ホーム 04【知る】 稀少価値が高い伊賀牛の全国的にも珍しい地域内消費。「牛はものを言わんからね」熟練の技と愛情を注ぐ。

稀少価値が高い伊賀牛の全国的にも珍しい地域内消費。「牛はものを言わんからね」熟練の技と愛情を注ぐ。

三重県西部、伊賀市に、飛び切りの牛肉がある。「伊賀牛」と呼ばれるその牛肉は、染み出るようなサシ、香ばしさ、噛めばうま味が広がり、その味は全国的に名のある和牛にも引けを取らないと言われている。
ところが、その価格は多くの有名なブランド肉をはるかに下回る。そして、伊賀牛のほとんどは伊賀市内だけで消費されている。つまりその、味がよく、低価格な牛肉は大変希少でもあるのだ。

 

牛にとって負担がなく快適であること

訪れたのは、伊賀市にある中林牧場。

左から三代目ご夫妻の真一郎さん、有美さん、二代目ご夫妻の幸子さん、正悦さん

二代目と三代目のご夫妻があたたく出迎えてくれた。
牛舎にはおよそ400頭弱の雌牛が飼育されている。


車から降りると、牧場特有の臭いが漂ってくる……、かと思えばまったくしない。マスクを少しだけ下にずらしてもう一度臭いを嗅いだけれど、やはり限りなく無臭。かすかに土と木の混じったような豊かな香りがしただけだった。不思議に思って尋ねると、

「下の環境ですかね」、中林牧場三代目の真一郎さんはそう言って牛の脚元を指した。

中林牧場の三代目、真一郎さん

牛舎の床にはおが粉(木の粉)が敷かれており、たっぷりとした厚みがある。

真一郎さん寝床を極力乾燥させているからだと思います。牛の脚に負担がかからないよう、ふかふかにするようにしているんです。

牛が出荷される時の体重は約750kg。その大きな身体を支える脚になるべく負担がないよう、寝床の床を柔らかく、且つ、清潔に保っているのだとか。

牛の脚元はふかふか!

「ぐっすり寝やす(寝かせる)、ということが大事」。そう話すのは中林牧場二代目の正悦さん。

中林牧場二代目、正悦さん

中林牧場では牛を健康体で育てることにこだわっている。そのためには、よく眠れるということがとても重要だそう。

正悦さん:寝床がしっかり乾燥して、快適でないとぐっすり寝られない。ぐっすり寝ればたくさん食べられる。たくさん食べれば、すくすく育つ。

真一郎さん:食べた分だけ肉の味に繋がります。たくさん食べてよく育った子は味がいいんです。

清潔で快適な牛舎で、牛たちはたっぷり寝て、すくすく育つ。臭いがしないのは、牛に寄り添った牛舎の環境のためだった。

 

畜産に適した盆地の気候

広大な伊賀盆地

周囲を見渡せば、空の広さに驚く。空気が澄んでいて、山から吹き抜ける風が冷たい。キンと冷えた、まるで氷を含んだような冷気が頬を刺す。牛たちは寒くないのだろうか、と牛舎を見ると、牛たちの頭上にはファンがクルクルと回っていた。

筆者牛は寒くないんですか?

正悦さん:牛の体温は38度もあるさかい。人間が寒いと思うくらいが牛の快適な気温

聞けば、伊賀市の気候が畜産に向いているのだという。

真一郎さん:伊賀は盆地なので、寒暖の差が大きいんです。寒暖の差という身体にとって適度なストレスが体内に脂を適度に残そうとするのかな、と考えています。

正悦さん:夏なんかは昼間に暑くてバテるけど、盆地は夜に冷えるもんで朝にはまた食欲が戻るんやな。それでまたたくさん食べられる。そういうこともいいんやろうな。

なるほど、伊賀の風土もおいしさの秘訣。

さらに「この子たち、井戸水を飲んでいるんです」と、真一郎さん。

伊賀は周囲を山に囲まれているので、養分をたっぷり含んだ山からの伏流水に恵まれていて、数メートル掘れば井戸が出るほど。

真一郎さん:ここは淀川水系の最上流なので、水はほんとうにきれいです。牛たちが飲むのは、毎年水質検査をして、人間も飲める水として許可をもらっている井戸水です。

牧場の前の田んぼの側溝を覗くと、田植えの季節でもないのに、清流かと思うようなきれいな水が流れていて思わずなるほど、と頷いた。

 

餌と体調管理は女性が

餌の管理は、正悦さんの代では正悦さんの妻である幸子さんが、現在では真一郎さんの妻、有美さんが主に担っている。餌とひと口に言っても単純ではない。
一頭一頭の様子を見ながら、体調管理を考えながら与えるのだそう。その日の体調を見て、それに合わせて餌を与える。たくさん食べて身体を大きくすることが重要な為、どうすればよりたくさん食べられるか、手探りで確かめながらの重要な作業だ。

筆者:どういうところを見るんですか?

