ファーストフード界の絶滅危惧種といわれているドムドムハンバーガー
ダイエーの子会社”オレンジフードコート”が手掛ける
ハンバーガーチェーン「ドムドムハンバーガー」
国内初のハンバーガーチェーン店で、初出店は1970年。
(マクドナルドの初出店はその翌年の1971年)
ピーク時には全国350店を超える時もあったが、
ダイエー衰退により販売が低迷。
今や約55店舗にまで減少。
更に今年7月、オレンジフードコートは
「ドムドムハンバーガー」の事業を売却し、
55店のうち36店を新会社に譲渡。
残った店はクレープ店に切り替えたり、
閉店したりする方針との報道があった。
青春の味として馴染みの深いドムドム。
ファンがざわついた。
東海地区唯一のドムドムは三重県にあった
東海地区唯一の店舗は、
桑名駅直結の桑栄メイトの中にある
ドムドムハンバーガー桑名店。
昭和なビルに、昭和なドムドム。
非常にしっくりくる風景である。
店内は喫煙OK。
雑誌や新聞も置いてあり、
ファーストフードというよりも老舗の喫茶店。
テーブルと椅子は固定式。
落ち着いた雰囲気で客層は幅広い。
特にモーニングの時間帯には、シニア率高し。
ファーストフード=ヤングの法則は、
ここでは崩れる。
甘辛祭り??
一番の人気メニューは甘辛チキンバーガー
ドムドムの一番人気は、甘辛チキンバーガー。
ふんわりバンズに挟まれる、
柔らかくジューシーなチキン。
かぶりつくと、
衣がカリっと音を立て、
チキンの旨味と甘辛のたれ、
くどさのないマヨネーズが調和する。
隣テーブルの青年グループの会話が聞こえてきた。
「このマヨネーズうまっ!」
「最近、意識高い系のハンバーガー多いけど、ハンバーガーって本来これだよなー」
――青年、いいこと言うね。
そうそう、
以前にレモンティーを頼んだら、
ちゃんとスライスレモンが入っていて驚いた。
液体レモンじゃないんだ!って。
ドムドムのコンセプトは、
「まじめにおいしい、楽しい」
コアなファンが多いのは、
”まじめにおいしい”からというのはあるけれど、
ドムドム桑名店にファンが多いのは、
「あのお二人がすごいから」ではなかろうか。
最後の砦 桑名店を守るあのお二人とは・・・
あの二人というのは、
東海地区最後のドムドム”桑名店”を営むご夫婦。
なにがすごいって、
もう何十年も変わらずに、
お二人が笑顔で元気に切り盛りされているということ。
学生時代よく、
このドムドムに
寄り道していたというお客さんがいらした。
青春時代を過ごした懐かしのドムドムに、
娘さんと来店。
お客さんの中には、
親子3代に渡って通っているという方もいた。
皆さん共通して仰るのが、
「マスターとママが当時からずっと変わらない」ということ。
もはやクローン説も耳にするほど。
友人曰く、
自分が学生だった頃から
ドムドムマスターはおじいちゃんだったけれど、
今も変わらぬおじいちゃんだというのは
桑名七不思議レベルなのだそう。
それほど桑名店を語る上で、
お二人の存在は欠かせない。
都市伝説レベルのマスターにお話を伺った
ドムドム桑名店はいつも温かい。
なぜならば、
マスターとママが
注文を受ける時も、
商品をテーブルに届ける時も、
初めてのお客さんにも、
もちろん常連さんにも、
コミュニケーションを取っているから。
「今日は暑いですね~」
「可愛い赤ちゃんですね、おいくつですか。」
「かっこいいカメラ持っていますね」
所謂マニュアル通りのファーストフードでは
中々みられない光景だ。
噂のマスターにお話を伺った。
——桑名店を始めて何年になるのですか??
マスター:「うーん、44年くらいですかね」
——以前、駅前で”寿がきやラーメン”を営まれていたと聞きました。
マスター:「おやおや、よく知っておみえですね。
実はその昔は和菓子屋をやっていました。
その後、パル(昔あった駅ビル)で寿がきやをしていましたね。
そしてこの桑栄メイトに入れることになり、弟がダイエー系に勤めていた縁からドムドムを始めました」
——マスター、菓子職人さんだったのですね。ドムドムは常連さんが多いですよね。
マスター:「そうですね。特にモーニング帯は多いです。
もう常連さんは何を頼むかわかっているから、注文聞く前に「〇〇ですね」と言いますね」
——声かけてもらうと温かい気持ちになります。
マスター:「私たちが話しかけたいんですよ。
お客さんとお話しできるのは楽しいですから」
——ドムドムの象のマーク「どむぞうくん」可愛いですよね。
マスター:聞いた話では、本部がマークを考える時、小学生にいくつか動物の絵を見せ、一番人気の動物が象だったということで決まったらしいです。「どんどん安く、どんどん売る」からドムドムになったとかね。
ーー桑名店での人気メニューは何ですか??
マスター:「うーん、やっぱり甘辛チキンバーガーですかね。
あ、チーズポテトも結構出ますね。私がよく食べるのはフレッシュ野菜バーガーやチーズバーガーです」
——マスターも食べるのですね。
マスター:「はい、朝も昼も食べますよ」
お客さんとの印象的なエピソードを聞いてみた
マスター:「色々ありますが、25年程前に、桑名市内の高校の卒業生アンケートで”行きたい場所はどこか”という質問があり、”ドムドムバーガー”という回答がいくつかあったと聞き嬉しかったですね」
——わぁ、それは嬉しいですね!
マスター:「はい。あと最近ドムドム閉店のニュースが出たりすると、心配して来て下さるお客さん多いです。大垣や常滑など県外から来て下さったりするんです」
——想い出の味なのでしょうね。
マスター:「有り難いですね。無性に食べたくなると仰ってくれますね」
——皆さんがご心配されている通り、この桑名店の存続は・・・
マスター:「営業存続する方に入っているから無くなりません。私が生きている間は続けたいと思っています」
最後に力強いお言葉を頂き、ほっ。
見送られながら店を出る。
入れ替わりで入店されたお客さんは、
20代らしきヤングのペアと、
50代らしきミドルのグループ。
本当に客幅が広い店だ。
どうかこれからも、
思い出を呼び起こす”懐かしの味わい”を
守ってほしいと願うばかり。
hamburger, just Dom Dom!
ドムドムハンバーガー桑名店
住所:桑名市桑栄町2 桑栄メイト
電話:0594-21-2537
福田ミキ。OTONAMIEアドバイザー/みえDXアドバイザーズ。東京都出身桑名市在住。仕事は社会との関係性づくりを大切にしたPR(パブリックリレーションズ)。
2014年に元夫の都合で東京から三重に移住。涙したのも束の間、新境地に疼く好奇心。外から来たからこそ感じるその土地の魅力にはまる。
都内の企業のPR業務を請け負いながら、地域こそPRの重要性を感じてローカル特化PRへとシフト。多種多様なプロジェクトを加速させている。
組織にPR視点を増やすローカルPRカレッジや、仕事好きが集まる場「ニカイ」も展開中。
桑名で部室ニカイという拠点も運営している。この記者が登場する記事