ホーム 02【遊びに行く】 【イベントのお知らせあり!】米、干物、かつお節、美味しいごはんと未来の為に、日常に一手間を。

【イベントのお知らせあり!】米、干物、かつお節、美味しいごはんと未来の為に、日常に一手間を。


和食と聞いて思い浮かぶものはなんですか?

お茶碗いっぱいに盛られたつやつやの白いご飯、一口飲めば「ほっ」とする、お出汁のきいた味噌汁。
パリッと香ばしく焼かれた魚の干物がそこにあれば、もう、最高ですよね。

最近、そんな和食をいつ食べましたか?
外食?実家に帰った時?それとも昨日の晩御飯?

糖質を減らしたいから、白いご飯は少なめに、お出汁は面倒でよくわからないから、顆粒出汁や出汁入り味噌でお味噌汁。
魚は手間だし、骨が多いからそもそも家であんまり食べない。
そんな声も、多く聞こえてきそうです。

でもね、今日はそんな和食に欠かせないものを作っている人たちの話。

よかったらお付き合いくださいね。


 

北村魚店は1950年創業の尾鷲にある干物屋さん。
4代目となる清水理恵さんと清水泰斗(たいと)さんはお店を手伝いはじめたところ。

理恵さんの実家である北村魚店。
2代目にあたる祖父が亡くなったタイミングで「後継がいない北村魚店はどうなっていくんだろう」と、実家の今後を考え始め、大学生だった20歳のタイミングで家のことを考え始めた理恵さん。

しかし、長年、魚がとれなくなってきて現状を両親から聞いていたこと、尾鷲から出ていたこともあり、自分一人が尾鷲に戻り継いだ所で、できることもあまりなく難しいと考えていました。
当時静岡に住んでいたこともあり、自分の中では「両親がやりたいうちだけ、遠方でもPRでお手伝いができたらいい」という考えにとどまっていました。

北村魚店の干物はオンラインショップでも販売中。

しかし、泰斗さんと結婚したことで、理恵さんの人生が大きく動いたのです。

「贔屓目ももちろんあるけど、実家の干物が1番美味しいと思ってる!」と言われ、理恵さんが焼いた干物を食べた泰斗さん。
「こんな美味しい干物、食べたことない!」と思うほど、カルチャーショックを受けたといいます。

「正直、ひもの=おじいちゃんおばあちゃんが食べるものというイメージがありました。しかし、美味しさに衝撃を受けたこと、後継者がおらず、味を途絶えさせるのは常連さんに申し訳ないという思いと、自分の手に職をつけたいと思い、当時勤めていた会社を退職し、結婚を機に尾鷲市に移住しました。」
泰斗さんの決意に背中を押してもらい、「今できることを自分たちなりに頑張ってみよう」
2人の試行錯誤の日々が始まりました。


 

さて、この記事を書いている私、小黒ヒロナはかつお節屋の嫁。

結婚する時「かつお節屋を一緒にやってくれ」とは一言も言われず、サラリーマン兼、ミュージシャン兼、家業がかつお節屋の旦那と結婚し、気づいたら一緒にかつお節屋をやっていました。

かつお節屋小久保商店はここ数年、旦那と義母と私、それぞれ別の仕事をしつつ、みんなで協力しながら配達や店番をするスタイルで続けてきました。

それ以前はパパ(私は会ったことないが義父をパパと呼んでいる)が営むかつお節屋さんだったのだ。突然に倒れてしまうまでは。
お店や仕事に関しての引き継ぎを全くできぬままだったので、初心者夫婦でやらざるをえなくなってしまったというのが、本当のところ。

でも、さすがかつお節屋で育った旦那の味覚は鋭く、かつお節屋を継ぐことになった時、卸先のうどん屋さんや食堂の出汁を全て食べて味を覚えたそう、すごいな。

削れないけど、経験もないけど、知識なら蓄えることができる!と、夫婦で仕入れ元である鹿児島県の枕崎市へ行ったり、静岡県の焼津市や高知県土佐清水市などかつお節の産地へ赴き、直接生産者の方にお話を聞き、作り方を教えていただきました。
そこで活躍してたのは、同年代の生産者たち。

