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松阪市大石町から届けたい!きのこ愛のすすめと「おいし〜ず」誕生秘話

4年ぶりに復活したその祭りは、とても感慨深いものだった。

松阪市大石町(おいしちょう)で開催された昔ながらの村祭り「八朔まつり」の終盤で、「おいし~ず」というバンドが演奏していた。夏の終わりを感じる、ノスタルジックで心地よいフォークソングが印象的なバンドだった。

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伊勢三山(伊勢の三つ星)とも呼ばれる白猪山の麓にある青木林産園は昔ながらのしいたけ屋さん。生産者の青木さんはおいし〜ずのメンバーの一人だ。バンドマンのしいたけ屋さんって、ギャップがあって良くないですか?

青木林産園のしいたけの特徴は味と香り、歯応え抜群の「原木栽培」であること。青木林産園三代目の青木皓司さんにお話を伺った。

▲青木皓司さん

青木さん:実は、国内のしいたけ生産量のうち、原木栽培の割合は1割程度なんです。今では希少なしいたけになってきましたね。菌床しいたけ(栄養剤等を加え固めたおがくずに、しいたけ菌を植え付けて育てる)に比べて、原木椎茸は手間暇かかります。原木はナラやクヌギの木を使っていますが、以前は福島県の原木に頼っていて、3.11後、放射能汚染などで原木が入手困難になりました。その頃に原木しいたけ屋さんがぐっと減ったんですよ。今は地元の木と、九州からも仕入れていますね。

松阪市の中山間地域に住んでいる私にとって、それほど珍しくないと思っていた原木しいたけ。被災地から離れたこの地にも、東日本大震災の影響が今でも残っているのだと気付かされる。

自然体のサスティナブルな暮らし

青木さん:古いしいたけの原木は、冬場、ハウスの暖房として焚べて再利用しています。家の廃材を大工さんに貰って焚くことも多いんです。

▲暖房用の釜

又、椎茸栽培では扱いづらい太い原木は、薪に加工して津や名張などのピザ屋さんへ。養分の無くなった古い原木の一部は、兵庫県神戸市のカブトムシ業者へ出荷し、カブトムシの産卵木やマットとして大活躍している。なんて地球に優しい暮らしぶりなのだろう!

▲出荷前の薪

そして、作業場の建物をよく見てみると…これって、もしかして電柱?なんと建物に電柱が再利用されているのだ。カッコつけるわけでもなく、ごく自然にサスティナブル。私の自堕落な生活を改めねば…そんな気持ちになってくる。

原木を水槽につけて刺激を与える浸水の工程は、地形の高低差を利用し白猪山から湧き出た水を水槽に引くという、これまたエコなシステム!水から原木をあげると数日で樹皮を破って椎茸の芽が出てくるのだとか。


吊り橋効果どころではない、このドキドキ!
橋を渡り山の中へ

そして極めつけは、電柱を再利用したこの橋!しいたけのハウスから山へと抜けることができる橋なのだが、私はドキドキし過ぎて動悸が起こりそうだったので、ちゃっかり別ルートで山へと向かう。

▲余裕の笑みを浮かべる青木さん

程なくして山に到着。青木さんの視線の先には…ピッカピカのなめこ。まるで山の中で光っているかのよう!こちらは桜の木を使っている為、ぬめり方が違うのだとか。

青木さん:秋になると温度がグッと下がって芽がでるスイッチが入るんですよね。なめこで味噌汁がぐんと美味しくなりますよ!

青木さんは自然の中で体を動かすこの仕事が好きで、お客さんの「おいしい!」という声が一番嬉しいのだという。

青木さん:ここからの景色が最高なんです。棚田の石垣に歴史を感じますね。これ、どやって積んだんやろ。(しばし沈黙…。)

その後ろ姿からは地元愛、きのこ愛がダダ漏れている!!そんな青木さんが、これからやってみたいことは?

青木さん:僕の代になってから、市内の納豆屋さんとコラボして、「麹納豆」を商品化しました。(R6年2月3日発売開始)納豆に麹、しいたけ、にんじんが入っていて、どれも農薬や科学肥料を使っていないものばかりなんですよ。今後はどんどん新商品を作っていきたいですね。すぐ食べられる加工品で、もっと原木しいたけを身近に感じて欲しいです。めちゃくちゃうまいのを作りたい!(笑)

地元の小学生が校外授業で見学に来たことも。子供たちからお礼の手紙までもらったんで、仕事に精が出ます!と嬉しそうに笑う青木さん。

しいたけ狩り&自然の中でバーベキューはいかが?

青木林産園ではしいたけ栽培以外に、しいたけ狩りができるハウスも運営している。

▲バーベキュースペース

青木さん:しいたけ狩りをしてもらって、そのすぐ横でバーベキューをして食べられるようにしています。簡単なバーベキュースペースですけど、景色が良いので喜ばれています。美味しいっていう声が直接聞けるのが、やっぱり嬉しいですね!

サスティナブルなしいたけ栽培の様子を目の当たりにして、私も校外授業のように楽しんでしまった今回の取材。帰宅後は、青木さんのしいたけで肉詰めを作ってみた。肉を盛りに盛った肉詰めなのに、しいたけのしっかりした歯応え!味も香りも存在感抜群!ごちそうさまでした。


おまけに、おいし〜ず誕生秘話

▲左から、荒木さん、堤さん、青木さん

きっかけは荒木さんから青木さんへの電話だった。
「松阪駅で路上ライブしとる人らおるから、俺らもやりにいこ!」

それがおいし~ずの路上ライブデビューだった。それから二人で津駅や宇治山田駅、近くの公園で路上ライブをするように。住職である堤さん(通称さちおくん)がおいし〜ずに入ったのはその後のこと。ちなみに名前の由来は三人が暮らす大好きな町、大石町(おいしちょう)から名付けられた。

▲荒木さん

荒木さん:楽器屋にカホンがあって叩かせてもらったんですよ。めっちゃええなと思ってたんやけど、僕はギター弾かなあかんしな。僕らが公園で練習してる時に、さちおくんが大道芸を横で練習してたんで…さちおくん、カホン買ってったらやるんちゃう?てなって。

▲青木さん

青木さん:強制的やな、よくここまで独学で来たよな。(笑)
堤さん:そうですね。(笑)

▲堤さん

青木さん:その次、そろそろシンバル買おうかってなって、なんかもう色々増えてったってゆう。

徐々に祭りなどのイベントや、ライブハウスから声がかかるようになったおいし~ず。お寺での練習風景が三人にマッチしていて胸熱すぎたので、少しだけご紹介させて頂きました。ライブ情報はこちらでご確認ください!

バンド誕生秘話は尽きることなく、大石町の素敵な夜はふけていきました。


青木林産園
三重県松阪市大石町2690

 

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