真田広之さんがプロデュース兼主演を務めたドラマ「SHOGUN 将軍」が、第76回エミー賞で作品賞をはじめとする史上最多18部門を制したことが話題になりましたね。音響賞を受賞されたのは、我らが三重県出身の赤工隆さん。三船敏郎さん主演の1980年版のロケ地は紀北町と、三重ともゆかりのある作品です。
「SHOGUN 将軍」の見どころのひとつ、殺陣。かっこいい刀に注目が集まる中、2024年に開館10周年を迎えているMieMu(三重県総合博物館)では、10月5日から「刀剣 三重の刀とその刀工」と題した企画展が開催されています。
アートとしての魅力も含み、日本人の精神性をも宿す刀剣。その美しさを目の当たりにしながら、三重の歴史も学べるこの企画展を、OTONAMIE記者のキャスターマミが内覧会に参加して取材しました!
※展示内容は特別な許可を得て撮影させていただきました。
三重唯一の刀匠
国から承認された刀鍛冶、角谷健一郎さん。三重県内で唯一の職人です。
刀はどのように作られるのか。企画展のプロローグでは、作刀の過程を材料と道具と共に伝えています。
続いて、大きなスクリーンが登場。
刀匠・角谷さんの工房は、豊かな自然に抱かれた熊野市五郷町にあります。16分の映像から、今も受け継がれる「刀を打つ」という伝統の技術を鑑賞することができます。
歴史的な刀剣
今回の展示で飾られる69振り中、三重にゆかりのある刀剣は59振りです。展示の中で最も古いものは、古墳時代の副葬品、以下の3振り。
・名張市赤目地区の琴平山古墳から出土した「金銀象嵌直刀」
・南伊勢町の五ヶ所湾に突き出した半島にある宮山古墳から出土した「双竜紋環頭大刀」
・明和町の坂本1号墳から出土した「金銅装頭椎大刀」
デザイン性が高く、神聖な美しさがあります。
次に見えてくるのは、この展示会の目玉でもある、有名な仇討ちに関する刀剣です。
日本三大仇討ちのひとつ「鍵谷の辻の決闘」の「鍵谷の辻」とは、伊賀の地名。奈良街道と伊勢街道が交わる場所でした。現在は、公園が整備され、伊賀越資料館が併設されています。「鍵谷の辻」というこだわりの珈琲店もあるそう。気になるところですが、この仇討ちを超簡単に言うと、江戸時代初期、岡山で殺された弟の仇。捜索の末、伊賀で犯人と鉢合わせ、兄が討ったという事件です。
助太刀を務めたのが、新陰流の剣豪・荒木又右衛門でした。又右衛門が用いたという刀と差し添えが展示されています。
また、同じく日本三大仇討ちのひとつで、映画やドラマの忠臣蔵の題材となった「赤穂浪士の討ち入り」で主要な役割を果たした大石内蔵助の刀もあります。
三重の刀剣と刀工
さて、ここで一度、展示会場の入り口に戻ります。巨大パネルに、刀工たちの名前がカラフルに記されています。
・水色:古刀(平安時代末期~1595年)
・黄色:新刀(1596年~1771年)
・ピンク:新々刀(1772年~1876年の廃刀令まで)
文字の大きさは、今回展示されている作品数を現しているそう。
南北朝時代の終わりごろ、村正の千子派が桑名に本拠を構えたことで、三重における作刀の歴史が幕を開けました。
村正の刀は他を圧倒する鋭い切れ味を持ち、徳川家の人間に多くの傷を負わせたとして広く知れ渡り、「妖刀村正」と恐れられました。その後、一門による作刀は、幕末まで続いたといいます。
そして、この展示会で最も多く並ぶのが、藤原永貞の刀。岐阜県に生まれ、幕末の動乱のなか独学で鍛刀を修め、後に伊勢国田丸(現在の玉城町)で多くの作品を世に送り出しました。
他にも、三重で活躍した刀工たちが残した刀が会場にずらりと並び、この地域の歴史を伝えています。
装飾の美しさ
刀剣の魅力は、細部にまで渡ります。
「拵(こしらえ)」と呼ぶ刀の外装にも、美術工芸品としての見どころがちりばめられています。展示ケースに、桑名と亀山で作られた特徴的な鐔(つば)が紹介されています。
「つばぜり合い」という言葉があるように、鐔には、激しい合戦での相手の刀から自分の拳を守る役目があります。江戸時代に入り世の中が落ち着いてくるにつれて、アートな鐔が増えていったそう。
写真では分かりにくいですが、こちらの拵には、二見浦の夫婦岩やお木曳、梅が描かれています。ご当地色もある精巧な絵柄が描かれた作品、見応えあります!
