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シェフ、外国人、旅人!?挑戦できる町が明るく楽しくなってきた!南伊勢の暮らし方

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38の集落が点在する三重県度会郡南伊勢町は東西に長く、端から端まで車で約1.5時間。風光明媚なリアス海岸を望む主要道路は渋滞がなく、ドライブに最適だ。しかし、町内に電車は走っておらず、タクシーも限られているので夜に飲食店で酒を酌み交わすにはハンドルキーパーが必要。都会のように気分次第で酒を吞んで家に帰ることが難しい。

“集落にシェフが出向くキッチンカーをやりたいんです”

そう語るのは南伊勢町出身のシェフで、地域おこし協力隊の小嶋孝明さん。今回3名の南伊勢町地域おこし協力隊を取材。人口減少が進む日本の地方の、あたらしい歩き方をご案内します。

 

小さな漁村に
\フレンチのキッチンカー/

小嶋さんは高校卒業後、大阪の調理師専門学校に入り、その後シェフとして8年程キャリアを積んだ。東京でミシュランの星付きフレンチレストランや、同系列の他店では副料理長も務めるなど腕を磨いた。働く傍ら、有名店など様々なレストランを食べ歩き、店のシェフと話しをしてスキルアップのヒントを得る日々。

小嶋さん:当時、給料のほとんどを食べ歩きに費やしていました。

料理への熱い情熱を持つ小嶋さん。小学生になるころには将来の夢を「料理人」と決めていたという。小嶋さんのご家族は食べることが好きで家庭で料理を振る舞ったり、生まれ育った漁村・神前浦では親戚の仕出しの仕事も小さいころから手伝っていた。

小嶋さん:家族やお客さんが料理を通じて笑顔になる。幼心に魅力を感じていました。

上京後、いつかは地元に戻って暮らそうと考えていた。その考えを前倒ししたのは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大だった。

小嶋さん:コロナの影響で店を点々とすることになり「このままだと今までと何も変わらない」と感じていました。

そんなとき、見つけたのが南伊勢町地域おこし協力隊の募集。今は協力隊として水産会社「山藤(やまとう)」で働きながら、三重県産柑橘を使った干物の開発など、新たな挑戦を進めている。

「山藤」は鮮魚や干物の製造販売を行っていて、独自開発した「骨なし串干物」は都会の百貨店やJALの新JAPAN PROJECTでも販売されている人気商品。

また旅館などに卸している干物はアジが中心で、小嶋さんは日々、1,700匹近いアジや季節の魚を捌いている。歩いて数分の市場にも直接仕入れに行き、シェフとして目利きした鮮魚などを、元同僚である東京の料理人にも販売。

小嶋さん:料理人がどんな魚を求めているかがわかります。そして産地なので、新鮮で美味しい地元の魚が食べられるフレンチやイタリアンのレストランがあれば、暮らしが楽しくなっていいなと思っています。

うみべのいえ
うみべのいえ
うみべのいえFacebookより

小嶋さんはそんな思いから、南伊勢町五ヶ所にあるシェアキッチン「うみべのいえ」で二週間に一度、フレンチなどの料理を販売。一回のイベントで100〜200食が完売する人気ぶりだ。需要はあると手応えを感じている。

小嶋さん:それぞれの集落で、地元の魚を使ったフレンチをお酒と一緒に愉しんでもらいたいです。キッチンカーで出向いて、地元の人が愉しめる場を地域に作り、そこに地域外から人が訪れる流れができたら嬉しいです。

山藤の社長・山本久美さんは「小嶋君、100点満点の働きぶり!うちにはもったいないわー。レストラン、早くやってほしいです」と嬉しそうに話す。

しかし「うみべのいえ」で人気なのは、魚以外の料理。地元の人は魚を食べ慣れている。

小嶋さん:どんなフレンチの魚料理なら地元の人は食べてくれるのか。そればかり考えながら、今日も生きています(笑)。

そう話をする小嶋さんの表情は、いきいきとして楽しそうだ。料理人としてレシピを考える口福な時間、そして都会で積み上げてきたスキルは、地域に新しい風を起こそうとしている。

 

 

