明けましておめでとうございます、meisuiです。今年もどうぞゆるりとよろしくお願いします!
さて、皆様映画はお好きでしょうか?今回ご紹介するのは自主映画の監督さんです。
三重県四日市市出身の栗山陽輔監督。代表作には2015年の「なかよくなれたらいいな」2017年の「あなたに会えたらよかった」があります。今回はそんな監督に映画のことやマーケティングについてインタビューさせていただきました!
1.監督ご自身について(プロフィール)
meisui(以下m):元々役者さんをされていたと聞きました。
栗山さん(以下栗):大学時代、部活の先輩に誘われて演劇のワークショップに参加してから、大阪で役者をしていました。その後上京して数年東京でも役者をしていました。
m:演じる立場の役者から作る側の監督になったのですね。
栗:実は19歳の時に幻の1本目を作っていたんです。27歳の時に役者を辞めて1年ほどフラフラしていた時に、大阪の友人と会って「映画でも作らないか」と言われ、その気になったんです。その後2014年の10月から撮影を始めて翌年の4月に完成しました。
それがホラー映画の「なかよくなれたらいいな」です。
m:脚本もご自身で書かれていますが、影響を与えた映画や舞台の作品はあるのでしょうか?
栗:コレ、といった作品はないですね。東京の役者時代が貧乏で、土地勘もなく、事務所関係だったのもあって友達があまりいなかったので、2~3年間映画を凄く沢山観ていた時期があったんです、年間800本くらい。
m:は、800ですか⁉︎
栗:平日に2本観て仕事のない日は4本観るみたいな(笑)。そういうこともあり、心に残る作品はいくつかありますが、特別コレと言うよりは全般的に、ですね。
m:その中でご自身の作品で意識していることがあれば教えてください。
栗:「テーマから作ること」は意識していますね。何のためにその作品を撮るのか、作品を作ることの意義を考えてから撮るようにしてます。
例えばですが、前述の「なかよくなれたらいいな」は「人間は完璧にはなれない」というテーマがまずあります。最初に着想が湧いたのは、脳科学の学術としての「人というものはそれぞれに分かり合えない」という前提で、別個体と分かり合えず完璧にもなりえない人間が本気でこれを目指した時にどう歪になってしまうのかを描いたんです。
m:意義から入る作品作りなのですね!考えたこともなかったです…。
栗:確かに自分が楽しいから作るという方や自分の考え・ストレスを作品にぶつける方もいるので人それぞれだろうとは思いますが、僕はこのスタイルですね。
2. 監督の強み
m:さて、今回私がインタビューさせていただくきっかけになったのは、Amazon Primeに「なかよくなれたらいいな」が追加された際の宣伝で、監督ご自身が1000人の方にDMを送るという手法をとったことに興味を抱いたからです。
あのPR方法はどのような経緯で行ったのでしょうか?
栗:Twitterを8年ほど前から使っていて、SNSのツールとしての使い方を一旦考えなおしてみようと思ったんです。
TLには利用者それぞれに、ものすごく沢山の情報が流れているじゃないですか。
僕の場合は演劇関係や映画関係者が多いので、必然的に作品情報が流れてくるのですが、まあ膨大な量なのでまず見ないですよね。これは網を投げる感じで情報を投げるだけでは
引っかからないなと。それって、見るか見ないか、選ぶか選ばないか、は当然お客さん自身の判断ですが、そのステージに立ってもらうまでが出来ていないからなんですよ。
それなら一人一人に槍を投げる感じにしてみようと考えました。
m:様々な意見があったかと思います。
栗:そうですね、特に同業者の方からは「クリエイターのあるべき姿じゃない」等の厳しい意見もありました(笑)。でも反応はしてくれているわけで、行為自体には意味があったと思っています。広告費もかからないですし。ただ労働力はかかりますが(笑)。
m:消費者に直接投げかけるという手法を、こうして一度実際にやってみたわけですが、今後も続ける可能性はありますか?
