鳥羽市の鳥羽水族館で出会ったスナメリ。最近、スナメリの赤ちゃんが生まれというニュースに「会いに行かなきゃ!」と思っているそこのあなた!
これまた鳥羽市のイルカ島で見学した華麗なイルカショー。「あの見事なジャンプを決め込むイルカたちに会いたいなぁ」と思っているそこのあなた!
四日市市や鈴鹿市の山車「鯨船」ってかっこいい。「また、あの演技を見たいなぁ」と思っているそこのあなた!
必見です。三重県総合博物館(以下、みえむさん)で企画展「集まれ!三重のクジラとイルカたち」(実施期間:2022年7月2日(土)〜9月11日(日)まで)が開催されていますよ。
まぁ実はあなた=全て僕自身のことなんです。これまで三重県で過ごしてきた思い出が蘇ってくるような企画展に、心躍りました。
実際に企画展を見学してみると、クジラとイルカの「圧巻」と「なるほどな知識」が盛りだくさん。創意工夫されたわかりやすい展示で、子どもも大人も楽しめる内容になっていました。また、三重県で出会える生き物や祭事を取り上げていることから、三重県民だからこそ観賞して損はなしです。
それでは、企画展の一部様子をチラッと覗いてみましょう。
等身大写真と骨格標本のセット展示がわかりやすい。
船の上からイルカやクジラを見つけた!その時に見えているのは・・・そう、ほぼ背中ですよね。
「海洋生物の横からの全体像」の写真は貴重。当たり前のようで、そうかと気付かされました。企画展では等身大の写真だけでなく、骨格標本がセットで展示されています。写真と標本を交互にじっくりと見比べながら、イルカとクジラのことを深く理解できます。
伊勢湾で出会える小型のクジラ類「スナメリ」の展示も充実。水産が浅い、砂地の海域を好むそうです。なので、伊勢湾にも生息しているんですね。
スナメリの仔どもは、身体がシワシワしているのが特徴です。
最近、鳥羽水族館で生まれたスナメリの赤ちゃんのニュース記事を読んだ際、確かに肌がシワシワしていました。なるほどと頷きつつ、実際にこの目で確認しに行きたい衝動に駆られます。
間近でクジラの巨大さを実感できる。
三重県近海には、ミンククジラやスナメリのようなハクジラ類が18種、イワシクジラのようなヒゲクジラ類7種の計25種生息しています。
僕らは普段三重県で過ごしていて、クジラに出会う機会はありません。もしかしたら、熊野灘の漁師さんは海でよくクジラを見かけているのかもしれませんね。海でミンククジラやナガスクジラに出会ったら…僕だとドキドキかつハラハラしてしまいそうです。
なぜ、北勢地域で鯨船行事が伝承されているのだろう?という疑問を学芸員さんに聞いてみた。
鯨船行事は現在、四日市市5ヶ所・鈴鹿市1ヶ所で受け継がれています。豪華な装飾の鯨船の上で少年が鯨との一進一退の攻防を繰り返し、最後はモリで鯨を仕留める演技は見事。四日市市や鈴鹿市のお祭りで鯨船行事を一度でも観た方も多いのではないしょうか?
さて、ここで以前から気になっていた疑問を学芸員さんにお聞きする機会を得ました。その疑問とは、「なぜ、鯨船行事が北勢地域で受け継がれているのか?」という点です。展示内では、「江戸時代に伊勢湾で捕鯨が行われた記録はありません。」という記述がありました。
鯨が生息している湾内ではなく、熊野灘。県内では海の上で鯨船行事を行う地域として、尾鷲市の「ハラソ祭り」や紀北町の「大白祭(※.鯨船行事は中止中)」などがあります。
学芸さんからは、記録がなく正確にはわからないという前置きをいただいた上で、
- 江戸時代に南は紀州藩・北は尾張藩と分かれていた際、紀州から尾張に豪華な御座船「関船」が海岸沿いを北上していたとされる。その船上で歌舞伎を踊っていたとされる。
- 江戸時代において鯨は富の象徴であった。
この2点が関係していると推測されるそうです。捕鯨発祥の地 知多半島の師崎との関係性など、知れば知るほど奥が深いです。
ちなみに、日本で鯨船行事は三重県のみ。個人的には戦国武将 九鬼家が何か関係していないかなと想像してみたり…これだ!という答えがないからこそ、色々考えを巡らせるのも楽しいですね。
企画展を訪れた翌日にさっそく…
鳥羽水族館で生まれて約1ヶ月のスナメリの仔どもに会ってきました。親のスナメリ「チョボ」に寄り添いながら元気に泳ぐ姿に癒やされます。既に肌はシワシワっとしていなくて、遠くから見たので上顎のひげはわからず。もう生えてないのかな?と泳ぐスナメリの親子を目で追いつつ、まぁ可愛いからいいかと頬を緩ませました。
企画展「集まれ!三重のクジラとイルカたち」で学んで、実際の生き物を見にお出かけする。見てから企画展を訪れるのも良し。三重県民だからこその特権です。
今夏はぜひお子さんと一緒に、みえむさんに足を運んでみてください。
三重県総合博物館 企画展「集まれ!三重のクジラとイルカたち」について
期間 | 2022年7月2日(土)〜9月11日日まで |
休館日 | 毎週月曜日(7月18日は開館、翌19日休館 |
開催時間 | 9時〜17時まで(最終入場は16時30分まで) |
会場 | 三重県総合博物館(みえむ)3階 企画展示室 |
観覧料 | 【企画展のみ】一般800円、学生480円、高校生以下無料 【基本提示室とのセット券】一般1,050円、学生630円、高校生以下無料 |
主催 | 三重県総合博物館 |
特別協力 | 三重大学大学院生物資源学研究科 |
協力 | 太地町くじらの博物館、鳥羽水族館、名古屋港水族館、三重大学大学院工学研究科 |
後援 | 三重県博物館境界、歴史街道推進協議会 |
三重県総合博物館公式WEB 企画展「集まれ!三重のクジラとイルカたち ページへ
濱地雄一朗。南伊勢生まれの伊勢育ち。三重県といっても東西南北、文化や自然・食と魅力で溢れていることに気づき、仕事もプライベートも探求する日々を過ごす。探求を続けると生まれた疑問、それが「何で◯◯が知られていないんだ」ということ。それなら、自分でも伝えていくことだと記者活動を開始。専門は物産と観光、アクティビティ体験系も好物。自身で三重県お土産観光ナビも運営中。