ホーム 02【遊びに行く】 おかえり、河崎天王祭。

おかえり、河崎天王祭。

お久しぶりです。最近もっぱら嫁さんがotonamieの記者感出してて、すっかりトーン弱めのogurockです。
今日は僕の住む伊勢は河崎という町で毎夏開催されているお祭り「河崎天王祭」を、町民であり、準備を少しだけお手伝いしている僕なりの言葉で書きたくて久しぶりに登場しました。

河崎天王祭とは、僕の住む町、河崎の氏神様、河邊七種神社の行事で、牛頭天王、つまりスサノオを祀り、夏の酷暑を無事に乗切る事を祈願する祭です。

普段は普通の道路ですが、年に一度だけフェス会場みたいになります。

三重県内をはじめ全国にいくつかある天王祭もこれに似たルーツを持つとされており、どれも御神輿や和太鼓、舞台イベントなど、邪気を払うかの如く威勢の良い元気な内容のものが多い印象を受けます。

河崎天王祭りも例にもれず、当日は15時から22時まで、神社周辺の道路が一部閉鎖され、御神輿や地元小学校の鼓笛隊やキッズダンスのショー、和太鼓に民謡、伊勢音頭など沢山の演者や、屋台の出店に名物の金魚花火と、年に一度、7時間だけ普段とは全く違う河崎町になります。(今年の天王祭はコロナ明けという事もあり舞台イベントは少な目です)

普段は銀行の駐車場ですが、この日だけはダンスフロアになります。

個人的な話ですが、僕と相方の尺八奏者、竹内君のコンビは2014年の河崎天王祭が初舞台でした。ここから全てがスタートしたという意味でも僕にとって大切なお祭りです。

2017年…かな。竹内くん、この頃はかわいかったなぁ。知らんけど。

伊勢市民にとって、と言うと少々言い過ぎかもしれませんが、少なくとも河崎町民にとって、7月3週目、大抵、直前に台風だの大雨だのが1発来て、ここいらの梅雨明けが宣言されると時を同じく、まずは宮川の神宮奉納花火大会、そして翌日に河崎の天王祭という、大きなイベント2daysで今年も伊勢に夏が来たなと体感させてくれる毎夏の大事な風物詩だと思っています。

そんな河崎天王祭も宮川の花火も全国の行事同様に、コロナ禍で3年間まるっと中止を余儀なくされました。毎年、町民として時間の許す限りは準備部隊に加勢している僕。心の中にちょっと、ほんのちょっとだけ「暑い中、毎週末お祭りの準備しなくていいのは楽だなあ…」なんていう気持ちは正直ありました。天王祭の準備は決して楽ではありません。が、それ以上に伊勢に夏が来た心地がしない虚無感。ただ蒸し暑い日々を繰り返す方が、妙に湿度の高い空虚さを無理やり肌に張り付けた様な感覚で心地が悪かったです。

トイレットペーパーが無くなるという不思議な序章からスタートした、世のコロナ狂騒曲に翻弄され過ぎ去っていった3年前の2020年。細菌が演奏するフリーテンポな進行と不協和音の連続に、感情のペースを乱されるばかりではなく、何かできる事がないか。世の中が静かに混乱していたあの当時、明確な正解が見えない中で、すんなり元通りの生活に戻れる状態ではなかったけど、その中でも町民の人々が楽しんでもらえるものを創作できないかと、いつも天王祭をはじめ、色んな町内行事で陣頭指揮を執ってくれている河崎町民の一人、上埜泰正さんが立ち上がります。

上埜さん。怖い人じゃないよ。いやホントに。

当時、コロナ渦中なりのアクションを模索していた僕の琴線メーターもこの動きにピクンと反応しました。上埜さんの提案があり、2021年の夏、天王祭はできなかったけど、その代わり夏の雰囲気だけでも届けたいと、町内の有志メンバーで勢田川沿いに並び、金魚花火の代わりに手筒花火を打ち上げました。

手筒花火って垂直に持つと火花が降ってきて火傷するので斜めに持つのがコツ(by火傷した人)

短い時間でしたが随分花火を見ていなかったので妙に感動した記憶があります。上埜さん曰く「じっとしていられなかった」という気持ちは、個人的に共感するものが多く、そんな気持ちを持つ人が、人の気持ちを動かし、地域やコミュニティを動かしていくんだろうなと、あの日、天王祭の準備無くてちょっと楽だな、とか少しでも思ってた自分を情けなく感じました。

