いつからだろう。
ボーとしている自分に、小さな罪悪感を感じるようになったのは。
—お日様のひかり
明るい太陽の日差しで目が覚めた朝。
昨晩は漁村を取材し、夜は地元の人と大いに吞んで語りそして笑った。
目が覚めても、その余韻が残っていた。
ここは尾鷲市三木浦にできたゲストハウス、ソワイ。
次の仕事まで、少し時間があった。
鍵をあける。
少し散歩をしてみることにした。
歩いてすぐに海がある。
目に飛び込んでくる自然。
耳には漁船の音。
肌をやく太陽。
深く深く、空気を吸い込む。
膨大な時間をかけて山は山となり、海は海になった。
空は空となり、鳥が自由に飛び回る。
人は地面に足をつけ、人になった。
私は、雨が降れば流れるほどの小さな罪悪感を持ち、風が吹けば飛ばされてしまうような小さな喜びを握りしめながら生きている。
行き交う漁船、小さな集落を眺めていると、人は自然に生かされているのだと感じ、どこからか疑うことのできない安心感と、同じ分だけ不安を感じた。
—懐かしいを、さわる。
ゲストハウスに戻り、あらためて建物を見つめる。
私は、古民家に住んだことはない。
だけど、何だか懐かしい。
太陽の光が差しこんでいる、レトロなガラス。
意味もなく、あちらこちらをさわりたくなる。
そして、ここに流れている心地よい時間を吸い込みたくなる。
扇風機を強にして、ごろんと大の字で畳に寝ころんだ。
私は、太陽の日差しで乾いた真っ白のTシャツのような気分だった。
いい朝だなと思い、宿を後にした。
漁師暮らしの宿 三木浦ソワイ
三重県尾鷲市三木浦町25
tel 0597-37-4010
hp http://owaseiju.wpblog.jp/mikiura/
fb https://www.facebook.com/mikiurasowai/
村山祐介。OTONAMIE代表。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩と自転車。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事