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時折、心に出刃包丁を。

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松阪市西部に位置する香肌峡は、香肌峡県立自然公園にも指定されており、四季折々の風景を楽しむことができます。紅葉で賑わっていた香肌峡に、静かな冬がきました。

香肌峡の秋。この景色がとても恋しい!
飯南高校のハナノキ

「出刃包丁、作るの見てく?」そう言ってみせてくれたのは、松阪市飯南町下仁柿にある鍛冶屋、鍛冶安大徳さんです。

柔らかな雰囲気で「見てく?」と問いかけてくれたのは幻だったのかと思うほど、ひとたび作業が始まれば、否応なく伝わってくる職人の圧倒的な熱量と、ピンと張り詰めた空気。撮り損ねてはいけないと、カメラを持つ手に力が入ります。(力みすぎて、大半がブレてしまいました。)

鉄に刃の部分となる鋼を貼り付け、また炉の中へ。

 

炉の中から恐ろしいほど赤くなった鉄を取り出し、金鎚で的確に叩いていきます。それを幾度も繰り返すことで、鉄は徐々にかたちを帯びていきます。

これは古くからある「自由鍛造」という技法で、1本の包丁が完成するまで、およそ1週間から10日かかるそうです。それでも納得のいく包丁ができなければ、一から作り直すという職人魂。型にはめて大量生産する技法もあることから、自由鍛造というやり方は一見、時代錯誤のようにも見えるのですが、「効率を重んじる世の中に物申す!」とでもいうように、大徳さんの作るものには、消えることのない職人の情熱が込められており、その情熱が使う人を魅了しているのです。

初めて工房での作業を見て感じたのは、なんだか私も金鎚でど突かれたような感覚でした。普段は、感情の振り子が振れ過ぎないように生活を営んでいることが多い私ですが、その振り子がぶんぶんと大きく振れたような、あの感じ。どう表現すれば良いのかわからないのですが、こんな山奥でとんでもない人に出会ってしまったという、胸熱な余韻でよろけながら、工房を後にしたのでした。

 

時折、心に出刃包丁を。

 なにかの占いで「いつも心に日本刀を持ちなさい。」と書いてあったのを見たのですが、そんなシュッとしたもの持てないわと、占いのことなど忘れかけていた私。しかし、出刃包丁作りを見せて頂いた時、身の引き締まるような思いがして、時折、大徳さんのひとつひとつ個性のある出刃包丁を思い出して、ブレてもいいから基本に戻ろう、そんな風に思うようになりました。貴重な経験をさせて頂き、ありがとうございました。

大徳さんの出刃包丁。

包丁だけでなく、こんなに可愛らしいカトラリーも!

以前、大徳さんのカトラリーを購入し、それらに残る手打ちの鎚跡や感触、温かみがとても気に入っています。カトラリーの出来上がる工程を思いながら、今夜は温かいスープを頂きます。

 

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