ホーム 04【知る】 “自閉症の未来は、オトナの音に変えるメジャー7thコードだ “「宝くじ号の話」RAMO

“自閉症の未来は、オトナの音に変えるメジャー7thコードだ “「宝くじ号の話」RAMO

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「正直ヘビは苦手です!」「できれば避けたい!」。この一般論は、障がい者を見る現代社会と似ている。

 

「 宝くじ号の話 」

「ヘビもよく観察したら何を考えているのか、今どうしたいのか、言葉がわかるんですよ!」「ブルスネークのブルくん!僕のペットなんです。かわいいでしょ!」と楽守(ラモ)君が言う。彼は自閉症の実体験からのメッセージソングを、「RAMO」と言う親子ユニットで歌い続けているミュージシャンだ。

以前、垣内家を大手メディアが番組にして放送した事がある。以来ゆっくりと地域に認知されている。

松阪市宇気郷(うきさと)村、昔のままの自然が残る限界集落に垣内一家(父、章伸 、母、志ほみ、長男、楽守、次男、詞音)が暮らす。今回、音楽フェスAcoustcalのイメージモデルとしての撮影や、障がい者についての知識や感情移入を深めに来た。私は友だちのピアニスト「はんだすなお」と、春が始まった「うきさと村」を訪ねた。

教えてもらっていた住所の途中、時折写真に撮りたくなる古民家が現れる。

 

この村では携帯は繋がらない。また、バスは学校の登下校に合わせて1日3往復しかない。

通りがかりのバス停に人影を見かけ、車を止めたがカカシだった。どうやらカカシに頼るくらい人口が少ないようだ。そして古民家に住む楽守君、小学5年生の頃から成長を見ているが、25歳になった。また少したくましくなっている。

興味ある事への集中力がすごい楽守くん。

 

 

 

宝くじ号

 

まず聴いてほしい曲がある。それは音楽業界ではファンタジーの歌がよく歌われるが、自閉症の子を持つ親子の実体験、このノンフィクションの曲をPVにした。

『派手なバスなのに 見向きもされない』

『年がら年中スモーク張ってる』

※ youtube翻訳機能を使うと歌詞が表示されます。

 

 

 

音楽の究極を話す。

 

この歌に出てくる問いかけは、社会の不都合にピントが合わない人が少なくない現実を歌う。後日、取材に同行してもらったピアニスト「はんだすなお」と、こうした伝える音楽と、また究極について話し込んだ。

「音楽も引き算の芸術だと彼は言う、音を追求していくと音が無くなって行く話題になり、ジョン・ケージ 作「4分33秒」と言う曲の話になった。

その曲は演奏が無音でなされるのだ。1952年に制作された全く演奏しない曲で、第一楽章、第二楽章、第三楽章の楽譜には休止だけが書かれている。このコンセプトは、「生きている人間に完全な無音は存在しない」また、「人が耳を澄ました時に聴こえてくる音、その全てが音楽になりうる」と表現している。実際この曲で感動し、涙を流す人もいると言う話だ。

ちなみに初めて無音で演奏された時は、クレームとブーイングの嵐だったと言うが。それは、その場にいる人が、「音によるコミュニケーションをした」という事だ。

 

 

音が果たす役割と、動物の洞察。

 

動物界に音痴はいない。動物は音によって意思を伝達し、生存競争を勝ちとった種がこの地球で勝ち抜き、命を繋いでいると生態学者から聞いた。命を繋ぐにはコミュニケーションが必須である。そしてその術が「音」なのだ。

携帯の繋がらない限界集落。動物にもコミニケーションの周波数がある。

 

 

 

人間に音痴がいる理由

本来人間は、本能的に動物的音感を持っていたかもしれない。だが人には音痴が存在する。人は意思伝達に言葉を使うが、生命のポテンシャルを考えるなら、人間も動物と同様な事ができ、自然界で会話ができたのではないかと想像させる。自由に昆虫や動物に話しかける楽守君を観ていると、「私たちは何か大切な物を無くしているのでは」と考えさせられるのだ。

