ホーム 01【食べに行く】 桑栄メイトと共に47年。桑名とお菓子の移り変わり。

桑栄メイトと共に47年。桑名とお菓子の移り変わり。

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桑名市の駅前に 1973年にオープンした駅ビル桑栄メイト。

2020年月7月31日をもって47年の歴史に幕を下ろす。

残しておきたい町の風景のひとつとして、昨年11月頃からOTONAMIEが取材を行ってきました。

そして桑栄メイトのオープンから共に歴史を積み重ねてきた、十一万石のご主人 石田有己生(ゆきお)さんにお話を伺いました。

■桑榮メイトオープン当時の事覚えてますか?

桑榮メイトができる前、ここは商店街だったそう。食堂・菓子屋・青果・魚屋・洋服・化粧品・時計・カメラ・せともの・バー・映画館などなど。地図を見ただけで、ところ狭しと色んなお店が賑っていた様子が想像できる。

古き良き昭和の時代がここにあったんでしょうね。

そして駅前再開発がスタートし、商店街にあったお店も、そうでないお店も桑榮メイトの中に入っていく。十一万石さんもこのタイミングで、先代の念願でもあった駅前に出店する事になった。ご主人がまだ23歳の時の事。

2F味の街 その下、JRの文字の奥にはうっすら国鉄の文字が・・

2F 味の街というだけあって、2階に入る飲食店は物販だけでは入れないとういう規定が。そこで製造・販売のみを行う本店とはスタイルを変えて販売・飲食をメインとしたメイト店独自の歴史をスタートさせる。ぜんざいやあんみつ、かき氷もこちらのお店では出すことに。

店舗前には気軽なおやつに田舎まんじゅうなども並べられていた。

商店街のように1箇所に色んなお店が集まることで人の流れも変わるし、横の“店舗”というより、“お隣さん”というくらい距離が近いことで、異業種の繋がりができ、色んな意見が聞けたことがとてもよかったという。メイトの中で開催される夏祭りや季節のイベントが、その距離を縮めてくれたのだろう。

ご近所の”たがわ”さんご夫婦と。

■十一万石さんのおすすめのお菓子はなんですか?

「白魚乃里」という桑名の名産はまぐりの形をしたクッキー。

ころんとした形もかわいい。

松尾芭蕉の有名な句「あけぼのや 白魚白き こと一寸」にもある春を告げる魚、白魚。その名前をつけたこちらのお菓子はよく取材もされたそうですし、伊勢神宮にも奉納された事があるそう。国産バター、玉子を主原料とし一口かじるとサクっとした食感に、ふわっとバターの良い香りが広がります。甘すぎず、お茶にもコーヒーにも合いそうです。

他にも栗羊羹やわらび餅、カステラやおまんじゅう、見た目にも涼やかで可愛い季節の生菓子などたくさんの種類のお菓子が並びます。

青梅や紫陽花、金魚など見た目にも涼やかなものばかり。

この季節のお菓子をつくるのが和菓子を作り醍醐味だとご主人は語ります。カレンダーを見ながら、立春や夏至や冬至・・その季節にぴったりのお菓子を考え、わくわくするそうです。

自家製小豆のたくさんのったういろうもいただきました。こちらもあっさりとした甘さと、しっかりと大きな小豆の風味が豊かでとても美味しい!もちもち食感もういろうの外せないところ。

”映え”より本当に好きなものを選んでしまいすみません。

小豆は自家製で北海道産の契約栽培の十勝小豆や大納言小豆を使用。赤飯や、ういろう、あんこなど用途によりに使いわけているそうです。

ご主人は毎日朝3時に起床。本店で毎日お菓子を作り、9時頃奥様と共にメイト店にお菓子を納品。自分はそのまま本店に戻り、店番と製造の続きをしながら16時頃また奥様を迎えにメイト店に帰ってくる。

大変な毎日ですね!と言うと「慣れてしまえば、どんな職業も一緒。あんたらも、仕事大変やろ?」と、温かい笑顔で私たちのことも気遣ってくださいました。

■桑名の歴史とお菓子

江戸時代になるきっともう少し前、桑名にはお城がたくさんあったという(一説によると40以上もあったとされる時期も!)

そして江戸時代には桑名藩11万石の城下町および東海道五十三次で知られる東海道42番目の宿駅・桑名宿として、この街はきっと、モノ・ヒト・コトが自然と集まっていたのだろう。お城に献上する品として、また茶の湯文化も栄えたことから、菓子職人がたくさん育つ地となりお菓子屋さんも増えていった。

十一万石さんの創業は明治時代、ひいおじいさんが始められご主人は4代目だそう。

■そんな桑名の地で商売をされてきて、菓子文化に変化はありましたか?

桑名では婚礼や家の新築など、お祝い事の時に重箱のような大きな折箱に色んな饅頭や菓子をいっぱい詰め、餅まきのようにみんなにお菓子をまいたり、お嫁さんを迎えた家が羊羹や、ねりきり、羽二重餅などを5段もある折箱いっぱいにつめてご近所や親戚に配る独特の文化があったそうなのです。

桑名の街の人々にとって、お祝い事とお菓子は切っても切れない程身近にあったものなんでしょうね。時代の流れとともにだんだんと風化していき、今ではその光景もほぼ見られないといいます。

店内には綺麗な箱に詰められた贈答用菓子もたくさん。

また、新型コロナウイルスの影響で人と人が会う機会が少なくなり贈答用手土産を買っていく人の数が激減。ここまでひどく影響があったのは、やはり今回が1番だそう。人の流れどころか、生活様式まで一変しましたもんね。

このまま桑榮メイトがなくなると駅前での待ち合わせや、喫茶店でくつろぐ時間など人と人が会う場所が減ってしまう。それにより年配層の方々が出歩かなくなるのでは・・と危機感を覚えていました。

電車待ち、待ち合わせ、きっとみんな色んな時間をすごした場所。

■ご主人にとってメイトはどういう場所でしたか?

「一言でいうなら、やっぱり、楽しかったよぅ。電車やバスで来られる方もたくさんいて、人間交差点みたいな場所やった。印象深い出来事や出逢いはたくさんあったから、今だに色んな方が声をかけてくれるのがたくさんいるのも嬉しいね。」

取材も終盤、リラックスしたいい表情でお話聞かせてくれました。

メイトの閉鎖のち本店での製造・販売営業は続ける予定。その他にも色んなところからお誘いはあるのものの、問題は年齢やね・・と。まだ決めかねているようです。

■最後に、ご主人の思う和菓子の粋なつかい方あれば教えてください。

「和菓子はやっぱり女性を美しく魅せてくれる。着物姿で風呂敷でつつまれた和菓子を片手で抱きかかえるようにもっている姿は、なんとも言えず色気があり、和文化の美しいところだと思う。ぜひやってみてください。」と。

わ!いい事聞きました!次に手土産を持っていく機会あらば、着物姿で風呂敷包の和菓子・・チャレンジしてみようと思います。

photo / y_imura

十一万石
桑名市東伊賀町124

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