伊賀は「造り手」の宝庫です。
蔵人、陶芸家、和菓子職人、料理人、農家、作家…
ライターという職業柄もあるのかもしれませんが、やたらと「造り手」とご縁があります。
そんな「造り手」と「造り手」が出会って誕生した伊賀ならではの和菓子をご紹介します。
伊賀の城下町で大正9年から創業している「くらさか風月堂」。3代目店主、倉阪浩充さんは、これまでも、TomiBerryいちご農園の苺を使った「いちご大福」、ファーマーズキタガワの完熟トマトを使った「トマト大福」、阿山農産の伊賀米を使った「おはぎ」、大田酒造の清酒と酒粕を使った「蔵さかまん」…などなど、地元の造り手とコラボした和菓子を世に送り出してきました。
「2014年から上野市駅前で月1開催している伊賀風土FOODマーケットに出店しているんですが、そこでこだわりの生産者さんや、蔵元さんとのつながりが出来て…。何か伊賀の魅力を伝えられるような和菓子ができないかな、頑張っている若い生産者さんの応援ができないかなと思ったのがきっかけ」と、話す倉阪さん。
季節感を大切にした和菓子づくりを続ける倉阪さんにとって、旬のものが地元で手に入る、その生産者の顔が分かるという「贅沢」を再確認する機会にもなったと言います。「実際に畑に足を運んだり、和菓子に使う品種やサイズなどを一緒に考えて…そんな風に一緒につくり上げていく感じが楽しくて仕方ない」と、少年のような笑顔を向けます。
そんな倉阪さんがこの冬手掛けたのが、伊賀の酒蔵、若戎酒造の酒粕を使った新商品「伊賀蔵酒菓~大人の酒(シュ)くりーむ大福」。
もともと「くらさか風月堂」の和菓子のファンだった若戎酒造の重藤邦子社長が、「うちの酒粕を使って何か和菓子を作って欲しい!」とオファーしたのがきっかけ。
気楽な気持ちで頼んだ邦子社長とは裏腹に、職人気質の倉阪さんは「期待を裏切るわけにはいかない。重藤さんを笑顔にするような、どこにもない新しい和菓子をつくらなければ…」と悩みに悩んで構想1年。
思考錯誤の末、新酒の季節に「大人の酒くりーむ大福」が誕生しました。
若戎酒造の代表銘柄「義左衛門」の酒粕を練り込んだ餡、生クリーム、さらに隠し味として荒く刻んだビターチョコをやわらかな御餅で包んだ大人の大福。
頬張ると酒粕餡の風味と香りがふわっ。そこに生クリームがやさしく寄り添い、酒粕特有のクセを丸くまろやかに感じさせ、ビターチョコのパリっとした食感と苦みが程よく引き締める。。。
酒粕の深みや香りを十分に感じさせつつも、クドくなく、和菓子のようで洋菓子のような・・・食べ終えた後、もう次の一個に手を伸ばしたくなる余韻もイイ!!
和菓子から若戎酒造の酒粕を感じ、寒い伊賀の冬に酒造りをする蔵人さんたち、そして伊賀の風景がふと浮かんできました。
そしてこの人の笑顔も・・・
「ナニコレ!!!倉阪さん最高ーーー!!!生クリームと酒粕のバランスが抜群!ビターチョコのアクセントも効いてる!!めっちゃ美味しいっっ」と、試食直後の邦子社長は大興奮でした。
ちなみに、くらさか風月堂の「大人の大福シリーズ」は、カフェオレ、栗、そして今回の「酒くりーむ大福」の現在3種類。今後、桜、抹茶と「大人シリーズ」を発売予定(いずれも季節限定販売)。
「普段お酒を飲まない人も、この大福が伊賀酒や伊賀の酒蔵を知るきっかけになれば嬉しい。伊賀の冬の銘菓になるように大事につくり続けたい」と倉阪さん。
先日のデビューイベント(12月10日の伊賀風土FOODマーケット)では、準備した150個が昼前には完売する人気ぶりだったそうです。
「大人の酒くりーむ大福」は12月~2月の冬季限定で店頭でも購入できます。確実に手に入れたい方は取り置き予約がおすすめ。
くらさか風月堂の店内には購入したお菓子を食べる「お茶飲みスペース」のお座敷や、和菓子職人が使う木型を展示したコーナーもあります。
飲める人も飲めない人も、伊賀の魅力をたっぷり包んだ和菓子で「大人の至福のひととき」を・・・お過ごしください。
お菓子司 くらさか風月堂
住所:三重県伊賀市上野車坂町753-3
電話:0595-21-2866
営業時間:9:00~18:00
定休日:日曜、第2・4月曜
FB:facebook.com/kurasakafuugetudou
住所:伊賀市阿保1317
TEL:0595-52-1153
URL:http://www.wakaebis.co.jp/
kanzaki chiharu。OTONAMIE公式記者。伊賀市在住のフリーライター。出身地、広島のタウン誌→東京の編集プロダクション→フリーランスとして独立して早20年。現在は伊賀に拠点を持ち、伊賀の情報誌の執筆をはじめ、企業広告コピー、イベント企画提案などを手掛ける。日本酒好きが高じて、「伊賀酒DE女子会」の企画運営をはじめ、日本酒関連の執筆、コーディネート、イベント運営も行う酔っぱライター。得意ジャンルは日本酒、伊賀情報。2016年「日本酒女子普及委員会」会長に就任。https://ameblo.jp/iganonihonsyudaisuki/