目に見える「何か」がある訳じゃない。
そんなところに行きたくなった。
以前、三重に移住してきた友人と話していた。
そして、二人で田舎の定義について考えていた。
結論、田舎とは無駄なものが少ないところ。
「なにもない」のではない。
目には見えない潮の香り、穏やかな波音。
そんな「何か」を感じる。
しばらくそうしていた。
昔から、日本人には余白に美を感じる文化があるという。
それにしても、びっしりと何かを詰め込まれがちな暮らし。
すみません。
もうこれ以上、何も入りません。
心の中にパンパンに詰まった瓶が、割れんとばかり踏ん張っている。
海にきて、心の瓶を逆さにしてみる。
無駄なモノが瓶からドロドロと流れ落ちた。
何でこんな無駄なモノ、こぼれないように必死に持ち歩いていたのだろう。
そんな疑問すら、ひと波ごとにどうでもよくなってくる。
そして忘れていたことを思い出した。
それは考えるのではなく、感じること。
考えてばかりだと疲れる。
そんな当たり前のことも、瓶がいっぱいだと忘れてしまう。
街中から少し走れば海がある。
「こんな何もない田舎なんて・・」
若いときはそう思っていた。
でも、ここで生まれ育ってよかったと思う。
写真に撮ると、南国の離島みたい。
あなたが暮らすそこには、なにもない?
町屋海岸
三重県津市栗真町屋町
村山祐介。OTONAMIE代表。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩と自転車。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事