ホーム 04【知る】 FUJIROCKや朝霧JAMを撮るプロカメラマンみやちとーる@紀北町

FUJIROCKや朝霧JAMを撮るプロカメラマンみやちとーる@紀北町

“いわゆる集落みたいなところに、都会の方は興味がありますか?植物や魚を狩りしながら生活するみたいな…”

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昨年、尾鷲の天満浦百人会が企画したDRAWING AND MANUAL(東京のクリエイティブ系会社)の座談会でこの質問をしたのが、みやちとーるさんでした。
私はこの質問内容と初めて出会ったみやちさんに関心を持ちました。

 

“フジロックの公式Facebook”

フジロックの公式Facebookにも、みやちさんの個展情報がありました。
一体どんな人なのだろうと、わたしの関心はさらに高まっていった。
朝霧JAMの公式写真撮影も担当したことがあるらしい。

 

“そこに生えていたドクダミのお茶です”
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ゆるやかで健康的。ロハスってこういうことなんじゃないかなと思いました。

紀北町の山里の集落にある自宅に、取材で伺いました。
奥様「これは庭に生えていたドクダミで作ったお茶です。」
みやち氏「こういうのが好きなんです。凝ったコーヒーとかも良いけど、庭でとれたとかいうのが。」
わたし「生えていた。いいですね!」
みやち氏「最近、畑で育てていた実が鹿にやられちゃって。僕、夜中に鹿の足音で起きるんです。鹿10頭とかで来られると・・・庭が砂利なんでね。猿は減りましたね。猿はあぶないです。こちらが食べ物を持っていたりすると、特にね。」
わたし「三重県の中でも、こういった集落みたいな田舎に暮らす良さって何ですか。」DSC_0709

みやち氏「朝起きてカーテンを開けたら緑が広がっていて、それが何よりもいいなって思います。これが海でもいいんだと思うんです。窓をあけたら道路があって隣の家があってというんじゃないのが、田舎に住む醍醐味だと思うんです。」

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控えめな声量で、しかししっかりとした言葉を選び話すみやち氏。

みやち氏「だから、僕は田舎の下町(市町街地)に住むのは勿体ないと思うんです。田舎に住むんだったら一軒家で緑があるところがおすすめです。」

 

“みやちとーる さん”
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目印になる待ち合わせ場所まで迎えにきてくれたみやちさん。

紀北町に育ち、大阪芸術大学に進学。大阪でカメラマンとして活躍。現在紀北町に拠点を移しカメラマンとしてジャンルを問わず活躍中。大阪での仕事も抱え、出向くこともあるという。紀北町に写真スタジオを建設中。

 

“都会の人が漬ける野菜を買うっていうのが理解できなかった”

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自宅と隣接する畑でもいだ八朔とキュウリとナスをいただいた。

みやち氏「大阪に暮らし始めたとき、都会の人が漬ける野菜を買うっていうのにビックリしたんです。」
わたし「すみません。どういう意味ですか。」
みやち氏「田舎では野菜っていうのは、食べきれない程とれてしまって、放置していたら腐るから漬物・梅酒・ジャムとして漬けるんです。それなのにわざわざ買うって。買ってまで漬けるんだったら、既製品の漬物とか買ったらええやんって思ってました。」
わたし「なるほど。そういう感覚なのですね。」
みやち氏「まだ奥さんが野菜を買うんですよ。尾鷲市の市街地育ちなので、買う癖が抜けてなくて。」
わたし「癖って(笑)」
みやち氏「いやー、もうちょっと待てば絶対その野菜は実家からも近所からも来るって。食べきれないくらい来るからって(笑)」

 

“みやちさんにとって、才能とか個性って何ですか?”

DSC_0627唐突に質問してみました。
みやち氏「そうですね・・・。常識や既成概念に囚われないとか、発想力みたいなことかなと、僕は思います。常識どおりだったら個性はない、みんなが思っているコトそのままだったら個性がないので、そうじゃない視点から見る。結果、みんなが思っているコトと違うコトだけど、真実を見つけてくることが才能なのではないかなって思います。」
わたし「それ、すごいです!答え出ちゃったんじゃないでしょうか。」
わたし「みやちさんって、すごい論理的な考え型ですね。パっとみで感覚で生きている人間かと思ってました。」
みやち氏「もともと理系です。高校も理系です。でも、そういう感覚的な人間って憧れますよ。芸術と科学は表裏一体だと思っています。僕は感覚的な人間に憧れて、意識して移ってきた感じです。」
わたし「なんか意外です。」

 

“子どものときから人と合わないことが多かったんです”
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ロックと科学と芸術。根底にあるコトは似ている。

