伊賀に新たな酒場スポットができたと、しかも伊賀酒の種類がすごい!と聞いて行ってきました。
場所は伊賀鉄道「上野市駅」から徒歩5分。”天神さん”の愛称で知られる上野天神宮(菅原神社)のすぐ横にある小さな商店街「天神商店街」。
30年以上前からあるレトロなムード漂う商店街でしたが、昨年、内部をリニューアル。明るくなって、昔から愛され続けているお店に加え、新店も増え、じわじわと楽しくなりつつあるスポットです。
この商店街に昨年11月にオープンしたのが「酒肴処くらり」。
天神さん側から入ると、一番手前にあるお店。藍色ののれんが営業中の目印です。
外から中が見えない感じが大人な雰囲気ですね。
のれんをくぐって中に入ると店主が笑顔で迎えてくれました。
結城秀也さん(29)
なんと、昨年まで「半蔵」の銘柄で知られる、大田酒造(伊賀市上之庄)で酒造りをしていた元蔵人という経歴の持ち主。
お店のコンセプトは「伊賀酒と旬彩を楽しむ大人の酒場」。
店内はカウンター6席ほどの小さなお店ですが、大きな冷蔵庫の中にはあふれんばかりの日本酒が!!
「伊賀酒は大田酒造さん、森喜酒造場さん、若戎酒造さんを中心に常時30種類。ほかに季節限定酒や県外のお酒も合わせると60種類くらいになっちゃいました」と、嬉しそうに話す結城さん。
―なぜ蔵人から和食店の店主に??
「もともと料理人なんです。調理師の専門学校を卒業してから7年間ほど、寿司店やホテルの和食店などで修業していました。いつか独立して自分の店を持ったときに、料理以外の得意分があったらいいな、何かスキルを身につけたいな、と考えていて…」和食には欠かせない、そして自分自身も大好きな「日本酒」を学ぼう!と、蔵人になることを決意したと言います。
そして2015年、地元伊賀で求人のあった大田酒造へ就職し、本当に蔵人に…。
造り手として日本酒にふれながら、日本酒愛をはぐくみ、2018年いよいよ独立を決意。
当初は大阪や津市など、伊賀の外でお店を持つことを考えていたそうですが、「伊賀地域(名張市も含め)は11軒もの酒蔵がある酒どころなのに、伊賀酒が飲み比べできるようなお店がないのはもったいない!観光客はもちろん、地元の人にもちゃんと伊賀酒にふれてもらえる店をつくりたい!」という思いが強くなり、生まれ育った地元で、伊賀酒にこだわった和食店「酒肴処くらり」をオープンさせたのです。
ー日本酒400円~、料理1000円~、酒器にもこだわり
日本酒メニューの一部です。元蔵人の人脈と知識をフル活用したラインナップで、酒類の豊富さだけでなく、他では飲めないレア酒やマニアックなお酒も充実。
日本酒は1杯(60ml)400円~。「ひとつの蔵でもでもいろんな銘柄、バリエーションがあることを知ってもらえたら嬉しい。いろいろ飲み比べしてもらえるように、少量から飲めるよう設定しました」と結城さん。
カウンターに座ると目の前には、日本酒の瓶がずらっと並んだ冷蔵庫。この景色をアテに飲める!そう思うほど、酒好きにはたまらない品揃えです。
器も「伊賀もの」にこだわっていて、陶器は伊賀の作家さんが手掛けたもの。ほかにガラスや錫など素材の違う酒器も揃えており、「同じお酒でも酒器によって味わいが変わる楽しさを感じてもらえますよ」と、にっこり。
お燗は1合600円~。
「いろいろな温度帯で味の変化が楽しめるのも日本酒の魅力。錫のチロリでじんわりとやわらかな燗酒をどうぞ」という具合に、どこをとっても日本酒愛に満ちた言葉が出てきます。
気になる料理はコースが中心で、基本のコースに一品料理を追加することも可能。
日本酒がすすむ、素材の良さを生かしたシンプルな料理を心がけているという結城さん。
魚は地元の鮮魚店で天然ものだけを毎朝仕入れています。お造りには、山葵だけでなく、岩塩がちょっと添えてあるのも、酒好きにはたまらない。
気軽に楽しめる「ちょい飲みコース」1,000円。日替わりで酒肴が3種類。出汁を多めに含ませてつくるだし巻き玉子はふわふわ食感で、中からジュワっと、しっかり酒アテ。くらりの人気メニューだそう。酒肴をつつきつつ、好きなお酒をチョイス♬なんて楽しいのでしょう。
あれもこれもと、ついつい呑みすぎてしまいます。幸せ!
「日本酒好きな人はもちろん、日本酒はあんまり・・・という人にこそ、来てほしい。その人の好みに合った日本酒をご提案して、喜んでもらえたら最高ですね。やっとスタートしたばかりのお店。たくさんの方に日本酒の魅力を伝えられるように日々精進します」と、若き店主は終始熱く語ってくれました。
伊賀にできた伊賀酒の発信基地!ぜひチェックしてみてくださいね。
■酒肴処くらり
三重県伊賀市上野丸之内39天神商店街内
電話:0595-51-4160(予約優先)
営業時間:18:00~22:30
定休日:不定休
instagram.com/kurari.iga.sake/
kanzaki chiharu。OTONAMIE公式記者。伊賀市在住のフリーライター。出身地、広島のタウン誌→東京の編集プロダクション→フリーランスとして独立して早20年。現在は伊賀に拠点を持ち、伊賀の情報誌の執筆をはじめ、企業広告コピー、イベント企画提案などを手掛ける。日本酒好きが高じて、「伊賀酒DE女子会」の企画運営をはじめ、日本酒関連の執筆、コーディネート、イベント運営も行う酔っぱライター。得意ジャンルは日本酒、伊賀情報。2016年「日本酒女子普及委員会」会長に就任。https://ameblo.jp/iganonihonsyudaisuki/