ホーム 01【食べに行く】 アニメオタクが打つ、父から継いだ伊勢の蕎麦

アニメオタクが打つ、父から継いだ伊勢の蕎麦

シェア
某蕎麦屋2代目
皆様お久しぶりで御座います。
伊勢は夜の宇治山田駅にすくろう
しがない路上ミュージシャン
ogurockで御座います。

 

夜の駅前から見える道端の景色を
お伝えしていきますと、
声高らかに宣言した翌週、
早速宣言ガン無視で
あっさり近所の鶏肉屋の事を書いた僕の
次なる寄稿は、またまた宣言ガン無視の
食べ物ネタで御座います。悪しからず。

 

僕の住む伊勢の名物と申しますと
近年、伊勢うどんが全国的に名を馳せてきました。
僕たち伊勢市民もよく食べます。
ちなみに、大好きです、あのぶよぶよ感。
もうすげー美味いと思います。

 

そんな日本の麺文化に於いて
うどんと対をなす、蕎麦。
伊勢うどんがフィーバー気味な、
ここ伊勢では、比べて、
ついひっこみ勝ちな存在になってる気も
せんではないですが、

 

ogurock第2回目の寄稿は、
伊勢の山里にある、
とあるお蕎麦屋さんのお話です。
はじまりはじまり。

 

伊勢市駅から車で10分ほど、
伊勢神宮外宮のちょうど裏側あたり、
山里の景色と匂いが
五感を心地よく撫でる、伊勢市旭町。

 

ここに、”みなせ”
というお蕎麦屋さんがあります。
みなせ外観 
みなせ外観
今でこそ伊勢で名のある飲食店で賑わう
ここ、伊勢市通町の街道が
まだ何もない秘境状態だった約30年前
現大将がその景色を大変気に入り、
開店したのがこの蕎麦屋のはじまり。
取材のため朝早くに行ったら、たまたま日の出を拝めました。
取材のため朝早くに行ったら、たまたま日の出を拝めました。
この地方では珍しく、
関東風の蕎麦が味わえるのを持ち味とし
手打ちの麺は細めでコシがあり、
それゆえ、噛むと蕎麦の風味が
しっかりと感じられる、みなせのお蕎麦。
自らの拘りに対して一切妥協しない現大将の
いい意味での頑固さによる
揺るぎない情熱と努力は、
創業以来、しっかりと蕎麦の味や
みなせの色として反映され続け、
伊勢の奥に存在する蕎麦の名店として、
著名人も多数お隠れでご来店したり、
蕎麦の本やグルメ情報誌にも
たびたび取り上げられる
全国的にも有名な蕎麦屋になりました。
めでたしめでたし。

 

…よし。とりあえず上手くまとまった。

 

あ。じゃなくて

 

ここまでは
三重県のグルメ情報や、
お蕎麦に関する書籍などに、
比較的よく登場する内容です。

 

今回、お伝えしたかったのは
みなせのお蕎麦美味いですよーって
話じゃなくて、ここから先。
僕の視点からみた、みなせの人間模様。
相変わらず屈折した
偏見まみれの内容となっております。
なお、身内ネタも多少含まれます。
何卒ご了承ください。

 

ここ、みなせには、
僕が3歳の頃から、
わりかし人生を共にしてきた幼馴染
現大将の息子、つまりみなせの2代目
”まさくん”という、
不思議な生き物が
多分、屋根裏とかに生息してます。

 

幼い頃から何をしても器用にこなし
本人が一度興味を抱いた対象に関しては
技量知識共に、その道のプロ顔負けの
能力に達してしまうまさくん。
僕と共に大阪のとある芸術大学に進学した後
専科そっちのけでアニメやゲームに
関する世界に没頭し、
さこん世間のゲーム界でポケモンと並び
二大巨塔とも呼ぶべき
モンスターハンターに関しては
全国大会でベスト3に
入賞してしまう様な鬼畜クラスの廃人に
おっと、失礼しました。
廃人クラスの鬼畜になりました。

 

『何をしても勝てない幼馴染。』
今でも僕はそう思ってます。

 

ただ、当時から僕がみてた限り、
蕎麦に対する興味を垣間見た事は
あまりありませんでした。
というか、一度もありませんでした。

 

その後、
芸大を卒業したのかしてないか
あまりよくわからないまま
梅田や東京をフラフラし、
5年前、奴が伊勢に戻り
みなせを継いだと聞いた時
実は心配になりました。
そりゃ心配します。
店を継ぎたいなんて思ってなかったのを
知ってたので、伊勢に戻った瞬間
みなせ閉店させて速攻更地にして
借金してマンション建てて
近所にコンビニないからという理由で
1Fにセブン◯レブン入れて
不労収入でゴハン食べてくとか
言い出すとか思ってましたもん。

 

そんな心配をしてたあの春から
5年ほど経った今、2015年の年末。

 

父に代わって、父がしていた頃より
朝早く起きて蕎麦を打ち、
蕎麦のいろはをしっかりと父から継承し
更に、自ら今までのみなせになかった
新しい知識の探求をし、自ら店の舵を取る存在へと
バッチリ成長してたまさくんがいました
みなせ2代目、まさくん。妖怪が描かれた手ぬぐいが目印。(たぶん)
みなせ2代目、まさくん。妖怪が描かれた手ぬぐいが目印。(たぶん)
未だに信じられません。
奴の興味が蕎麦に向く日が来たなんて。
『父を超えた』なんてゆう噂を
ちらちら耳にする日が来るなんて。

