時刻は6時30分。
彼の朝は早い。
場所は松阪総合運動公園。
靴紐を強く結び、彼は颯爽と駆け出す。
注目するのは、右手に握られたある玩具だ。
人々は彼をこう呼ぶ。
「けん玉ランナーたかや」と・・・・
「けん玉ランナーたかや」って一体何者?
たかやさんは三重県で活躍する市民ランナーだ。
普段は会社員として働いている。
SNS(InstagramやTwitter)やYouTubeでも、日々の活躍を情報発信していて、ランナーを中心にファンも多い。
彼の最大の特徴は、なんといってもランナーとしてだけでなく、けん玉技術の研鑽を積み重ねている点だ。
ランナーとしての実績
- 富士五湖マラソン(118キロ) 14時間37分26秒
- 京都マラソン2019(42.195キロ) 3時間19分05秒
- 十津川温泉郷 昴の郷マラソン大会で2年連続5位入賞
118kmを完走!?
フルマラソンで3時間19分05秒って早くない?
そして、奈良県十津川村でのマラソンで2年連続5位入賞・・・
彼の「走り」はまさに本気だ。
けん玉の実力はいかに・・・
けん玉検定をご存知だろうか?
自身のけん玉の技術を証明する資格が「けん玉検定」だ。
たやかさんは「けん玉検定 ベーシック1級」の資格を所持している。
けん玉を始めて2年となる実力は、実際に動画を見てもらった方が手っ取り早いだろう。
https://www.youtube.com/watch?v=K-SJ79F_k_A
走りながら繰り出されるけん玉の技に目を奪われる。
https://www.youtube.com/watch?v=7ybI2YSbwN4
僕が好きな動画が熊野市の風景を舞台に撮影された「三重県×けん玉」。
たかやさんのけん玉技術はとても高い。
「マラソン」も「けん玉」も本気!!
ランナーとしての記録やけん玉技術、どちらも着実にレベルアップをしている「たかやさん」。
SNSの情報を見ていても、並外れた努力がスマートフォンの画面越しに伝わってくる。
- 一体、彼を突き動かしている原動力はなんなのだろう?
- ランナーがけん玉に出会ったきっかけは?
- けん玉ランナーの目指す先は?
積み上がる疑問と好奇心。
前々からお話を聞いてみたいと思っていた「たかやさん」に連絡をとり、快諾をもらって直接インタビューの機会が実現した。
「けん玉ランナー」誕生秘話。たかやさんに直接インタビュー
けん玉ランナーたかや:たかや
インタビュアーはまじ:はまじ
2019年5月の明朝。
広々とした「松阪総合運動公園」では、おじいさんが一人ストレッチをしていた。
たかやさんは何処・・・
あたりを見渡すと、視界の奥の方で颯爽と走るランナーの姿を見つけた。
たかやさんだ。
トラックを黙々と走る姿からは、清々しい陽気の中でも身にまとう静かな闘志が伝わってくる。
はまじ(ランナーってかっこいいな。)
はまじ「おはようございます。」
たかや「おはようございます。ちょうど走り終えました。」
はまじ「今日はよろしくお願いします。走るペースってやっぱり早いですね。」
たかや「トレーニングメニューで走るペースを調整してるんですよ。せっかくだし、一緒にちょっと走ってみます?」
全く走る想定をしていなかった僕だったが、「考えるな・・・感じろ。」精神で、たかやさんとトラックを走ってみた。
たかや「キロ4分台だとこのくらいの速さ、キロ3分台だとこれくらい。」
自動車のギアをチャンジするような感覚で、グンっとスピードがあがる。
はまじ(はやっ!僕の全力疾走なんですけど。。)
結果、
バテた。
1分後・・・身を起こして息を整え、この流れで「けん玉」も体験させてもらった。
大皿と小皿に玉をのせるチャレンジをしてみたところ、3回くらいでのせることができた。
たかやさんに教えてもらった
けん玉の持ち方(卓球のラケットのようなイメージ)
ひざをクッションのように使う
というポイント指導が功を奏したのだろう。
はまじ(けん玉って楽しい!)
