三重県南伊勢町。
海沿いに連なる38の集落からなる。
ときには伊勢の南玄関と紹介され、
そして奥志摩の秘境とも言われる。
伊勢志摩という歴史深い土地にあるゆえ、
その生活文化は非常に興味深いものばかりだ。
しかし日本全国の地域と同じく、
悲しきかな、担い手不足で急速にその文化が失われている。
今回の記事は、
38集落の中でも代表的な漁村である神前浦(かみさきうら)が舞台だ。
この集落で300年続く夏の一大行事・天王祭。
50人で御舟を曳いて、
2時間半かけて神前の集落を練り歩く行事がある。
この御舟の「曳き手」が足りなくなった。
そして神前浦の区長は今年、ある決断をした。
神前浦を区長と歩き、歴史を感じる。
区長さんとともに、神前浦の集落を歩く。
当日御舟が通る道を辿っていく。
この地域には浦方集落といって、
「浦」と名のつく集落が7つある。
すべてが漁師町だ。
よく喋りよく飲んで、
きつい(と私は思う…)冗談を言い合って、そして笑う。
ネチネチしたところがなくて、
喜怒哀楽がはっきりしている気風がある。
私が住む集落も七集落のひとつで阿曽浦という。
細かい違いはさておき、
漁師町らしさが各所にある。
神前浦の天王祭は303年前に始まり、
以来ずっと神前浦の人々によって引き継がれてきた。
御舟は神前浦の人間が曳く。
だれがなにを言うわけでもないけれど、
そういうものだと決まっていた。
そりゃそうだ。
神前浦の集落行事なのだから。
しかし集落の人口が減るうちに、
当たり前のことが当たり前ではなくなっていった。
御舟を曳く若者たちが集まらないのだ。
このままでは祭りを続けられない。
そんな未来が見え隠れする。
神前浦の祭りは、すでにひとつなくなってしまっている。
三重県の各地域にある「浅間さん」の祭りだ。
この辺の漁師町で、浅間祭のない集落はひとつもなかった。
しかし存続が困難な地域から順番になくなっている。
今年もひとつ、その数が減った。
神前浦の浅間山は、かつては熱狂的に盛り上がったそうだ。
二つの組に分かれて、
それぞれが竹を立てている。
それを時間が来るまで、
互いに攻撃し合い、倒し合う。
いわば「棒倒し」だ。
荒々しい漁師町を象徴する祭りだったが、
すでにそれは人々の記憶のなかにしか残っていない。
外の人に参加してもらえないだろうか?
神前浦の天王祭といえば、
この地域ではとても有名だ。
50人で曳く御舟が代表的だが、
それ以外にもたくさんの屋台が並び、
海沿いで打ち上がる花火がフィナーレを飾る。
この祭りは絶対なくしたくない。
私も強く、そう思う。
「外の人にお願いしたら、興味持ってくれる人はいるかいな」
区長の言葉に、
私は力強く答えた。
「区長さん。きっといます」
御舟を曳くことはとてつもなく価値のあることだと、
私はそう思うから。
この場を借りて、
みなさんにお願いしたいことがある。
今年神前浦は、
外の地域から曳き手を募集する。
すくなくとも15人くらい。
一緒になって盛り上げてくれる人はいませんか?
年齢や性別は問いません。
公民館で寝泊まりできるから、
祭りが終わったら眠くなるまで語るのもいい。
酒が飲みたきゃ飲めばいい。
あなたの力を、貸してくれませんか?
祭りは7月13日。
神前浦天王祭
日時:7月13日(土)15時集合(22時頃まで)
場所:南伊勢町神前浦
持ち物:気合い。飲み物があるとよし。詳細は折り返しメールで連絡させていただきます。
ご連絡はこちら!
izawashunki@gmail.com
どうぞよろしくお願いします!
シティーボーイを捨てて、神奈川県から三重県南伊勢の漁村に引っ越しました。職業は新卒漁師。