そんなこんなで、
三重県尾鷲市須賀利町にて定置網漁を始めることになった東京都墨田区に本社を置く株式会社ゲイト。
漁船の名は、
神の遣いと云われる八咫烏に因んで『八咫丸』と付けられた。
船のデビューに向け、安全祈願神事と出航式があるとのことで、今回、準備段階から密着してみた。
【神事2ヶ月前】大漁旗を大量に!!
漁船の出航式…ということで、
欠かせないのは大漁旗!!
関係者にそんな話をしたところ、
大漁旗協賛がこの取り組みを応援する法人や個人から、
計47本の集まったそう。
製作を依頼したのは、
三重県桑名市の『上田染工(うえだせんこう)』
旗や幕・のぼり・のれん・トロフィー・祭礼用品等の専門店。
100年以上続く老舗で、
創業時は、兵士の生還を願う出征旗の製作、
戦後は、節句の鯉のぼりやお祭り用品、
今は店舗ののぼりや企業のイベントグッズ等々、
時代と共に製作物は変わってきたという。
現在のご主人は4代目。
大漁旗はオーダーメイドで、
顧客の要望をヒヤリングの上、
素材・色・バランスなどアドバイスをしつつ
デザイン案をおこすという流れ。
オーソドックスなのは船名と企業名に、
お好みの言葉(大漁/祝など)と、
お好みの絵柄(波/朝日/縁起良い鶴亀など)を合わせるデザイン。
生地に下絵を入れた後、
各地の職人さんの手により染められるのだそう。
こういう専門店があることを初めて知った…。
【神事前日】餅まきは流血するほど盛り上がる?!
地域の人にも喜んでもらいたいという事で、
神事と共に餅まきも行うこととなった。
餅まきとは、
結婚や上棟式などの祝い事に集まった人々へ餅をまく行事。
地域によって餅投げや餅ほりとも言うそう。
私は餅まきを見たことがないけれど経験者に聞くと、
―あんなエキサイトするイベントは中々ない。
―隣町からも人が押し寄せる。
―腰の曲がったおばあちゃんも俊敏になる。
―流血騒動も起きるほど盛り上がる。
などなど、かなり白熱する模様。
前日には町内放送にて開催のアナウンスを行い、
餅まき用に準備したお餅はなんと5俵!!
投げ手のコツは、
下から上にほわっと撒くこと。
お餅と共に撒くお菓子もたっぷり。
どら焼きやインスタントラーメンまで!?
【神事当日の早朝】準備の様子は??
穏やかな須賀利の朝。
澄んだ空気が気持ちが良い。
関係者は明け方から、
会場設置、動線確認、マスコミや招待客対応etc…
準備に追われていた。
大漁旗の設置も着々と進む。
振舞い用の漁師汁は、
たっぷりの伊勢海老と鯛で出汁ぐつぐつ。
あー、いい香り!!
全身に浴びたいくらいだ。
【神事の1時間前】会場はもう賑やか。
餅まきに参加する方々が続々と集まり、
賑やかになってきた。
『あー興奮でドキドキしてきたわ!!』
と話すおばちゃま二人組に聞いてみた。
―—餅まきは楽しいものですか??
『楽しいわよ~!久しぶりだから嬉しいわ!』
―—人は結構集まりますかね。
『平日は若い人がいない分少ないかもね。取ったお餅は家で食べたり近所に配ったりするのよ。冷凍してお正月の雑煮にしたりね』
コツはエプロンの裾を結び、
袋状にして、拾った餅を入れていくのだそう。
実演まで見せて下さったおばちゃま、
ありがとうございます!
【神事開始】定刻通り…スタート!!
厳かな雰囲気の中、神事は無事に執り行われた。
ゲイト代表の五月女氏から語られたのは、
自分たちを受け入れてくれた地域の方々への感謝と、
今後の抱負。
餅まきも想像以上の盛り上がりで、
『餅―!!』『餅こっちこっちー!!』
と歓声があがり、会場は熱気むんむん!!
数か所にて同時に撒かれ、
神事会場向かいの建物から撒かれた様子がこちらの動画。
そして港には、
大漁旗を堂々と掲げた定置網漁船 八咫丸が到着。
舵をとるのは、
生粋の漁師である漁労長の山下訓右氏。
八咫丸の晴れ姿を目にして、
戸田氏始めとする関係者が、
感極まって涙する場面も見られた。
威風堂々と須賀利の海を航行する八咫丸は、
本当に格好良かった。
『…といってもまだお魚獲ってないからね!』
と笑って話す五月女氏。
定置網漁の操業は、
現場の状況に合わせ2018年2月を予定し、
まずは漁の安定操業を目指す。
この取り組みのキーワードは『生産地ファースト』
資源保護と経済性を両立させたサステイナブルな漁業構造改革。
一連の取り組みを成功させることが出来れば、
他社でも同様に進められる可能性がみえ、
三重県の企業誘致、事業や産業の発達にも繋がる。
三重県の、強いては日本の水産業発展にも繋がるであろう多くの人の想いを乗せた熱い挑戦は、まだまだ始まったばかり。
福田ミキ。OTONAMIEアドバイザー/みえDXアドバイザーズ。東京都出身桑名市在住。仕事は社会との関係性づくりを大切にしたPR(パブリックリレーションズ)。
2014年に元夫の都合で東京から三重に移住。涙したのも束の間、新境地に疼く好奇心。外から来たからこそ感じるその土地の魅力にはまる。
都内の企業のPR業務を請け負いながら、地域こそPRの重要性を感じてローカル特化PRへとシフト。多種多様なプロジェクトを加速させている。
組織にPR視点を増やすローカルPRカレッジや、仕事好きが集まる場「ニカイ」も展開中。
桑名で部室ニカイという拠点も運営している。この記者が登場する記事