栗:違うイベントでもしかしたらやるかもしれないですね。例えば次の作品を作って上映をする際にはその上映会を地方でやろうかなと考えているんです。
東京大阪名古屋での上映が多いのですが、むしろすごい地方でやってしまって、その場所のあまり知られていない観光地などへの導線を作れたらと。
m:人の導線ですか。
栗:例えば東京には小さい劇場が多くあるのですが、歌舞伎座との客数の差は一目瞭然です。
伝統芸能ということもありますが、歌舞伎座はそもそも旅行日程の1日のコーディネートの中に組み込まれていることが多いですよね。ならば、その発想を生かして「○○(上映する観光地)に行きたい」とSNSで呟いている人に同様のPRを行ったら、その場所に行く理由が増えて、
予定に組み込んでもらえる可能性もゼロではないのではと考えています。
そういった人の動線をデザインしていきたいんですよね。
m:それは地域活性化にもつながる活動ですね!各自治体や施設などとの連携が必要になってくると思うのですが、逆に依頼をされた場合はそこで撮影や上映を行うのでしょうか?
栗:実はそこが自主映画監督の強みでもあるのですが、金銭を目的として作品を作っているわけではないので、自分が撮りたい・作りたいというテーマ以外は断ることもできるんですよ。
本業だと自分が興味のない作品でも、生きるために撮る必要があります。そうしてもし、自分が面白くないと思う作品を世に出してしまった時、どうしてもお客さんの信用を失ってしまう可能性もあるんですよね。でも僕のような安定して収入が得られる本業が別にある自主映画監督は、その心配はしなくても大丈夫です。兎に角自分の意思で責任を持って作品を届けられます。
もちろん依頼された場合でも、その企画に共感したり興味が湧いたりしたら考えさせていただきたいですね!
m:ちなみに三重県では撮影されていないのでしょうか?
栗:基本的にはもともと役者をしていた大阪で撮影をしています。
知人のキャストさん・スタッフさんの多くが大阪の方なのでコスト的にも僕が大阪に行く方が良いというのもありますね。ですが今後考えたりもしています。地元なので、
良さそうなロケ地探しは得意ですからね(笑)。
3. 文化としての映画と今後について
m:さて、近年では若者の映画離れという言葉もあります。
このことについて、映画監督としてはどのようにお考えですか?
栗:NetflixやAmazon Primeなどの動画配信サービスの勢いが加速しているので、映画を無料で観られる感覚になっていると思うのですが、実は観る側のモチベーションも下がってしまうこともあるんです。
だからこそ「お金を払って映画を観る」ことをイベント化するのが大切だと思っていますし、その点から考えてもきっと映画館自体は無くならないと思っています。
極端な話、本編を動画配信サービスなどで無料公開してから、映画館で公開するのも1つの手だと考えていますし、僕の2作品も現在Amazon Primeで公開されていますが、再上映を改めて行うのもアリだと思っています。
m:なるほど、そこで先程の地方上映にもつながってくるのですね!
m:現在次の作品を企画中だとお聞きしました。
栗:今年中か来年の初めあたりに撮影に入ろうと考えています。
次からは映画祭に出品するのもやめようかとも考えているんですよ。
m:各地で開催されている映画祭ですね。監督ご自身の作品もいくつもの映画祭で賞を受賞していますがどういった心境の変化でしょうか?
栗:映画祭に作品を出すというのは自主映画監督にとっては、一言で言えばとても便利です。
そして便利すぎるとも言えます。集客自体もお客さんにリーチすることも映画祭のスタッフさんがしてくれます。しかしそれは同時に映画祭に任せているということにもなってしまします。映画祭でウケる様な作品を作ろうとしてしまいます。
商業化を目指す監督には必要な機会です。でも僕の場合は甘んじてしまうことになるんです。
m:求められるものを作る必要がある商業監督との大きな違いですね。
m:最後に、今後どんな監督になりたいかを教えてください。
栗:監督としてであれば大勢の方に認知されることよりも、ある程度の人に
凄く愛される人になりたいですね。商業的な監督だと客数重視になりがちなので、僕のような自主映画監督は客単価重視、つまり一人一人の満足度を重視していきたいです。
なので色々な場所で上映会等の体験となるイベントをしたいですね。
作品としては、自分が面白いと思う作品を作っていきたいです。
映画だけではなく、クリエイターとしての姿勢についても様々なお話を聞かせていただけました。
栗山監督、ありがとうございました!
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