 

「自閉症ってなんやろ。やっぱり治らへんのかな」
 こんな疑問を持ちながら、垣内親子と時間過ごしていた。今回、二次障がいと言う言葉も知った。


それは障がい者への暴力や名誉毀損、具体的に「いじめ」だ。障がい者の心に深く突き刺るいじめがあると聞いた。いじめをする人は、自分本位で他者に感情移入ができない事を証明している。これも「ひとつの障がい者である」。まさに障がい者が障がい者を、大人と言われる年代でも、いじめの世界があるのだ。

 インド出身の神経医、ラマチャンドランの論文によると。自閉症は全てが突出した風景で、何か重大な意味のある事が始まる反応として全てを見てしまう。もしそれに恐怖を感じたらなら、パニックを起こしてしまう。自閉症とは針の振れ方の障がいで、世界の終わりが迫ってくるような恐怖を背負う。また、他人を経由して自分を見る事ができない。全くの孤独である。知っておきたい事としては、2つのことが同時にできない。生まれつきの機能障がいで、脳の部位の連絡がうまくいってないと言う事だ。自閉症は病気ではない。

 

 

 

コード(伴奏記号)に注目する

 

 

宝くじ号には4和音7th「メジャーセブンス」が効率よく使われている。ピアニスト『はんだすなお』さんの説明を聞くと、それはピアノで言うと伴奏の動きになる。

 

例えば「ドミソはメジャーコード」「ミソシはマイナーコード」となるが、メジャーセブンスは、複合で2つの両方の音を併せ持っている。

この音は、明るさの中に憂いがあり、透明感を感じる。また澄んだピュアな感覚があり、洗練され、情景や風景に広がりを加える。

この音は、昼と夜の表情を作り、一気に音の世界に引き込む事ができる。そしてオトナの表情と時間を満たし、明るさと暗さの和音が混在した、絶妙なお洒落空間を作るのだ。

 

メジャー7thと世界

 

メジャー3音にマイナー1音が共存する絶妙な空気感は4分の1の割合だ。これはイエスとノーが存在する世界の様だ。プラスの事に相反するマイナスの存在。それが一定割合で共存する事で、成熟者としての世界を証明しているのかもしれない。

マイナス音の響きを、身の回りで例える。不要に思ったり不安を感じる事。それは自分が障害に思っているコンプレックス。これをメジャー7thのように積極的に取り入れる事で、自分の生活に広がりを付け、命に深さや高さを理解させる。ただ明るいだけではない豊かさを備え、まるで地球を見下ろすような連想までさせる。このように、少し高い目線から自分を見下ろしたり、また低い目線から人々を見る事ができる。

 

 

「自閉症とはなに?」と悩む人や、関心のある人に受け入れられるRAMOの音楽活動。垣内さんは「肝心の子どもと向き合っていない自分、わかったつもりでいた自分がいた。自閉症・障がいという言葉を通じ、息子たちを見ようとしていた。」と過去を正直に話す。

親である自分の欠点を責め、子育てを自分の理想からの減点で育てていた。知識の浅さに気が付いた。

プロミュージシャンを目指していた時、いくら頑張ってもまともな歌ひとつできなかった。でも子どもが生まれ、障害があるとわかり、自分の実体験が重なることで、心に歌が降りて来るようになった。

感性のアンテナも高くなり、障がい者を利用しようとする偽善や偏見、言葉の裏側や人の内面など。言葉にたよらず解るようになった。

 

芸能界では、女やドラッグに溺れている人が名曲をさらっと作る事がある。だが彼が初めて自分の歌と出会えるまでは、時間と苦悩があった。「嬉しさはなく、ただただ痛かった。」と話す。

 

 

障がいを持つ多くの親の「悩み」

 

「積極的に考え行動しなくては子どもたちを守れない」と悟り、障がい者の親として目覚めたが。「親が先に亡くなり、子どもがひとりになってしまう事を悩んでいる。」「子どもを一人にする怖さがどうしてもある。」と正直に言う。

