあれが良かった!これが良かった!” って自国で広げてくれるんやで(笑)。そして世界中から観光客が来る。」
村山「2020年に世界レベルを目指す。その為にサミットで世界レベルを学べる。世界レベルを目指すことに他に意義はありますか。」
高垣さん「日本はこれからどんどん人口が減っていくよね。食べる・家を建てる・遊ぶという若者層が減っていって、高齢者が増える。消費してくれる国ではなくなってくるわけさ。でも日本は物を作って生き残っていかなあかん国やから、今までは日本で作って日本で消費すれば商売は成立してたけど、これからは日本国内に買ってくれる人が減るんやから、地域の商品が事業として生き残って行こうとすると、自ずと海外に目線を置かざるを得やんくなるよね。そう言った目線で、もう一度自社の事業を棚卸しをする必要があります。今まで日本では売れたけど、世界市場で売るにはどうしから良いか、という視点に置き換えなあかん。ターニングポイントやと思う。」
村山「その辺りがサミットが終わって三重県に残る何かですね。」
高垣さん「来年の今頃 “サミット来たけど何もなかったな” ではなくて、そもそもサミットは国の事業なのだから、自分たちで “サミット来たからこんな事が学べた” とならなくては!サミットを通じて世界レベルを学んで、今まで日本人が見てきたヨーロッパに日本がなれるかどうかさ。その意識改革のきっかけになればと思います。」

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三重の地域資源を掘り起こして都市部での販路拡大、また県内外を始め海外にもパイプを持つ地域コーディネーターのプロフェッショナル高垣さんに、サミットを通じて将来の地域の商品の行く道まで語っていただいたことは、サミットへの姿勢をどうすれば良いのか戸惑っている、私を含め多くの方々の参考になったのではないかなと感じました。

お忙しい中、また立場上難しい質問へお応えいただいた高垣さんを始め津市産業振興センターの皆様、本当にありがとうございました。

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