有美さん:餌の時間になっても来ないな、とかその日の姿勢とか、鼻水は出ていないか、とか、いろんなところです。

幸子さん牛はものを言わんからね。こっちが見てやらんと。この子は麦が好きやで食欲がないなら麦を足そうか、とかそういうことも考えながらね。目を見ればわかります。

まるで子どもを育てるような細やかさに驚いてしまう。

正悦さん元気な牛農家には奥さんか嫁さんが必ずおる。

幸子さんに近寄ってくる牛を見て、なんだか納得。

 

買い付けは熟練の技

仔牛の買い付けは今でも正悦さんの仕事。
培ってきた経験と長年の勘をフルに働かせて、仔牛を買い付ける。

買い付けは主に、宮崎県、大分県、佐賀県へ正悦さん自ら出向いている。競りにかかる時間は一頭あたり、およそ30秒から40秒。その限られた時間の中で、あらゆるところを見るのだそう。

正悦さん:伊賀牛に見合う牛を見極めて買う。血統、生年月日、体の大きさ、姿勢の良さ、他にもいろいろ、あとは口の大きさ

口の大きさというのは、どういうことだろう。

正悦さん:食い込ますことができるから、良く育つ。

食い込まし、というのはたくさん食べさせるという畜産業界で使われる言葉。仔牛のときにまず、胃腸や骨を強くするためにたんぱく質や食物繊維が豊富な餌を与えて身体をつくる。

しっかり食べて胃腸を強くすると、成長したときにより多くの餌を食べられる。たくさん食べた牛は、当然よく育つ。そういった流れを買い付けの段階からあらゆる方向から見極めている、ということ。牛の生育や、その後の成長を視野に入れながら、さらには売り先の肉屋さんの目星もつけるというのだから、もはや名人芸だ。

正悦さんの熟練の目利きで買い付けされた牛を、伊賀の恵まれた気候の中、真一郎さん夫妻が丁寧に育て上げる。
それだけでも、味の保証がされていると感じてしまうが、市場に流通しているブランド和牛のように1頭数千万円という値は付けない。伊賀牛は1頭、100万円〜150万円が相場だそうだ。
高値で取引されず、そしてそのほとんどが伊賀市内だけで消費されているというのは、一体どういうことなのだろう。

 

伊賀に根付く地域内消費

筆者:品質は高級肉に引けを取らない、しかも希少性もある。どうして値段が跳ね上がったり、他市、他府県からの需要が高まらないんでしょうか。

真一郎さん:まず、市内にはお肉屋さんがたくさんあるので、市況に影響されないんです。

つまり、地元のお肉屋さんの買い支えによって、常に安定した価格を保っているということ。

真一郎さん:お肉屋さんも不景気だからと価格を下げて生産者がいなくなると、自分たちの供給源がなくなってしまうので。

けれど、全国にある高級肉を尻目に、これだけ手塩にかけた牛肉が比較的低価格であることに、思うところはないのだろうか。

真一郎さん:ありますよ。かといって値段を釣り上げてしまうと地元の人が手を出せなくなってしまいますから。

伊賀市内は古くから牛肉の消費量が多い地域。焼き肉は、お肉屋さんで肉を買い、家で食べる文化が今も深く根付いている。生産者が減っている現状もあるが、実際、伊賀市内での牛肉消費量は他市に比べると多い。

真一郎さん:家庭で食べられる金額でお肉屋さんも売ってくれています。そういう意味でも地産地消が根付いていると感じます。

消費者と、生産者と、販売店、それぞれの支え合いがあって、低価格で高品質が守られ続けているということ。地元のものを、地元で適切に消費することで、助け合っていく。助け合うことで持続され、守られていく。

 

地域と家族に守られて

正悦さんは牛の隣に立ち「かわいい目してるでしょう」と微笑んだ。
「お母ちゃんは僕らには怒んのに、どうして牛にはやさしいの、なんて息子に言われてね」と、笑う幸子さん。牛たちととひたむきに向き合ってきた、家族の表情がそこにあった。

中林牧場の人々は、牛のことを「この子」、「この子たち」と呼ぶ。一頭一頭を大切に、丁寧に、健やかに育てたい、そんな真摯な思いが言葉の端々に自ずと現れる。

美味しい食べ方を尋ねると、「ロースのスライスをフライパンでさっと炙ってね、砂糖醤油をちょっとつける。これがいっちばん」と話してくれた。

牛肉を食べに、牛肉を買いに、伊賀へまた足を運びたい。地元に愛され、家族に愛されたその味をぜひ味わってみたい。

 


 

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