『実は、白身の扱いに困っている』
卵かけご飯が大好物だという友人から、
ある日のカミングアウト。
好きなのに、
すごく好きなのに、
あの白身のドロッがちょっと気になると言うのだ。
もっと美味しい食べ方があるのでは?
自己流はそもそも正解なのか?
ジャパニーズフード 卵かけご飯。
シンプルゆえに奥深い。
もう卵のことは鶏に聞こうよ。いざ、あの共和国へ!
向かったのは、
伊勢自動車道 勢和多気IC下車3分のあの国。
いかした看板が超目につく、
コケコッコー共和国だ。
ものすごい圧を与えてくる、
巨大モニュメントを横目に、
共和国へと続く山を登る。
このモニュメント、
夜な夜な動き出すとの噂もあるが、
発砲スチロール製で風になびく仕様らしい。
さぁ、いざ入国。
もう逃げられない。ケッコーな洗脳。
コケコッコー共和国~山の駅 よって亭。
そこは国内最大規模である、
平飼い有精卵の養鶏所。
まず必然的に耳に入ってくる、
共和国の歌がすごい。
♪ケッコケッココケッコー
ケッコケッココケッコー
とりの学校 コケコッコー共和国♪
女児が切なげに歌いあげるこの1曲が、
敷地内に無限ループで流れ、
気付けば無意識に口ずさんでいるというパワーソング。
社員さん曰く、
社内旅行でも歌われるが、
もれなく”盛り下がる”名物社歌なのだそう。
更にどこからともなく聴こえる、
ニワトリの雄叫びと山羊の鳴き声。
え、山羊??
そう、山羊。
その他、ラブベンチを始めとし、
シュールな記念撮影スポット多数。
卵かけごはん卵食べ放題390円
ここでぜひ立ち寄りたいのは食堂。
人気NO.1は、
卵かけごはん卵食べ放題390円。
新鮮な卵が追加自由。
卵コツコツ。
殻ピキピキ…
パカッと。
お目見えする美しいお月様。
ほかほかご飯の真ん中にくぼみを作って、
とぅるる~んと流し込む。
オリジナルのお醤油を数滴たらし、
さぁ、完成!!
コクと甘みが、
しっかりと感じられる美味しい卵。
2個3個と追い黄身をして、
濃厚な卵を楽しむ贅沢な卵かけごはん。
だいたい1人3~5個は、
ペロリと食べられるのだそう。
とり焼肉も名物で、
卵黄をたっぷり絡めるのがおすすめ。
ちなみに、平日ランチは超おとく。
社長に聞いた、卵かけごはんの正解は?
この地に、
コケコッコー共和国が出来たのは約20年前。
当時はダチョウや七面鳥などの様々な鳥がおり、
鶏にも触れられる鳥の国だった。
ところが世間で鳥インフルが流行し、
今では大事をとり、
離した環境で飼育するようになったのだそう。
今回直接、鶏に会えなかったため、
コケコッコー共和国の社長さんに、
卵かけごはんについて聞くことにした。
―—卵かけごはんの作り方に正解はありますか。
社長:『何でもいいと思います。好きなように食べればいいんですよ』
―—社長はどのように召し上がっていますか。
社長:『ご飯の中央にくぼみを作り、卵を落としますね。別皿で卵白をメレンゲ状にすると美味しいとも言いますが、洗い物が増えるのがちょっと…』
―—主婦的意見に激しく同意です。あの白身のドロっはどう頂くのがよいでしょうか。
社長:『カラザですね。苦手なら除いてもらってもいいのですが、シアル酸という抗がん作用のある物質が含まれるなど栄養満点の部分なので、出来れば食べてもらいたいな』
―—平飼いの特徴を教えてください。
社長:『自然に近い環境の平飼いは、運動量が多くストレスが少ないという血液検査の結果が出ています。餌も酵素入りの飼料などこだわっているので、卵の濃厚さに自信がありますよ』
―—雄雌の割合はどれくらいなのでしょうか。
社長:『うちは有精卵なので、メス100羽に対しオス5羽の比率で飼育し、受精率は80%以上です。メスはオスの気を引こうとよくつつくのですが、オスは黙っています。オス同士は縄張争いでよくケンカをするのですけどね』
―—オスのジェントルさに感心しました。そしてハーレムも過度だと苦労も多いのですね。
―—社長は正式には国王ですか。
社長:『社長です。ここは鳥の国なので。昔は七面鳥の大統領がいたのですが、世間で鳥インフルが流行りだした頃、触れ合いが難しくなった為、大内山動物園へ引っ越ししました。当時は卵拾いの体験もしており、こどもたちの食育にもなっていたのですよ。』
―—卵のおすすめの食べ方を教えてください。
社長:『個人的には、半熟の目玉焼きですね。コクと旨味を存分に感じられると思います』
卵かけごはんの、
正解を探しに入国したコケコッコー共和国。
結局、明確な答えはなかったが、
徹底した品質とこだわりを持った、
美味しい卵をたっぷり入手することが出来た。
朝晩の営業時間外でも卵を買いたい!
という人のために、
共和国のある山のふもとには自動販売機も完備。
今宵はきっと、
コケコッコーの社歌が夢にまで出てくるだろう。
そしてしばらくは、
朝ごはんを楽しみに目が覚めるだろう。
不安と希望で、もう胸はいっぱいだ。
photo / y_imura
取材日/2018.9.15
コケコッコー共和国 山の駅よって亭
住所:三重県多気郡多気町丹生4411-3
電話:0598-49-2039
福田ミキ。OTONAMIEアドバイザー/みえDXアドバイザーズ。東京都出身桑名市在住。仕事は社会との関係性づくりを大切にしたPR(パブリックリレーションズ)。
2014年に元夫の都合で東京から三重に移住。涙したのも束の間、新境地に疼く好奇心。外から来たからこそ感じるその土地の魅力にはまる。
都内の企業のPR業務を請け負いながら、地域こそPRの重要性を感じてローカル特化PRへとシフト。多種多様なプロジェクトを加速させている。
組織にPR視点を増やすローカルPRカレッジや、仕事好きが集まる場「ニカイ」も展開中。
桑名で部室ニカイという拠点も運営している。この記者が登場する記事