初めましてなのに工場の見学までさせて頂いた、高知県のたけまさ商店さん。

 

かつお節のことを知れば知るほど、こんなに手をかけて作られた食材なのに、主役になれない・・どころか、お出汁離れが進んでいることに憤りを感じることも、正直多くあります。

だからこそ、「それなら使う人を増やそう!」とSNSを活用し本枯節のけずり体験を県内外で開催したり、かつお節の魅力を伝える活動にも力を注ぎ始めたところです。

徳島県でのWSにて。


そんな私達と北村魚店のお2人を繋いでくれたのは、以前取材させてもらった尾鷲にある米屋、世古米穀店の嫁ミサキさん。

世古米穀店を取材した以前の記事はこちら。

世古米穀店も、尾鷲で60年以上続くお米屋さん。

息子さんである大介さんは関東で就職したものの、やはり地元に戻り家業を継ぐと決意し、ミサキさんと一緒に夫婦で切り盛りするようになっていったお店だ。

世古米穀店の店頭にはたくさんの種類のお米が並ぶ。

ミサキさんは前職の経験から動画やコンテンツ作りが非常に上手で、尾鷲の活性化事業の一つ尾鷲ヤーヤー便のPRや、お米屋さんのYoutubeコンテンツも制作している。
今やお米マイスターをとるほど、お米屋さんとしてもバリバリ活動しているミサキさんが最近感じることについてお話をききました。

ミサキさん:私がこの仕事をしだして8年ですが、その間も日本人の米離れ、お米の消費が減少していることを感じます。
私が嫁いだ当初のお店は、10kgと5kgに精米したお米が数種類並んでいました。
今は少子化や核家族化が進んだこともありますが、10kgで用意しているお米は1種類のみ。あとはほとんど5kgで用意しています。

日本人のお米の消費量は、消費減退するばかり。

朝ごはんを食べない家庭も多く、炭水化物は敵とばかりに糖質制限ダイエットをする人も増え、お米を食べない人が多いです。
また、朝ごはんはパンを食べる方や、そもそも朝食を抜いていると言う声も聞いたことがあります。

ミサキさん:私も米屋になる前はそうだったのですが、「お米ってどれも同じだからなんでもいい。」と思っていましたし、そのように感じている方が多い印象です。食べ比べをワークショップなどで行うと、その違いに驚かれる方がほとんどなので。
また、「あまりお米は食の中で重要ではない。そんなに食べない」と言う人や、お客様の家族や知人の声も聞いたりします。米屋としては寂しい声ですね。

昭和40年頃には日本人一人が1年間に食べるお米の消費量は約120kgあったのが、平成17年には約半分の60kg。
そして、令和3年には約50kgと半分以下になっています。

この数年、バターや小麦が高くなったのはみなさん実感しているところではないでしょうか?でも実は、お米の価格もここ数年で値上がりしていくと予想されています。
実際にこの一年位で、私がスーパーで買っているお米5kgの価格は500円程度上がっていて、高くなったな・・と感じていたところ。

また今年、各地のスーパーでお米がない!と報道されていたのは記憶に新しいですよね。

日本のお米農家の平均年齢、何歳か知ってますか?
・・・なんと69歳!
高齢化によるお米生産農家の減少から、食料自給率も低下し続けている今「お米がある、食べれるのが当たり前」という今の「当たり前」がいずれは来なくなるのでは、という危機感を感じていると、ミサキさんも言います。

 


同じく北村魚店の理恵さんにも、干物屋さんを継いでから感じることについて聞いてみました。

理恵さん:継ぐ前に両親から聞いていましたが、今、魚がどんどん取れなくなってきています。原因は海外での漁獲量の増加と、地球温暖化による海水温を含む海の変化、農業と同じく漁業に携わる人の高齢化と後継者不足・・問題だらけですね。

