ホーム 02【遊びに行く】 首都圏の大学生たちが田舎町の中学校で”世界を広げる”授業をしました。(後編)

首都圏の大学生たちが田舎町の中学校で”世界を広げる”授業をしました。(後編)

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彼らの授業をみるために、当日南島中学校へ赴く。
二校で分かれて授業をするため、南勢中学校は断念。

まず立ち寄った場所は、校長室。
大学生に期待することはなんですかと、校長先生に尋ねる。

校長先生:自分の想いを実現するために、どういう道があるんやろか。

中学生のうちにどんなことをしたらええかってことを、
いろんな人から教えてもらえれば。

現場からの期待がひしひしと伝わってくる。
なんとなく、学校中に緊張感が漂っているような感覚がした。

リハーサル中の教室に着いた。
そこには、”本気”の学生たちがいた。

日本大学一年の巧くんは言う。

巧くん:南伊勢町はすごく良いところだけど、

それは外から来た僕だからこそわかることでもある。

 

僕が群馬から東京に出ているから、”東京に一度出るメリット”を伝えたいです。

彼が伝えたいのは、東京でしか経験できない経験や出会いの数。
自分の知らない土地で感じる新しい刺激。

 

明治大学三年の高橋さんは、
自分に役割があることが嬉しいのだという。

高橋さん:都会にいたら大学生なんていくらでもいる。
でもここは、大学生がいないから。

自分にできることがあるっていうのが、嬉しいんです。

中学生の頃に自分が知りたかったこと。
高校受験に失敗した経験がある彼女は、”目的をもつことの大切さ”を伝えたいとも話してくれた。

 

さあ、授業の時間。
緊張の紐をほどくように、大学生は話し出した。

大学を身近に感じながら、将来について”楽しく”考えてほしい。

いろんな選択肢をみてみてください。

大学生たちはそう、繰り返す。
今回のキャリア授業のテーマは、”地理も積もれば山となる”だ。

いろいろな地理の情報を知れば知るほど、選択肢の大きい山ができるよ。
その大きい山のなかから自分らしい選択肢を見つけてください。

なぜ東京に行ったのか。
東京に来て良かったこと、悪かったこと。

東京が良いということを伝えたいわけじゃない。
東京をひとつの選択肢として、南伊勢や他の場所と比べてみてほしい。

だから、しっかり悪いところも伝える。

 

大橋くん:いろんな国に行くと食べ物が違うし、根付いている文化が違う。
いろんな違いがわかって比べられるようになって、
そのなかで自分が楽しく生きれるところがわかってくる。

 

僕は三重県が一番好きです。

三重県出身で、大学進学を機に上京した慶応義塾大学四年生の大橋君。
大学生活で多くの国を旅した大学生が伝える言葉だった。

 

高橋さん:私は自分の強みを見つけたくて東京に来ました。
東京には自分にない経験を持っている人たちがいっぱいいます。

悩みを抱えて大学に進学した。
大学生は別に特別な存在じゃないと、高橋さんの言葉。

 

それぞれが中学生に想いを伝える。
それを聞いた中学生はなにを”想う”だろう。

キャリア授業を終えて、それぞれが感じたこと。

授業終わりの光景。
表情から伝わってくる。

彼らは、やりきった。

学生:自分の話を聞いてくれているときに、中学生の目がキラキラしてたんです。
自分たちも楽しみながら、相手も楽しんでくれてた。

その関係が嬉しかった。

休憩の時間に中学生が話しかけてきてくれたことが嬉しかった。
その子の名前も覚えた。

学生:”授業でいろいろなことを知れた。
でもやっぱり南伊勢が一番好きだ”っていう中学生の言葉が印象に残りました。

 

首都圏ばっかりじゃだめだという気持ちが、
ちゃんと伝わってくれて良かった。

首都圏大学生によるキャリア教育は、
中学生に自分の町の魅力を考えさせる機会にもなった。

教育長から表彰を受ける。

何ヶ月もかけて準備して、授業をやりきった大学生。
そしてそこには、学生を見守り続けていた南伊勢太郎の姿もあった。

彼らの目には、どんな風にうつっただろう。

太郎:たとえばおれが育ったところは、周りが9割方土方だよ。

東京に行こうなんて、まったく思わない。

 

そんな中で進路を決めるんだよ。

普通は東京に行こうなんて考えるやついない。

 

ああ全然いけんじゃん。それって全然選択肢じゃんっ、て。

授業を聞いた中学生たちは、きっとそう思えたよ

そして、ポツリ。

中学の時、おれもこんな授業受けたかったな。

 

 

 

地元のためになにかがしたいという南伊勢太郎の想い。
それがいつしか学生たちに伝播して、彼らは本気でキャリア教育に挑んだ。
その”想い”が次は、中学生に伝わった。

想いが人に、伝わり続ける。

太郎:本当によくやってくれたな。

縁もゆかりもない南伊勢のためにここまでやってくれたのは、地元の人たちと関わることで、南伊勢に何か恩返ししたいなって想いを抱いてくれたからなのかな。

人と人を繋げるのは、”想い”だ。

“想い”をもった人間の行動は、
人を感動させる力がある。

その感動は人を巻きこみ、”プロジェクト”に変わる。

南伊勢太郎は学生たちへ、言葉を贈る。

本当に来てくれてありがとう。

 

無理して毎年こなくていいから、

年とったらまた、みんなで集まろうぜ。

彼らが南伊勢で引き起こした感動の波は、また次の”誰か”に届く。

きっとこのプロジェクトは、終わらない。

南伊勢太郎の三人と、一・二・三年目それぞれの学生代表。
伊澤峻希

シティーボーイを捨てて、神奈川県から三重県南伊勢の漁村に引っ越しました。職業は新卒漁師。

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