たかやさんはというと・・・
なぜだろう、同じけん玉を構えているのに風格が違う。
たかやさんと僕が「セルとヤムチャ」くらい違うことを実感したところで、早速インタビューに応えてもらった。
鹿児島の離れ島 与論島でフルマラソンデビュー、そして富士五湖でウルトラマラソンに挑戦!
まず、たかやさんが市民ランナーとなったきっかけを尋ねてみた。
社会人となったばかりのたかやさんの趣味は「週末ひとり旅」で、仕事が終わると夜行バスで全国各地に出かける日々を過ごしていたそうだ。
たかや「ひとり旅の延長でよく登山もしていました。」
もともと、とってもエネルギッシュなたかやさん。
2011年12月ごろ、「鹿児島県最南端の離れ島 与論島」への旅を計画をしているときに、たまたま知ったのが「ヨロンマラソン」だった。
たかや「旅は今でも大好きなんですが、ただ旅をするだけでは物足りなくなってきていたんです。そんな時に、ヨロンマラソンを知り、すぐに申し込みましたね。」
思い立ったら即行動のたかやさん。
たかや「タイムは4時間32分44秒。途中何度も諦めようと思いながら走りきりました。特にラストの感動は、生涯忘れることのない経験です。」
ヨロンマラソン出場後、もっといろんな大会に挑戦したいという思いが高まり、全国各地を飛び回った。
順調に記録を伸ばしていく中で、たかやさんはある変化に気づく。
たかや「目に見えてタイムが速くなっていくのを実感し、それが嬉しかったです。ただ、大会を経験する中で感動が弱くなっていきました。ヨロンマラソンのような感動をまた味わいたかったんです。」
そこで出場したのが118キロを走破する「富士五湖ウルトラマラソン」だった。
はまじ(118キロを走る・・・国道23号線で伊勢市から名古屋市までが約115キロ。想像ができない。)
タイムは14時間37分26秒となり、その感動はヨロンマラソンと同じくらいあったそうだ。
たかや「最初から118km先のゴールを考えてしまうと完走できません。今、走っている目の前の1キロに集中して、1キロ1キロを積み重ねていくだけです。」
たかやさんが語るマラソンは「人生」のようで、言葉に重みを感じる。
たかや「マラソンをしている人は自分がやってきたこと、ストーリーに感動します。積み上げてきた練習を思い出し、何回もやめようと思いながらも走りきるんです。」
はまじ「走る時も、走る前の準備も日々、努力の積み重ねなんですね。」
そして、市民ランナーとして飛躍するたかやさんが次に出会った(挑戦した)のが、そう・・・「けん玉」だった。
けん玉デビューのきっかけは、某有名番組で登場したYOUだった
続いて、「けん玉ランナー」誕生秘話を尋ねた。
富士五湖ウルトラマラソンから約8ヶ月が経過した時、たかやさんはTVの映像に釘付けになっていた。
たかや「たまたまTV番組【YOUは何しに日本ヘ?】で紹介されていたのが、広島で開催されるけん玉ワールドカップに出場するYOUだったんですよ。」
当時のたかやさんは、けん玉が海外で人気が出ていることをを知らず、衝撃を受けたそうだ。
たかや「カッコ良かったですね。自分もけん玉をやってみたいと番組を見終わり10分後にAmazonで注文をしていました。」
速断即決のたかやさん、今ここに「けん玉ランナー」が誕生した。
翌年には広島県へ「けん玉ワールドカップ」を見に行き、世界から出場する選手の技や会場の熱気を体感する。
そこから、さらにけん玉の魅力にはまっていった。
「けん玉ランナー」として活動しようとする際、たかやさんは「とある人物」の理論を意識して取り入れ実践している。
その結果、「けん玉ランナー」としての今日の活躍があるといっても過言ではないだろう。
その「とある人物の理論」とは・・・・
複数の肩書きを掛け算してレアな存在になる
たかや「教育改革実践家 藤原和博さんの書籍を読んだ時、肩書きを掛け合わせる理論に共感を得たんです。」
藤原氏が提唱する理論は
「100人に1人の掛け算を3回繰り返して、独自性を確立する」
という内容だ。
- まずは一つの分野で100人に1人の人材になる。