 

少なくとも、今のみなせの蕎麦には
まさくんなりに創意工夫した
2代目の色が出ているように感じます。
特に、父が得意とする、みなせ名物である、
細めの蕎麦は更に個体差が少なくなり、
麺のコシがしっかり感じられます。
昔から僕が勝てない存在として
恐れていたまさくんの探究心に
火がついた結果なのでしょうか。

 

そば生地を伸ばすまさくんの手元。そば生地ってこんなに綺麗だったのかと驚く。
そば生地を伸ばすまさくんの手元。そば生地ってこんなに綺麗だったのかと驚く。
もはや抱いて寝たいと思うくらい綺麗な蕎麦生地(個人の感想です)
もはや抱いて寝たいと思うくらい綺麗な蕎麦生地(個人の感想です)

 

お伊勢参りという文化が根付く土地柄、
遥か昔から営業している歴史的な名店の世代交代を
目撃する瞬間を、この歳になり、
ポツポツみかけるようになりました。

僕が言うのも何だけど、まだ20代の若者が、
長年磨き続けた店の看板を背負うってのは、
実際、当事者になってみたら、
想像つかない程大変な事だと思います。

蕎麦の生地を、全体重をかけて朝から練ります。
蕎麦の生地を、全体重をかけて朝から練ります。
伸ばしたての生地。悔しいかなこのきめ細かさは、職人がなせる技そのもの。
伸ばしたての生地。悔しいかなこのきめ細かさは、職人がなせる技そのもの。
生地を伸ばす、みなせの2代目の背中。
生地を伸ばす、みなせの2代目の背中。

 

『父から子へ』なんてゆう、
よくドキュメンタリー番組
などでよく目にする文言は、
いざ身近な距離で立ち会うと
こんなに深いものなのかと驚きます。

 

というわけで、
『親の蕎麦から、子の蕎麦へ。』

まさくん。すっかり老け込んじゃって。おっと失礼。
まさくん。すっかり老け込んじゃって。おっと失礼。
何千年もの間、式年遷宮という形で
脈々と紡がれてきたここ伊勢の地で
その縮図のようなモノを
少しだけ垣間見ることができたのか。
少なくともこれは、
僕をちょっぴりわくわくさせてくれた瞬間でした。

 

実は僕がこの原稿を投稿した数日後
奇しくも、みなせは創業30年目を迎えます。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

先代がしっかりと築いた
みなせの礎を、のれんを、
2代目が今後どんな色に染めていくのか
もう暫く、見守ってたいと思います。

 

超上から目線気味にこんな文章書きましたが、
これからも、僕にとって
「絶対勝てない存在」であり続けてください。
僕も、絶対負けたくないと思いながら
生きていくので。
そのほうが生きてて楽しいのです、

 

この時期のおすすめは、真珠貝の貝柱を使ったかきあげ。店のおすすめというか、もはや僕個人的におすすめ。
この時期のおすすめは、真珠貝の貝柱を使ったかきあげ。店のおすすめというか、もはや僕個人的におすすめ。
僕がみなせに行くと毎回食べる、かけそば。シンプルゆえ、お蕎麦のとお出汁の香りを堪能できます。
僕がみなせに行くと毎回食べる、かけそば。シンプルゆえ、お蕎麦のとお出汁の香りを堪能できます。

 

ちなみに大事な事なので
もう一度書きますが、

 

2代目は、
廃人レベルのゲーマーであり、
強烈なアニメオタクです。
あと、すげえ器用だけど、
ぞっとするくらい
何でもそつなくこなすけど、
そこまで頭良くないです。

 

蕎麦打ってない時のまさくん。個人的には、ダメ人間の鏡みたいな存在だと思ってます。
蕎麦打ってない時のまさくん。個人的には、ダメ人間の鏡みたいな存在だと思ってます。

 

蕎麦の細さが安定しているのは
朝、麺台で4つ打ち系のアニソン聴きながら
テンポとりつつ蕎麦打ってるからで、
もしかしたら、
あなたが昨日食べたみなせの蕎麦は
まどマギのサントラが
生み出した賜物かもしれません。
仮にもベーシストなので、はたまた
レッチリ聴きながら生み出された
蕎麦かもしれません。
そんな日にはいつもより歯ごたえが
ファンキーかもしれません。
ちなみに僕がこないだ食べた蕎麦からは
サカナクションの匂いがした気がしました。

 

それだけは何一つ代わってませんので、
そこんところ悪しからず!何卒!!

 

年越し蕎麦を食べる文化が
関東と比べて薄い地域では
御座いますが、もうすぐ大晦日。

 

一年のシメは、年越し蕎麦を、ぜひ、みなせで。

 


みなせ
住所:三重県伊勢市旭町206-1
電話:0596-24-4318(予約不可)

営業時間
平日 11:30〜15:00
土曜 11:30〜15:00/17:00〜19:30
日曜 11:30〜19:30
水曜定休(祝日の場合営業・代休あり)


ogurock

ogurock。OTONAMIE公式記者。

伊勢市河崎在住のしがない路上アーティスト。
道端から見た普段の伊勢を、その景色のまま
お伝えできればコレ幸いです。みなさま何卒。
この記者が登場する映像

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で