ホーム 00冬 牡蠣漁師が焼く牡蠣を現地で食べる。暮らしの中にある美しさ。浅尾大輔さん

牡蠣漁師が焼く牡蠣を現地で食べる。暮らしの中にある美しさ。浅尾大輔さん

キンと冷え込む冬の朝。
布団にくるまり、私は休みの日にはついつい二度寝・・。

そんな前書きは置いといて。

これを食べれば、牡蠣好きはほっぺが落ちて笑顔になる。
美味しい冬がやってきたのだ。

 

「みんな」に育てられる牡蠣

鳥羽水族館方面にクルマで走ると浦村に着く。

鳥羽駅からクルマで約10分。

取材ということもあり、オープン前にお店に到着。

目の前には美しい海が広がる、孝志丸かきっこ。

軽トラで颯爽とやってきたのは、浅尾大輔さん(過去記事はこちら)。

ここの牡蠣小屋を営み、自ら養殖も行う養殖漁師だ。
私は牡蠣が好きで現地に買いに行ったり、食べ放題の牡蠣小屋に行ったりする。
ここの牡蠣小屋がいいなと思うのは、牡蠣に精通した人が目利きした牡蠣を焼いてくれることだ。

浅尾さん:牡蠣は直火で焼くと身がギュッと堅くなってしまうので、溶岩石で焼いています。

焼き鳥屋の大将がこだわりの備長炭で鶏を焼き上げるように、浅尾さんはそういう。
ところで美味しい牡蠣はどのように育つのだろうか。

浅尾さん:海が育ててくれるんです。山が元気やから牡蠣も元気。みんなが育てる。

浅尾さんが牡蠣を養殖している鳥羽市浦村町は、伊勢湾と熊野灘が交わる海域。
木曽三川や宮川など山から豊富な養分を含んだ水が伊勢湾に流れ、黒潮の海流とぶつかり絶好の漁場で元気な牡蠣が育つ。
そして牡蠣の養殖の網の場所によっても、育ちは変わるという。

浅尾さん:牡蠣に相談するんです。どこに網を持って行こかなって。

牡蠣は冷たい海で孤独に育っているのではない。
浅尾さんは牡蠣を揺らしたり、海から出したり戻したり・・。

浅尾さん:3日くらい海水から出してまた海に戻すと、牡蠣はすごくエサを食べるんです。

自然と共に生きる人をここでも発見(前回記事)。
海と山の自然の循環、そして浅尾さんという人。
言葉どおり、牡蠣は「みんな」に育てられている。

 

牡蠣は甘みを出してくれる

牡蠣は旬でもその時々で味が変わり、この牡蠣小屋にはその違いを愉しみにくるお客さんもいて、冬のイメージの牡蠣だが春先もまた格別らしい。

撮影のためにビールはグラスに注いでいただいた

浅尾さん:山から流れ着く雪解け水は、牡蠣にとって栄養が詰まっている水。シーズンの最後に牡蠣は甘みを出してくれます。

お店ではあかもくや伊勢うどんも愉しめる

まるで我が子の話をするように牡蠣を語る浅尾さんは、最近話題の海藻「あかもく」を手がけた第一人者でもある。そして浜のない場所であさり養殖も成功させ、農水省の天皇杯に日本最年少で選ばれた先進的養殖漁師だ。

浅尾さん:養殖漁業はこんなにも面白いのに、なんでみんなやらないのかなって思うんです。

自宅の横が牡蠣小屋で、浅尾さんのお子さんが伸び伸びと遊んでいたのが印象的だった。

大阪から三重に移住し、養殖漁師になり、次々と偉業を成し遂げている浅尾さん。
そのキラキラと輝く目は、仕事をそして人生を愉しんでいる証拠でもある。

冬の朝、浦村にはやわらかなお日様の光が降り注いでいた。

休みの朝は布団をはね飛ばし、あたたかな光を浴び鳥羽の絶景を眺めながら、また絶品の牡蠣を愉しみに行こうと思った。

 


 

追記
そういえば、三重の牡蠣が全国に先駆けて海外に輸出されることが決まったというニュースが最近あった。また先日、鳥羽駅近くの炉端焼きで牡蠣を食べていた外国人に話かけたところ、美食の聖地サンセバスチャンからやってきた若手シェフだった。東京で仕事をして、鳥羽に食材探しの旅に来ていたらしい。
海外で三重の牡蠣を食べて三重を知り、こちらにグルメ旅に来るなんてことになったらいいのにな、という期待を込めて追記しました。

To foreigners !

 


 

焼きガキの孝志丸かきっこ
鳥羽市浦村町今浦1-12
tel 0599-32-5916

 

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