もうすぐ春ですね。
春といえばお馴染み「ヤマザキ春のパンまつり2019」も絶讃開催中ですが、今回はローカルに根ざしたパン屋さんを訪ねました。
Made by 大栄軒
JR四日市駅のほど近くにあるオールドスクールな雰囲気の大栄軒。
古着屋やレコード屋のような佇まい。
店に入ると明るいおばちゃんが出迎えてくれた。
懐かしさを感じる菓子パンや惣菜パンなど。
これらはすべて大栄軒の手作りパン。
生地から作っている。
しかもほとんどのパンを、このお店で手売り。
おばちゃんにお店についていろいろとお聞きした。
朝4時くらいからパン作り。やはりパン屋の朝は早い。
今は息子さんとお二人でパンを作っている。
創業は1937年(昭和12年)。
先々代が愛知県半田市で修行をして、四日市にお店を開いた。
三代目となる息子さんはDJでもある。
おばちゃん:あ、それね。松本零士さんが駅の近鉄百貨店にきたときに息子が飛んでいってね。
戻ってきたお客さん
このあたりには大手保険会社などもあるオフィス街がありそこにお勤めの人や、朝に建築現場などへ行く大工や建築作業員の常連など、地域の人が多く通うパン屋。
しかし、この辺りにはコンビニもある。
お客さんはそちらに行ったりしないのだろうか?
おばちゃん:コンビニができたときは、一時的にお客さんが減りました。でもね「やっぱり生地の味が他と違うんやわ」って、戻ってきてくれるお客さんが結構いるんです。
私も大栄軒の菓子パンをいただいたが、生地がやわらかいだけでなく、ほどよくしっとりしていて、小麦の味がある。表現が難しいけど「パンを食べたー!」という満足感がある。
ちなみに大栄軒の一番人気は、スウィートパン。
中にメロンクリームがサンドされている。
それにしても、個人のパン屋にしては全体的に値段が安いと思った。
おばちゃん:やっぱりお客さんのことを考えると、値段を上げれへんのです。
早朝からパンを焼き、昼間は店に立つ。
そんなおばちゃんの愉しみは何なのだろうか。
おばちゃん:常連さんと懐かしい話をしたりするのが、愉しいです。
昔から続いている町の小さなお店には、何か秘訣がある。
大栄軒は手作りにこだわり、味を守る。
そして何よりこのお店からは「愉しい」が溢れているような気がした。
とあるクリエイターはいった。
才能とは、好奇心の強度。
そして発想力を鍛えるのは、暮らしを愉しむことだと。
人生を愉しむリミッターを少しだけ解放して、生きたくなった。
大栄軒製パン所
四日市市朝日町1-10
tel 059-352-5619
村山祐介。OTONAMIE代表。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩と自転車。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事