今も身近に
明治維新の廃刀令により、江戸時代「武士の魂」といわれ武士身分の象徴だった刀は排除されます。ここから、伝統工芸品としての刀が、職人たちによって受け継がれていきます。
古くから伝わることわざには、刀が語源となるものが多くあります。
例えば「相槌を打つ」は、刀鍛冶が鉄を鍛えるとき、主従が向かい合い、主の意図する部分を従者が打つことが転じて出来た言葉だそう。「反りが合わない」は、刀と鞘の反り具合が異なり、収まらないことから来ています。「太刀打ちできない」は言わずもがな。
会場には、こんな刀にまつわる言葉がいくつも紹介され、刀剣を今も身近に感じさせます。
刀剣展の特別イベント
記念講演会や初心者のための刀剣取扱講座、日本刀相談会といったイベントは予約が必要で、既に申し込みを締め切ったものもあります。詳しくは、三重県総合博物館公式ホームページ開館10周年記念・第38回企画展「刀剣 三重の刀とその刀工」をご覧ください。
ここでは、申込不要で楽しめるギャラリートークと、PCブラウザ&スマホアプリゲーム「刀剣乱舞ONLINE」とのコラボ企画について紹介します!
ギャラリートーク
当日の受付で参加できる、学芸員によるギャラリートーク。企画展の観覧券を持って、開催時間までに企画展示室前へ集合!
開催日時 10月20日(日)・11月10日(日)・11月24日(日)
いずれも11時~と14時~の30分程度
刀剣乱舞ONLINEコラボ
三重県総合博物館MieMu2階エントランスに、刀剣男士「千子村正」の等身イラストが掲載されたパネルが設置されています。後期の11月6日からは、パネルが変わるそう。記念撮影のスポットです!
また、「刀剣乱舞ONLINE」で近侍の刀剣男士と一緒に散歩を楽しめる御伴散歩も。マップ上に近侍ピンが立てられます!
刀剣乱舞コラボ観覧記念ポストカードももらえます。プレゼント数は、前期後期それぞれ先着10,000名。前期と後期ではもらえる種類が違うので、ぜひどちらもゲットしてください。
期間中、ミュージアムショップでは、刀剣男士「千子村正」のクリアファイルや缶バッジ、アクリルスタンド、三重のお店ともコラボしたスイーツやドリンクのお土産も販売しています。こちらもお見逃しなく!
読者プレゼント企画
今回の企画展のチケットを、先着10名様にプレゼント!
こちらのメールフォームからご応募いただけます。
ペア2名までご応募可能です。
詳細情報
開館10周年記念・第38回企画展「刀剣 三重の刀とその刀工」
開催期間 2024年10月5日(土)~12月1日(日)
9時~17時 ※最終入場は16時30分まで
休館日 毎週月曜日(10月14日、11月4日は開館)
10月15日(火)、11月5日(火)
観覧料 刀剣展のみ 一般 1,000円
学生 600円
高校生以下無料
基本展示とのセット券 一般 1,200円
学生 720円
高校生以下無料
会場 三重県総合博物館3階 企画展示室
三重県津市一身田上津部田3060
問い合わせ ☎059-228-2283
取材・文 キャスターマミ(西口茉実)
キャスターマミ。OTONAMIE記者。松阪市出身。生まれ育った三重が大好きで、三重を盛り上げたくて地元タレントに。テレビ・ラジオ出演、祭りやイベント、ブライダルMCとして活躍中。この記者が登場する記事