河崎天王祭の名物の1つでもある手書きのポスター。せめて風情だけでも感じてほしいと2020年の夏、実行委員会より町内の銀行の一角で過去作品の特設展示を行いました。

手筒花火の後も河崎で他にできないだろうかと、上埜さんと共にこっそり模索を続けたのですが、模索をしている間に秒針はどんどん”普段の生活”へ向けて進んで行き、2023年、今夏。完全ではないですが、コロナもある程度収束し、世の中が普段の動きへ戻る世のうねりが大きくなり、河崎天王祭がようやく戻ってくることになった日、言葉にできない感情(嬉しさ9割、また準備大変だなあと思う感情1割、みたいな)で晩御飯がいつもより美味しく感じました。

ただ、もろ手を挙げて喜んでいるばかりではお祭りは開催できません。ここへきて天王祭が長年抱える問題点も露見してきました。
河崎天王祭は伊勢市内の大規模なお祭の中で唯一「町民主体」の行事です。運営資金源は、河崎町民や河崎に軒を構える地域の企業、商店が出してくれた寄付で賄われ、加えて実働してくれる人手も必要です。上埜さんをはじめ、沢山の町民がボランティアスタッフとして数か月前から準備をし、ギリギリまで色んな調整を進め、毎年の天王祭を支えています。

先日は神社で子供神輿の練習でした。町内の大人たちが指導します。
そんな大人たちも元々は幼い時に子供神輿を担いだ身。次の世代へ天王祭を繋げます様に。

コロナ禍からの世界的な情勢不安による急激な物価高騰という、まさに泣きっ面に蜂という言葉にピッタリな状態になっているこの国内。ただでさえギリギリの予算で運営している状況での寄付は普段と比べて少なく、加えて、ここ河崎も世の流れ同様に、少子高齢化社会の縮図の様な人口ピラミッドを形成する地域です。現在実働している実行委員会も40代以上が中心で、20代、30代は残念ながらあまりいません。

この日は金魚花火のテスト。法改正により発生した仕様変更に関して皆で知恵を絞ります
金魚花火を担当している伊勢の花火師辻傳さんも一緒に準備を手伝ってくれてます。

伊勢市民の僕たちからしたら、毎夏必ずカエルや蝉が鳴きだすのと同じ様に、ついつい、毎年当たり前に開催されている感覚になってしまう天王祭ですが、実際は、この風情ある夏の風物詩を後世に残していきたいという、純粋な人の気持ちが織りなすパッションが燃料となり開催できています。

お祭りを名目に、近隣の絆を結び直すのが天王祭の目的の1つなのかもしれません。
お祭りを名目に、近隣の絆を結び直すのが天王祭の目的の1つなのかもしれません。

本当は僕の口から言うべきではない事だとは思いますが、勝手に代弁しますと、一応コロナ禍は過ぎたとはいえ、このまま情勢不安な世の中が来年以降も続き、同時にどう考えても止まらない少子高齢化が今後も続いていくのであれば、近い将来、天王祭も終了することになるでしょう。残念ながら、このままいけば2~3年内に現実となります。

だから、河崎を助けれくれ、この記事の最後に支援特設サイトを貼っておくから送金をしてくれ、という話では決してなくて、皆様の住んでいる地域で、同じ様な状況になっても、何とか頑張ってお祭りや風物詩を守り、維持している団体さんがいたら、ぜひ応援してあげてください。大なり小なりできる事は沢山あるはずですし、職場のコミュニティ、趣味のコミュニティも大事ですが、自分自身が住んでいる地域のそれも、近年希薄になっていると言われていますが、とても大事なものです。実際なかなかスケジュールは割けていませんが、僕も河崎天王祭を守りたい人の一人なので、時間の許す限り、週末は神社へ行き準備に加わっています。

久しぶりに威勢の良い掛け声を響かせ御神輿が練り歩きます

季節の風物詩を長年毎年開催する事は当たり前ではなくて、過去から現在へ風物詩を繋いできた先人、過去までの自分たち自身からのバトン、そして、古き良き文化を絶やすまじと現在尽力してくれてる、今を生きる地域の人たち、全ての熱量が毎年交差して、この町で長年紡ぎ続けてきた賜物、河崎天王祭。

2023年7月16日日曜日、3年ぶりの復活です。

★追記★
ご指摘があり、数え直してみたら4年ぶりでした。さあせん!

暑さ対策、水分補給をしっかりしていただき、会場で、会いましょう。

【河崎天王祭】
2023年7月16日(日)
伊勢市河崎町 河邊七種神社及び周辺地区にて
ASK:
伊勢河崎まちづくり衆(伊勢河崎商人館)
0596-22-4810

久しぶりの天王祭ポスター!これをみかけたら是非近くでじっくり見てください。毎年手書きなんです。今年も書き込みっぷりが尋常じゃないです。

写真提供:伊勢河崎まちづくり衆

 

 

 

 

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