フライパンの上でジュワッと真っ黒なタレが激しく踊る。
すると、たちまち広がる香ばしさにたじろいだ。
気を引き締めて、菜箸でフライパンの中身を軽くかき混ぜる。
こんがり色に染まった極太麺。
そこには普段見慣れている”伊勢うどん”の姿はなかった。
伊勢焼きうどんを食べたことがありますか?
または自分で作ったことがありますか?と聞いた方が良いかもしれない。
食べられるお店としては、伊勢市のおはらい町通り おかげ横丁で伊勢醤油本舗さんがある。前々から気になってはいるものの、利用はできていない。
子どもの頃からの伊勢うどんの記憶をさかのぼってみても、お椀で出される真っ黒なタレと極太麺にネギのお化粧をした姿が蘇るのみ。
あっ、伊勢焼きうどんを食べたかも・・・と記憶を整理してみると、それは亀山のB級グルメ 亀山味噌焼きうどんだ!しっかりしろ!と我に返る。
「あれ、伊勢焼きうどんとの思い出が・・・ない。」
実は案外、食べたり作ったりしたことのある人は少ないのではないだろうか?
そして今回、自宅でも簡単に作れることを知り、伊勢焼きうどんを自宅で作ってみることにした。
そこで驚いたのは伊勢焼きうどんの「材料」だ。
最低限必要な材料は伊勢うどんの麺とタレのみ
もちろん、湯気まで香ばしい伊勢焼きうどんの美味さも後から驚くことになる。
そんな伊勢焼きうどんの材料は、とてもシンプル。
- 伊勢うどんの麺
- 伊勢うどんのタレ
これだけだ。あれ?これって・・・と誰もが気づいてしまう真実。そう、伊勢うどんの材料と全く同じなのだ。
ここでひとつ、伊勢焼きうどんが美味しくなるワンポイントを伝授しておこう。それは、焼くと旨味がにじみ出るものを具材にプラスすることだ。
まずのオススメは牛バラ肉。牛バラ肉から溢れ出した脂の旨味を、柔らかくもっちりとした極太麺がからめとる。
調理は「ただ炒めれば良い」とだけ伝える。本当に簡単なのだ。
フライパンに油をひき、牛肉や伊勢うどんの麺を炒めていく。そして、すぐに伊勢焼きうどんの調理工程で最高の瞬間が訪れる。
ジュワーと香ばしい音に合わせて湯気が立ち上げるその瞬間!
これだけで腹をすかせたハイエナも、食欲なさげな子ウサギも鼻をひくつかせて振り向こと間違いなしだ。
牛肉・豚肉・牡蠣。具材を変えてアレンジに無限の可能性
伊勢うどんにも、ネギや一味のみのシンプルな食べ方から、生卵を入れた月見伊勢うどんとアレンジがきくように、伊勢焼きうどんも同様だ。
牛肉でなくて焼きそばのように豚肉にしてもいい。
伊勢市のお隣、鳥羽市の牡蠣とコラボしてみるのもいい。
まだまだ伊勢焼きうどんアレンジには、無限の可能性が秘めていそうだ。
鍋をフライパンに。ただそれだけだったという盲点
僕は伊勢うどんを普段からよく食べてきた。
風邪をひいたら真っ先に伊勢うどんが食べたくなるのは、幼い頃の記憶がそうさせる。
鍋をフライパンに持ちかえるだけ…ただそれだけで、いつもの伊勢うどんの食材で出来上がってしまう、伊勢焼きうどん。
僕のように伊勢うどんを普段から食べる習慣のある人は、特に伊勢焼きうどんを試して、新たな扉を開けてみてほしい。
すると、毎度毎度キッチンで少し悩みの種が増えることを事前に断っておく。
「今日は茹でるか、いや焼くか…うーん、どうしようかな。」
濱地雄一朗。南伊勢生まれの伊勢育ち。三重県といっても東西南北、文化や自然・食と魅力で溢れていることに気づき、仕事もプライベートも探求する日々を過ごす。探求を続けると生まれた疑問、それが「何で◯◯が知られていないんだ」ということ。それなら、自分でも伝えていくことだと記者活動を開始。専門は物産と観光、アクティビティ体験系も好物。自身で三重県お土産観光ナビも運営中。