そのそばを食べた瞬間、「うわぁ~っ、キターーーーっ!」と心の中で叫んでいた。
つるっと瑞々しい細めんなのに、噛むと腰が強く、そばの香りと甘みが広がる。
のど越しは滑らかだ。
―思わず、そば通みたいな言葉が脳内に並ぶ。
こんな美味しいそば、初めて!!
―そして思わず、男ウケをねらう女子みたいなことを言ってみたくなった。
そば処「たみと」。
桑名出身の若き店主は、四日市の老舗蕎麦処で3年間修業した後、岐阜県養老町にて自身の店を今年7月に開店。
日本の名水百選にあげられる養老山地を源とした「菊水泉」の水。
ご主人は、この水を求めて養老に店を構えた。
一般的に硬水は料理に不向きというが、この菊水泉は、平均硬度85mg/lとやや高めの軟水。
ミネラルを豊富に含んだ天然水だ。
そば粉は自家製。
厳選された玄そば(そばの実)を挽いたそば粉は、この名水と相性が良かったのだとご主人はおっしゃっていた。
小麦などのつなぎを一切使わず、水とそば粉だけで打ったそばが、十割そば。
美味しい十割そばを打つには、そば粉の鮮度と職人の高い技術が必要だとよく聞く。
私は今まで「十割そば=ちょっとボソボソ」というイメージがあり、こんなに瑞々しくてのど越しの良い十割そばを食べたのは初めてだった。
玄そばの殻を向いた甘皮を残した状態で挽き、製粉した「白」のそば。
冒頭の感動のご対面は、この「白」そばとの出会いだった。
そして、玄そばを殻ごと石臼で挽きぐるみにした「黒」のそば。
感動の「白」との対面後、感情高ぶるそのままの勢いで「黒」そばも注文。
こちらは白に比べるとやや太く短い。やはりボソボソ感は全くなく、もちっとしている。
そばの風味は白よりも強く感じた。
つゆをつけず、わさびをそばに直接つけて食べていたら、ご主人がお塩をそっと差し出してくれた。
「塩を少しつけて食べるとより甘みが感じられますよ。」
ご主人に勧められていただくと、確かに、甘みも旨味も強くなる。
そばってこんなに甘いんだ。
「黒」は癖になる味だ。
「黒」はこの玄そばを殻ごと石臼で”挽きぐるみ”にする。
「白」は玄そばの殻をむいて甘皮を残した状態(丸抜き)で挽いた粉でできている。
つゆは、鰹の香りがとても豊かだった。
醤油が強すぎたり、みりんの甘みが強すぎることもない。
でも薄いと感じないのは、鰹や昆布の出汁がちゃんときいているからなんだろう。
使っているたまり醤油やみりんは地元産のもの。
このこだわりのつゆが、ご主人が打つそばの味を引き立てているのだと思う。
そば湯で割ったつゆは、さらに鰹の香りが引き立ち、最高に美味しかった。
「たみと」の品書きには、こんな頁がある。
ご主人のそばへの熱い思いが感じられる箇条書き。
「食べ方を聞かれることがあるので…」とおっしゃっていた。
でも、最後の4行が、ご主人の優しく謙虚なお人柄を表していると思う。
女性店員の方も気さくに話かけてくだり、お店全体がとても心地よい雰囲気に包まれていた。
三重は言わずと知れたうどん文化圏。
そんな三重の人々に、ぜひ、この三重出身の若き蕎麦職人が打つ、こだわりの十割そばを食べてもらいたい。
”そばよりうどん派”の方には、まず「白」を。
そば通の方には、「黒」を、是非。
天ぷらや丼もののお米・お肉にもこだわっていらっしゃいます。
桑名から車で下道40分。大桑(258号線)をぴーっと走れば、すぐです。
近鉄養老駅からも徒歩3分ですから、養老鉄道でぶらりといらっしゃるのも良いかと。
これから、温かいそばのメニューも増えるという。
そして、11月には新蕎麦の季節が。
待ち遠しい・・・!
ちなみにこちらのご主人、かなりの爽やかイケメンだが、あえて後ろ姿だけ。
”顔ファン”はNGでお願いします(笑)。
そば処「たみと」
住所:岐阜県養老郡養老町鷲巣1589-4
電話:0584-34-2701
営業時間:11:00~(なくなり次第終了)
定休日:火曜日
駐車場:有り(共用13台)
facebook.com/sobadokoro.tamito/
OTONAMIE公式記者。masami。桑名市在住、アラフォー、なんちゃって会社員。2014年、自己都合により東京から三重に転入。三重の魅力にはまり、一人車で三重を探索中。得意ジャンルは子連れスポット、ランチ、一人旅、ドライブスポット、
日帰り温泉。