南伊勢暮らしをエンジョイ!
\ジョイスさん/

「シールはがせたよ、ひとりでできたー!」。子どもたちの元気な言葉に「Good Job!」と明るい声が響く、南伊勢町保育所穂原園。

英語の授業を行うのは、アメリカ人の父と三重県松阪市出身の日本人の母を持つ、ハーモン・ジョイス・愛子さん。2020年3月から南伊勢町地域おこし協力隊として、町内の保育園や小学校で英語の先生をしている。
ジョイスさんは生まれは三重県、育ちは米国ネブラスカ州。大学では観光学を学んだ。在学中にハワイに留学しそのまま卒業。日本に移住した理由を聞いた。

ジョイスさん:故郷は海も山もない町でした。海や自然が好きで、ハワイに暮らしながら日本人中学生や高校生の修学旅行のガイドをしていました。

日本人が多いハワイで過ごすうち、母方の母国である日本に興味が湧き、いつかは暮らしてみたいと思うようになった。

ジョイスさん:日本は大都会の東京や、古都京都のイメージでした。

ジョイスさんは2019年に日本に移住し、岡山県で英語の先生をしていた。南伊勢町地域おこし協力隊の仕事を知ったのは、知り合いのSNS。応募する際Google Mapで南伊勢を検索した。

ジョイスさん:Google Mapではバスが走っていたので「この地域の人たちは、バスで買い物などに行く暮らしをしているんだな」と想像していました。でもこちらに来てみたら、あれ?店がない!

実際に赴任し、店の少なさに驚くとともに、海や自然の美しさに癒されているという。

ジョイスさん:ハワイの海もキレイだけれど、南伊勢の海もブルーやグリーンで美しいです。渋滞もなく、人もフレンドリー。ピースフルな町だと思います。あとカキフライも美味しい(笑)。

内瀬の湾の前で、内瀬みかんを地元の人にもらったジョイスさん。

ジョイスさんは母方の親戚や、日本に暮らす友人などを案内するとき、美しいリアス海岸のハートの入り江や段々畑にブランド柑橘が育つ内瀬地区、そして好物であるカキフライが美味しい食堂など、自分の好きな南伊勢を案内している。友人とはシュノーケリングも楽しむという。

ジョイスさん:母方の親戚は三重県民ですが、南伊勢に来たのは初めてでとても喜んでいました。その姿を見て、私も嬉しく思いました。

ジョイスさんは昨年、日本で出会ったブラジル人のアレックスさんと結婚。愛知県の大規模工場に勤めていたアレックスさんも、今は南伊勢の柑橘農園で働いている。

写真後にある山が二人で登った浅間山

ジョイスさん:アレックスがこちらに引越しをする前に、南伊勢の自然豊かな美しい町並みを見て欲しくて、2人で山(浅間山)をハイキング。頂上からの眺めに彼も「美しい町だ」と喜んでくれました。

すっかり南伊勢暮らしをエンジョイするジョイスさん。最後に協力隊として町に関わることで、どう変わっていくと良いかを尋ねた。

ジョイスさん:田舎ですが保育園に通う子どもたちが、私のような外国人と幼いときから触れ合うことで、グローバルな感覚を持った人に育ったらいいなと思っています。4〜5才の幼児に英語を教えたことがなく、最初は不安でした。彼らはまだ年齢的に恥ずかしがることが少なく、間違いを怖れません。そんな元気いっぱいの子どもたちに、可能性を感じています。

日本で最初に認定を受けた国立公園「伊勢志摩国立公園」の自然に恵まれた南伊勢町。また魚の水揚量も三重県で一番であり、ブランド柑橘は県内だけでなく都会の果実店でも人気。世界に誇れる自然や産業があり、グローバルな子どもが育った将来、国外に向けて魅力を発信できれば、町は大きく変わるのかも知れない。それは、南伊勢を知らなかったジョイスさんが、美しい海や自然を満喫するように。

 

 

旅人が思う
\移住で大事なこと/

波が穏やかな五ヶ所湾にある、サニーコーストカヤックスでカヤックインストラクターとして地域おこし協力隊に赴任した丸尾航平さん。南伊勢町に移住した経緯を聞くと・・

丸尾さん:ええっと、どこからお話したらいいんだろう・・。神奈川県の茅ヶ崎で生まれ育って、そのあと日本を自転車で縦断して、波照間島に暮らしていて・・。

丸尾さんの旅人的な暮らしを要約させていただく。地元茅ヶ崎市で3年ほど栄養士として勤めたあと、自転車にテントを積み込み、北海道の稚内から沖縄県の波照間島まで野宿をしながら旅をした。

