ホーム 01【食べに行く】 日本らしい暮らしの美しさ。波乗守を付けて漁村を旅する@安乗

日本らしい暮らしの美しさ。波乗守を付けて漁村を旅する@安乗

シェア

私:え、ここで買えないんですか?

デザイナー中谷武司さんが手がけた波乗守。

伊勢市河崎にあるショップ中谷武司協会で、私はそのお守りに出会った。

しかし、考えてみれば当然だ。
だって神社のお守りなのだから。

ならば神社に買いに行くしかない。
せっかく行くなら記事にしよう。
ネットであれこれ調べ、取材の手配は完了。

 

リュックにお守りを取り付け、安乗を散策。

今回訪れたのは志摩市安乗。
人口約1,800人の岬にある漁村だ。

細い道をクルマで駆け上がると、

そこには四角い灯台。

視界に収まりきらない海と空。
この景色を観て、思い切り深呼吸できただけで、来て良かったと思った。

安乗埼灯台から歩いて数分のところにある安乗神社へ。

初穂料を納め、お目当ての波乗守を手に入れた。
私は嬉しくなり、さっそく背負っていたリュックにお守りを取り付けた。

安乗のとなりは近畿地方のサーフィンのメッカ国府の浜。
波乗守を買いにサーファーも訪れる神社。
波乗守は開運の波に乗るという願掛けがされたお守り。

境内を歩き、あれこれ眺める。

コンクリートでできていて、カタチや色合いが何とも愛らしく神秘的。
子どもが産まれたら詣る場所だと、禰宜さんが教えてくれた。
ここ安乗はかつて畔乗と書いた。
時は文禄の役(1592〜1593)、志摩国の海賊大名だった九鬼水軍の九鬼嘉隆がこの沖を通る際に船が止まってしまい、八幡宮(現安乗神社)に詣ったところ、船は動いたことから、畔乗から安乗に地名が変わったとのこと。

因みに国指定重要無形文化財に指定されている、安乗人形芝居の起源もこの時だという説もある。

歴史ある神社内の細い道を歩いていくと・・、

赤い鳥居が映える景色。

神社を後にして、くねくねした細い道を歩いた。

漁村ならではの張り紙や、つい写真を撮りたくなるブロック塀。

きんこ芋工房上田商店に到着。

お洒落な店内。

海女さんや漁師さんのおやつでもあった、きんこ芋。
上田商店では芋から畑でつくり、家庭のおやつではなく商品として製造したのは上田久和さん。

橘麻衣さん。

その娘さんである麻衣さんと弟の圭祐さんが、この店を切り盛りしている。

麻衣さん:あ、そのお守り!安乗神社のですね。私も子どものランドセルに付けてますよ。

パティシエとしてのキャリアを持つ麻衣さんがつくる、店内で味わえるソフトクリームは、甘さ控えめ。使われている芋密は砂糖不使用だが、素材の甘みが味に深みを出す。

やはり漁村にきたら漁港に行きたい。
事前に取材許可を取っておいた、安乗漁港へ向かった。

 

お兄さん、ええお守り付けとるね。

漁港に到着。
歩いていると・・、

軽トラに伊勢海老。

日が暮れるころ、漁港にはブランドふぐ「あのりふぐ」を乗せた漁船が帰ってきていた。

昭和61年から稚魚を放流するなど、ブランド化の立役者であり、三重外湾漁協の組合長である淺井さんと奥さん。あのりふぐは夫婦で漁を行うことが多いと教えていただいた。

淺井さんのふぐ漁は、夜中1時に船を出し帰ってくるのは夕方。

淺井さん:昔から安乗では「ふぐはお姫様のように扱え」といいます。

船の上で測量を行い素早く入札を行う。
入札は漁船の大小それぞれのイケスを一隻単位で行う。
人の指も噛み切る程歯が鋭いあのりふぐは、釣り上げられた船上で漁師が歯を切り、イケスの中でふぐどうしが傷つけ合わないようにする。

言葉通り漁港では、ふぐに極力ストレスを与えず、できるだけ海水から出さないように丁寧に扱われ、生きたまま水槽に入れて出荷されていた。

漁港を興味深く眺めながら歩いていると、ひとりのおじさんが話しかけてくれた。

おじさん:お兄さん、ええお守り付けとるね。あそこの神社は元々勝負の神さんや。

おじさん以外にも、港にいたおばさんにもお守りをきっかけに安乗神社について色々と教えてもらった。淺井さんに安乗に暮らす人と安乗神社について訪ねると、小さな町だがみんな神社を大切にしているとお応えいただいた。

日が暮れた帰り際、私は訪ねた。
淺井さんにとって安乗での暮らしとは?

淺井さん:私は昔から豊かな海がある安乗で産まれ育ち、良かったと思います。それと努力をするとおもしろいです。新しい漁場で大漁するときもある。だから私は漁が好きで漁師を続けたい。死ぬまで努力です。

漁港の堤防に書かれたメッセージ。

帰り道、クルマを運転しながら、なぜ私は漁村に惹かれるのかを考えていた。
もちろん都会が嫌いな訳ではなく、暮らしたこともあり今でも都会に行く事もある。
しかし私自身、20代の時のような都会への憧れは薄れてきていると感じている。
勝手な例えだが、その魅力を着る物で例えるならば、煌びやかな都会は最先端のスーツだとすると、漁村は昔ながらのやり方で丁寧に織り上げた生地で仕立てた着物のような、風情ある魅力を感じる。
漁村には浦々それぞれに歴史文化があり、都会のように平均化されていない魅力的な雰囲気がある。
自然と共に生き、神社などを大切にして地元に誇りを持って暮らす人々。

それは “日本らしさが織りなす、暮らしの美しさ” だと思う。

そんなことを考えながら、波乗守が紡いでくれたご縁に感謝しながら帰路についた。

 


 

中谷武司協会
伊勢市河崎2丁目4-4
tel 0596-22-7600
hp http://www.emelon-shop.net/about.html

安乗神社
志摩市阿児町安乗844
tel 0599-47-3423

きんこ芋工房上田商店
志摩市阿児町安乗1076-2
tel 0599-47-3517
hp http://kinkoimo.com

三重外湾漁協志摩支所安乗事務所
志摩市阿児町安乗355-22
tel 0599-47-3311

 

 

yusuke.murayama

村山祐介。OTONAMIE代表。OTONA MASTER。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩と自転車。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で