- さらに別の分野で100人に1人の人材になると、掛け合わせて10,000人に1人の人材となる。
- さらに別の分野を同様に掛け合わせ、結果1,000,000人に1人の人材になれる。
たかやさんは「ランナー×けん玉」を掛け合わせたのも、藤原氏の理論を意識していた。
たかや「例えば猫ひろしさんは、「芸人×ランナー×カンボジア人」で圧倒的にレアな存在になっています。自分はどれだけランナーとして努力を重ねても、オリンピック選手になれるわけではありません。」
とても現実的であり戦略的な考え方に頭がさがる。
はまじ「ランナー×けん玉ときて、次は何を掛け合わせますか?」
たかや「活動を知ってもらうために、動画編集に力を入れています。3つ目は動画編集でいきたいです。」
「ランナー×けん玉×動画編集」
はまじ「・・・けん玉ランナー動画クリエイター たかやさん」
たかや「長いですね(笑。いい肩書きを考えてみますよ。」
藤原氏の理論以外にも、けん玉の練習ではメンタリストDaiGo氏の科学的学習法を応用している。
100万人に1人になるためには、並大抵の努力では実現しない。
でも、たかやさんならきっと実現していく未来が待っている。
未来に向かって走り抜けるたかやさんの姿が、一瞬見えた気がした。
スタイリッシュなたかやさんのパワーの秘訣は?
たかや「マラソンもけん玉も努力が報われやすいという点は共通しています。練習した分、その見返りがある。」
マラソンは練習の積み重ねによって、タイムが速くなっていく。
けん玉は一つ一つの技を身につけていく。
たかや「レベルアップをしているのが楽しいです。熱中できるものがないと人生って面白くないですから。」
また最近、嬉しかったのがSNSで届いたメッセージ。
「たかやさんの動画を見て、娘がけん玉を始めました!」
たかや「けん玉は大人も子供も、体力差関係なく一緒に遊べます。マラソンやサッカー、野球などにはない魅力です。もっと上達して、今後はけん玉の良さ・楽しさも伝えていきたいですね。」
「けん玉ランナーたかや」の目標
【ランナーとしての目標】
今年中にサブスリー※を達成する。
※.市民ランナーがフルマラソンで、3時間を切るタイムで走ることをいう。
【けん玉の上達目標】
アドバンス1級の獲得
その後ステップアップし、けん玉先生の資格をとる。
【動画制作目標】
参加した全てのマラソン大会をYouTubeで発信し、ランナーさんの課題解決につながる動画を制作し、少しでも他人の役に立つこと。
出場予定マラソン大会
- 北海道マラソン
- 松阪シティマラソン
- お伊勢さんマラソン
※.10月以降に月2回ペースでマラソン大会に参加予定。
志も高く、目標も具体的なたかやさん。
はまじ「最後に未来を切り開いていく、子供たちや若者にメッセージをお願いします!
たかや「自分は子供の頃に色々悩んでいた時期もありました。子供の頃の自分も含めて伝えたいのは、大人になればなるほど人生って楽しいってことです。ぜひ、好きなことに挑戦してみてください。」
インタビューを終えて、僕はたくさんのエネルギーをもらったように思う。
けん玉ランナーたかやさんは、
- 努力の人であり
- 常に挑戦者であり
- そして100万人1人に到達するであろう人
だった。
「マラソン大会で見かけたら、ぜひ声をかけてくださいね」と気さくに話すたかやさん。
今日もどこかで颯爽と風を切り、華麗なけん玉さばきに磨きがかかっていることだろう。
けん玉ランナー たかやさんを応援しよう「関連リンク」
takaya_runner/たかや けん玉ランナー Instagram
@takayankees2/たかや けん玉ランナー Twitter
濱地雄一朗。南伊勢生まれの伊勢育ち。三重県といっても東西南北、文化や自然・食と魅力で溢れていることに気づき、仕事もプライベートも探求する日々を過ごす。探求を続けると生まれた疑問、それが「何で◯◯が知られていないんだ」ということ。それなら、自分でも伝えていくことだと記者活動を開始。専門は物産と観光、アクティビティ体験系も好物。自身で三重県お土産観光ナビも運営中。