9月に入ったとたん、年末の話で恐縮ですが、最近は「お節料理教室」が若い女性を中心に人気らしいです。理由は華やかに詰め込まれた色とりどりの祝肴がフォトジェニックで、SNS栄えするからだそうです。
なるほど。理由はどうあれ、日本の伝統文化が見直されるというのは喜ばしいことですね。
私の住む伊賀では、手作りする家庭も多いですが、買うなら「フジヤマのお節」が定番です。
伊賀市上野忍町で昭和元年から創業する「鮮魚店フジヤマ」さん。店主の目利きで伊勢や大阪の市場から毎日仕入れる新鮮な魚介は、海のない伊賀において一般家庭はもちろん、飲食店などのプロにとってもより所。また、常時50種類はある手作り惣菜も人気で、必要に応じて食材からおかずまで揃う老舗鮮魚店なのです。
この店を切り盛りするのは3代目店主の藤山宏和さんと奥様の光代さん。
鮮魚を扱うのは主にご主人で、ずらっと並んだお惣菜は奥様の担当。
定番名物メニュー「出し巻き玉子」は鮮魚店のカツオだしたっぷりで、お惣菜の一番人気。奥さまの光代さんが見事にくるくると巻いていきます。
鮮魚は「お刺身2人前、今日のおすすめで!予算はこれくらいで~」なんて店主に伝えると、「今日は〇〇〇がええのんあるよ!」なんて言いながら、ショーケースの中から提案して、ササッとさばいてくれます。
もちろん、焼き魚、煮魚などリクエストに応じて対応してくれ、その調理法やコツも。こんな会話を楽しみながらお買い物できる昔ながらの鮮魚店いいですよね。
40年継ぎ足しのタレで焼き上げる浜名湖産鰻の蒲焼も不動の看板メニュー。もちろん、お店で捌いてから焼き上げています。
そんな城下町の鮮魚店が30年以上手掛けているのが「お節」。11月下旬になるとお店の雰囲気は年末モードにチェンジ。店内には昆布や数の子、棒鱈、黒豆などお節用の食材が並びはじめます。家庭で作る人はこの頃に食材を求めて集います。と、同時にお節重の予約もはじまります。

フジヤマのお節はとにかく手作り。「全部食べられる!」というのもおかしな表現かもしれませんが、伝統的な祝肴から、ローストビーフや西京焼きなど、とにかくバリエーション豊かで飽きることなく、美味しく、最後まで頂けるのです。レシピは3代目店主が若き日に料理学校で学んだ伝統的なレシピをほとんど変えていないそう。毎年100セットを超える注文があり、スタッフ増員で手仕込み。伊賀の城下町で長年愛されているお節です。

と、前ふりが長くなりましたが、なんと鮮魚店フジヤマさん初の「お節料理教室」を今年の11月19日(日)に開催するそうです。当日は3代目が代表的なお節料理数品の作り方や意味などのレクチャー。さらに数品のお節が楽しめる「試食プレート」楽しみながら和気あいあいとした質疑応答タイムも予定しています。また、参加者にはフジヤマのお節レシピブックも配布。
「昔は祖母から母、母から娘さんへと家庭の中で受け継がれてきた日本の食文化ですが、近年はそういう機会も少なくなってきているように思います。料理の仕方やコツはもちろんですが、お重の詰め方や、祝肴の意味などを若い世代に伝えていければと思い立ちまして・・・」と店主。

会場は伊賀で60年の歴史を誇る料理学校「上野割烹学園」。現在は休校中ですが、上野の料理人を育ててきた歴史ある料理学校のレトロな雰囲気も必見です。
お節づくりに挑戦することは、日本の食文化を担うこと。自分が作ったお節の向こうに、家族の笑顔があふれるそんな新年を迎えられたら素敵ですね。もちろん、SNSにもばっちりあげましょう。
初心者向け「お節教室」の開催は11月19日。お申込み受付は9月5日12:00から!!詳細は下記HPをご覧ください。
鮮魚店フジヤマfuji-ya@ict.ne.jp
※お名前・プログラム名「いま伝えたい、おせちのいろは」・当日のご連絡先、集合場所(上野割烹学園or鮮魚店フジヤマ)を明記の上、お申し込みください。

kanzaki chiharu。OTONAMIE公式記者。伊賀市在住のフリーライター。出身地、広島のタウン誌→東京の編集プロダクション→フリーランスとして独立して早20年。現在は伊賀に拠点を持ち、伊賀の情報誌の執筆をはじめ、企業広告コピー、イベント企画提案などを手掛ける。日本酒好きが高じて、「伊賀酒DE女子会」の企画運営をはじめ、日本酒関連の執筆、コーディネート、イベント運営も行う酔っぱライター。得意ジャンルは日本酒、伊賀情報。2016年「日本酒女子普及委員会」会長に就任。https://ameblo.jp/iganonihonsyudaisuki/