みやち氏「子どものときから人と合わないことが多かったんです。その理由って自分の芸術的な部分ではなく、科学的な部分だと思うんです。人と合わないのは、常識に囚われず、真実を見つけたいみたいな科学的な考え方が理由だと思うんです。」
みやち氏「今って、教科書に書かれていることが真実だと思われていますけど、社会でも理科でもなんでも、それぞれの学者になるっていうことは、その教科書に書いてあったことが間違いでしたってことを探すことだと思うんです。それか全く別の真実を見つけるか。習ったことが真実ではないこともありますよね。」
わたし「教科書が真実とは限らない。なるほど。」

 

“太陽の位置って気になりませんか?”
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庭で金魚やメダカを飼っている。心のゆとりに憧れる。
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BBQなどもできる自宅と隣接する畑。

わたし「それ!!わたしも田舎に引っ越してから、太陽の位置が会話に入ってくるようになりました。太陽の位置がいろいろな規準になっていたりします。」
みやち氏「あと、この辺は雨が降るとスゴイ降るので、子どもの頃からテレビの天気予報は鵜呑みにしなかったです。天気予報を信じて外れると大変なので。降水確率が60%だったら、自分で判断するみたいな。西の空をみたり、山の雲をみて判断したり、雨が降りそうな風が吹いてきたなとかね。」
わたし「でもそういう人間が本来持っていた、原始的な生きるチカラみたいなのって、田舎暮らしで取り戻せるような気がします。」
みやち氏「僕はそういう生きるチカラが無くなっていくのが、すごく恐いと思います。大災害がおきたときに、本来人間が持っていたチカラ出せないって、すごい恐いことだと思います。」

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ムカデをサンダルで潰す、ワイルドなみやち氏。

みやち氏「都会で育った人は、自分の子どもにそのような生きるチカラを教えることの意識は低いかも知れませんが、スイミングや塾に通うことより大事なことだと思います。大阪で暮らしていた時に、もし自分が大阪で子どもを育てる場合、月〜金まで働いて土日はこどもを海や山の中で遊んで学ばさなければ、くらいに思ってました。そうすると自分の時間がないなって思って。」
わたし「田舎暮らしだったら子どもが勝手に自然の中で遊んで学ぶので、自分の時間も作れますね。都会の子どもってそういった時間がないせいか、知的なんですがおとなしい子どもが多いかなって感じます。偏見ですが。」
みやち氏「何かあったときに生きるチカラを学んでないから、意識的にはないかもしれないけど、本能的に不安なんだと思います。だから、なんとかなる、なんとかやっていけるって自信が持てないんじゃないかなと。」

 

“新鮮なモン食ったぁー!っていう喜び”
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鹿よけをテストで作ったけど、効果はあまりなく・・・
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インスタレーションですね!と笑うみやち氏

みやち氏「東紀州ではブリがとれるんですが、東紀州の新鮮なブリってコリッとしていて美味しいんです。ねかせて旨み、みたいな話だと他のブリに負けるかもしれないけど、さっきとれた新鮮なモン食ったぁー!って喜びはあります。」
わたし「いいですね!鮮度100%!俺は今、生きてるーーーっ!!て感じがしますね。もっと外国人の観光客も築地とかも良いけど、漁村とかに来たら面白いのにって思います。」

 


 

今回、紀北町の山里の集落に暮らすみやちさんを取材して、感じたことがあります。それは、田舎って癒しとかユルさみたいなのが売りになっていますが、実は逆なんじゃないか、ということです。
田舎に生きるって、大自然が相手です。ダイナミックな自然で遊ぶには体力や好奇心また知識や知恵が必要です。広い敷地に暮らすことも可能ですが、手入れには体力が必要です(草刈りは大変)。また目に映る光景や、自然がもたらす驚き(デカイ蜘蛛や蟻・デカイ亀や鯉が川にいる・うなぎを釣って食べる)もダイナミックです。

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みやちとーる氏、cafe scaleでのイベント展示より

そういったことを楽しめる、人間が本来持っている生きるチカラが有る、または欲している方々は、みやちさんのように魅力的な田舎暮らしができるのではないかなと感じました。


 

みやちさんは毎年、屋外の少人数フェス「ステキフェス」を高台にある敷地で行っています。

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会場となる実家の敷地。

都市部からフェスで知り合った友人や、地元の知り合いなどでDJステージや持ち寄りBBQなどで賑わっています。
このフェスのすごいところは、東南海大地震が来たときにも紀北町にとってより役立つコトがコンセプトにあることです。10年以上フェスに携わったみやちさんが、地元に何か還元できないかなとの想いで、東日本大震災のボランティアスタッフとして携わった以後、考えられているとのことです。


 

東紀州は楽しいです!先日の尾鷲ディープトリップといい、今回の取材といい、私は津市ですが同じ三重県に暮らしていても知らないコトだらけです。

 


 

みやちさん、また生きるチカラがアップしているみたいですね!

 

 

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