 

 

不便は人を育てる。

 

垣内さん一家の足跡を見ると、便利な街での生活では、家族の能力を最大限に引き出していなかった。彼らが100%の能力を発揮したのは危機一髪の時だった、つまり火事場のクソ力だ。

「限界集落で住む!」そう言って、田舎の家を直感で、しかもその日のうちに決めた垣内さん。それは子どもの福祉のため、「邪念のない直感で判断した」。社会での楽な暮らしや出世を捨て、努力が多く求められる田舎の生活を選んだのだ。この敏速な行動は、自分の迷いと取引していない事を教えている。

 

 

共存する事

宝くじ号の歌詞の中で、「キミ達が居ることが あたりまえになれ」と歌う。近年、社会は転換期だと直感で感じる人も多い。垣内さんが限界集落を目指したように、人の繋がりで子育てをする事。地域全体で子どもを育てる事にアンテナを高くする人は多い。

宇気郷村で子育てを選んだのはこの地区の豊かな自然や人柄であった。便利な街暮らしを捨てる決心ができたのも、人が本来あるべき姿を考え抜いての行動だ。

 

人口減少、格差社会も問題を抱えたまま上向かない。出生率に一定の割合で生まれる障がい者の事実。社会も成長する必要があるようだ。例えばメジャー7thのドレスコードを着させる事だ。

近所のうきさとむらの食堂でお昼にする。当初自治会の集会で自閉症の説明をする際、「恥」と紹介され登壇した悲しさを今も話す。17年この村に住むが、理解の浅さはまだまだだと言う。

明るいメジャー音。そこにマイナーだと感じる事を社会に積極的に取り入れる。そして知識の平均点を底上げし、地域全体で人を育て守る。積極的な行動がなくては守れない事。無関心は最大の暴力である事を、垣内親子は教えている。

 

 

 

私たちは他者を経由し、

自分を見る事で孤独に立ち向かう。

自分を好きになれない人こそ、

人を好きなる必要がある。

なぜなら、その事によって、

自分を好きになれるからだ。

 

冒頭のヘビを見る一般論の言葉に、垣内さんは激しく同意した。「まさに事実です。悲しいけどその通りです」と頷く。この事実を知ってもらいたい。私たちに出来る事は、一人でも多く人が障がい者への理解の目を覚ます事。そのスモークを剥がす事だ。これが障がいを持つ家族の悩みを解消する助けになるのだ。

垣内さんは「音楽によって救われた」と話すが、

世界は音楽で救われる。

 

 

 


Special Thanks

RAMO / 楽器のお店ラモシオン

ショップ・ライブ情報

自閉症ってなんやろ。やっぱり治らへんのかな」。この言葉は、「イマイキテイル 自閉症の兄弟の物語」(増田幸弘著 明石書店)に出てくる主人公の垣内さんの言葉だ。親子のユニット「RAMO」、彼らの音楽にあなたは何を感じるだろう。

 

取材協力 / はんだすなお

ライブ活動情報

『はんだすなお / キーボーディスト・シンガーソングライター・サウンドクリエイター』 Artist Support (二井原実、林明日香、乃木坂46、西村ちなみ、平井堅、中澤卓也、李涛 ex.劇団四季)Musical、CM音楽制作、都会のラクダ・西遊記・TACIO CANAS)等。
2019.9.5木曜:松阪の喫茶マカロニでライブ予定。

 

PV撮影協力 / 伊勢シーパラダイス

水族館・イベント情報

伊勢シーパラダイスに新設された「ふれあい水族館」でプロモーション撮影させていただきました。まさに楽守君にぴったりのロケ現場。

 

ACOUSTCAL7th / 2019.09.07

フェスイベント情報

RAMOが出演するこのイベントMCで、記事に書けなかった事や裏話しなども。お楽しみに!

 


おまけの動画

 

 

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