丸尾さん:島に着いたその日から、地元の居酒屋さんで働くことになりました。

持ち前の明るさが気に入られ仕事も見つかり、そのまま島に移住。島でバックパーカーをしていた奥さんと出会い、その後はアメリカ大陸やヨーロッパ、最後はアジアをバッグひとつで旅をして島に戻った。

丸尾さん:島では自分の飲食店をしたいなと漠然と思っていました。妻が山好きで1シーズンだけ上高地のキャンプ場で働いたことも。妻と二人で「次どこに行く?」という暮らしで、軽バンに乗って日本の各地を転々と巡る、キャンプ暮らしもしました。

そんな旅人暮らしをするなか、知り合いづてに地域おこし協力隊の募集を知った。

丸尾さん:カヤックは単純に楽しくて、いいなと思いました。今はインストラクターとして人を海に案内するので、勉強することも多く、資格も必要です。

サニーコーストカヤックス代表の本橋洋一さんも関東からの移住者。丸尾さんがいることで、どんな変化があるのだろう。

本橋さん:丸尾君が入るまで1人で仕事を回していました。彼が手伝ってくれるおかげで「今までどうやって1人で回していたのだろう?」と不思議になるほど助かっています。そこのウッドデッキも彼が作ってくれました。あと、彼が来てから人との繋がりも増えました。この前の飲み会も楽しかったよね。

丸尾さんは友人らと、地域おこし協力隊、移住者、地元の若者などを集めて定期的に飲み会を主催するようになった。知らない土地で新しい仕事を続けて行くには、情報交換や人との繋がりが大切だという。

丸尾さん:僕は家族がいるからいいけど、一人で移住してきたり、地域おこし協力隊をやっていると、どうしても孤独になることもあるんじゃないかなって。それと、地元の人との繋がりがないと、せっかく移住してきたのに南伊勢を離れてしまうかも知れない。もったいないことだと思うんです。あと息抜きも大事ですから。

 

 

挑戦できるから
\町は面白くなる/

丸尾さんは「旅する料理教室マルコの台所」として、バックパッカー時代に知ったスパイスを使った料理教室を行ったり、シェアキッチン「うみべのいえ」でスパイスカレーなどの販売も行っている。

丸尾さん:今でも「飲食の仕事を立ち上げたい」という想いは持っているんですよ。

地域おこし協力隊になって2年が経った丸尾さん。昨年お子さんが生まれ、今後は南伊勢町に定住しようと考えている。

丸尾さん:カヤックと飲食を組み合わせて、何かできないか考えています。今まで旅人のような暮らしでしたが、定住しようと決めたことで、具体的にどんな事業を立ち上げるのか、計画するようになりました。でも、いきなり何かを始めるのはハードルが高いです。

そして、話を続けてくれた。

丸尾さん:以前は「都会で飲食をやることから逃げているだけなのかも知れない」と思うこともありました。でも自分で考えて動いて、与えられるのを待つのではなく、ここでやる意義と向き合っています。そんな毎日は、憧れの飲食への妄想は広がるばかり。いろいろと挑戦してみたいです。

南伊勢町は人口が減り続けていて、飲食の店舗を構える商圏と捉えると、新規事業として商売的に厳しいのかも知れない。しかし空き家や空き施設がありスペースはあり、何らかの形で活用することもできる。そして町には飲食店や店は少なく、それを望む声もある。

ここ数年で様々なプロジェクトが始まった南伊勢町。挑戦するから町はおもしろくなる。町がおもしろくなるから人が集まる。それはかつて、経済的な豊かさを求めて地方から都会に人が集まったのとは逆に、暮らしの豊かさを求めて都会から地方へ人が集まるように。

地方にはフィールドがある。そして人が人らしく暮らしていくために大切な自然にも恵まれている。挑戦できる町、南伊勢町。あなたならこの町で、どんな理想の暮らしを描きますか?

 


 

南伊勢町では
地域おこし協力隊を
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南伊勢町役場 まちづくり推進課 若者定住係
三重県度会郡南伊勢町五ヶ所浦3057
tel 0599-66-1366
mail teiju@town.minamiise.lg.jp
hp https://www.town.minamiise.lg.jp

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