秋の風物詩のさんま。今までスーパーで1尾100円以下で買えてました。
最近は200円以上でもなかなか買えないくらい高級な魚になってしまい、さんまだけでなく、キス、かますなど、メジャーな魚もとれなくなってきています。

魚は自然のもので、0から自分だけの力では作ることができません。
生態系も今後変わっていく可能性もあり、今食べられている魚が何年か後にはいなくなり食べられなくなる可能性もあります。

尾鷲市は田舎といえど、漁場にも事業者さんにもすごく恵まれた環境だと感じますが、尾鷲だけでなく全国的にも稚魚がいなくなってきてますし、漁業従事者の方も年々減っている現状に溜息がでます。


話を聞きながら、大きく首を縦にふる私。
かつお節屋が抱える問題点も、ほぼ同じようなもの。
生産地に赴いた時も、同じように嘆いてる声が聞こえました。
伊勢市内にあるかつお節屋は、今はうち1店舗のみですが、30年前には3〜4店舗はあったそうです。

親世代が子供の頃はみんな家でかつお節を削っていたけれど、今では顆粒出汁やめんつゆが主流。
粉末や液体に姿を変えて家庭で消費されていす。
液体のめんつゆにふわふわのかつお節からとった出汁が使われているなんて想像すらされず消費されていくことに、寂しさを覚えます。

改めて文字にして可視化すると、商売をしていくにはなかなか厳しい現実。
出口の見えないトンネルにいるようだけど、悲観ばかりしてても仕方ないのでこうやって作戦会議をしてみたりして。

30代で干物屋、お米屋、かつお節屋を継いだ私たちが、今改めて思うのは
家業を守っていく為にも、自分達と同じ世代に「昔から身近にある日本食の価値を伝えていきたい」ということ。

 

例えば、魚を好きになって、たくさん食べるようになると、魚に今よりもっと価値が生まれ、もっと船を出すことができたりする。
養殖魚を増やすための資金を投じたり、事業が生まれる。
私たちにはわからない便利な技術が生まれ、魚はこれからの海で生き残っていけるかもしれない。

例えば、お出汁の代表的な素材のかつお節と昆布にはお出汁をとったあとの、出汁がらにも栄養がたくさん詰まってるって知ってましたか?
その出汁がら、かつお節はおかかのふりかけに昆布は佃煮にすることで、最後まで食べきり食材ロスを減らすことができる。
おにぎりのラインナップに「おかか」と「昆布」があるのは、お出汁の文化があったからに違いない。
SDGsなんてとっくの昔からやっていた、日本食って改めてすごいな。と思うのです。

干物もかつお節もお米も、もちろんそれ以外にも、
「何を食べるか」「どこで購入するか」を意識して選ぶことは、
これからの未来に繋がっている。」ということを、たくさんの人に自分ごととして考えてもらいたいと思います。

そしてそれを楽しく体感していただき、伝えられる場所があるといいなと思い、この度3店舗合同でのイベントを企画しました!

 

〜かつお節×お米×干物〜ワークショップ開催のお知らせ〜

「そのひと手間でもっと美味しく味わってほしい」

かつお節屋が伝授する美味しいお出汁の取り方や

米屋がすすめる美味しいごはんの炊き方、

干物屋が紹介する美味しい干物の焼き方などを伝えるワークショップです。

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日時:2024年10月13日(日)

①10時〜 ②13時30分〜/2部制

場所:カブクノニカイ(三重県松阪市)

参加費:1人2,500円

(※2名以上の申し込みで1人2,000円)

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お申し込みは各お店のInstagram内のメッセージからお願いします。

①氏名②人数③年齢④連絡先を記入ください。

みなさまのお越しをお待ちしております!


Instagram
kokuboshouten
@seko_kome
@kitamurauoten



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