ホーム 01【食べに行く】 gyoson. 漁村でタコヤキとやさしい時間。

gyoson. 漁村でタコヤキとやさしい時間。

シェア

このぉ〜、イカ野郎・・。
素振りし過ぎて、指にイカができちゃって・・。
耳にイカができるくらい聞いたわ・・。

イカでは迫力が足りない。
そこは、タコでなくては。

今回は賢島から定期船で向かった。

土用のタコは親にも食わすな。
という言葉があるくらい、タコは美味しい。
刺身でも煮ても揚げても良し。
そしてタコヤキも。

船は乗っているだけでなんだか楽しい。

丸いフォルムにドロっとした褐色のソース。
マヨネーズビームと青のり。
鰹節が、アツアツのそれの上でゆらゆらとおどる。
シズル感たっぷりのタコヤキに誘われ、口にほおばる。
「あふぅ!あっ!あっつ!」

離島間崎島が見えてきた。南国みたい。

外はカリっと、中はトロっと。
それは世の中の美味しい食べ物に共通する法則のひとつだと、私は勝手に考えている。
外カリ、中トロ。
無論、タコヤキも例外ではない。
さらにタコヤキは、タコのコリっとした食感がある。
外カリ、中トロ、後コリ。
これは3Dなのだ。
食感に立体感がある。

ごはんのおかずにはならないけど、酒のあてにもってこいだ。
アツアツのタコヤキを冷えたビールで胃袋に流し込む、至福のひととき。

賢島から20分くらいで和具浦に到着。

鳥羽や志摩の海には、宮川などから山の養分を豊富に含んだ水が流れ着く。
養分を含んだ水はプランクトンを育て、そこに小魚が、そして小魚をめがけて大きな魚もやってくる。
比較的海面の浅いリアス式の海では、そのような水が海藻を育て、海藻をエサにする鮑などが育つ。
それらをエサにしている伊勢海老も育つという、恵まれた海だ。
そして贅沢にも伊勢海老やアワビなどをエサにしている、タコ。
そんな産地で、タコヤキを食べたい。

おかあちゃん:おう、また来てくれたん。まぁ、座ってなぁーあ。

店のおかあちゃんは、昔からの知り合いのようにいつも迎えてくれる。
最初に訪れたのは、昨年に穴子丼の記事を書いたとき。漁村の店だ。
そのときに、近所の人がお持たせ用にタコヤキを買っていたのを覚えていた。

私:タコヤキのタコって、ここで捕れたもの?
おかあちゃん:タコも穴子もそう。今日のタコはちょっと小さいけどなぁーあ。あ、今日は鰻もあるから焼こかー?

三名で訪れていたので、穴子丼と鰻丼、そしてタコヤキを注文した。
クルクルっと焼かれ出てきたタコヤキ。

ここで食べるからこそのタコヤキ。
美味しいのはもちろん、ゆっくりと話すおかあちゃんとの時間がとても贅沢な気がした。

食感が絶妙で素材の味を活かした、甘ったるくない穴子丼もやっぱり美味しい。
鰻丼もしっかりとした歯ごたえがあり、いかにも天然物という感じがした。
その地のものをその地でいただくという、贅沢。
メディアやインターネット、グルメ本に載っていない店。
飾り気もないし、商売気もない。
しかしそこには、やさしく懐かしい時間が流れている。

その後もここで捕れた魚やカニを焼いてくれたり、おかあちゃんが漬けた漬け物を食べ比べしたり、口なおしにサクランボもいただいた。
お茶を何杯も淹れていただきながら、たくさん話をした。
いつまでも居たくなるのだが、お会計をしてもらった。

私:これ間違ってますよ。鰻丼と穴子丼の値段しか入ってない。
おかあちゃん:ほんまぁーあ。まぁ、ええよ。
私:いやいや、あかんよー。
あかあちゃん:ほんなら、タコヤキ代だけ。

ごはんのおかずになれないタコヤキ。
お会計に入れ忘れられていたタコヤキ。

でも、まるくてやわらかいそんなタコヤキが、私は好きだ。

 


 

和具浦荘
三重県志摩市志摩町和具2237-1
tel 0599-85-0003

 

yusuke.murayama

村山祐介。OTONAMIE代表。OTONA MASTER。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩と自転車。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
シェア