伊勢うどんにあおさのり、伊勢茶にみかんジュース、関の戸に志ら玉も。
店内をグルリと回ると、そこには三重県が溢れていた。
お店は関見世 吉右衛門(せきみせ きちえもん)。伝統的な建造物が立ち並ぶ歴史の町 亀山市関宿(せきじゅく)に、令和元年12月15日にOPENしたお店だ。
販売されている商品はとってもユニーク。さらに、店内外で至るところに楽しい工夫も施されていていた。
これから、関見世 吉右衛門のおすすめの見所を紹介していく。観光で訪れる人はもちろんのこと、地元民も胸が高鳴るお店であることは冒頭で保証しておこう。
日本最長1.8km 伝統的建造物群が保存されている宿場町 関宿
お話を伺ったのは、服部 吉右衛門 亜樹さん(以下、服部さん)。
急な来店にも関わらず、たまたま居合わせてご対応をいただいた。三重県を代表する銘菓 関の戸を製造する深川屋の14代目で、関見世 吉右衛門をご家族で運営をされている。
関宿は実は三重県で唯一、全国伝統的建造物群保存地区として文化庁に登録されているのはご存知だろうか?
しかも東海道でも関宿のみで、昭和59年に全国で20番目に登録がされた。
店内のインフォメーションコーナーに設置された案内ボードがある。そこを覗くと、文化庁が認める「全国伝統的建造物群保存地区」は全国で118箇所(2019年5月1日時点)あり、三重県は関宿のみだということを確認できる。
服部さん「登録をきっかけに町並み保存に力が入っていきました。ちなみに、日本最長の1.8kmが登録されています。」
そんな由緒ある町に関見世 吉右衛門をOPENするに至ったのは、地域で根ざして町の変化を過ごしてきた服部さんたちの思いからだった。
服部さん「3年前にこの建物が売りに出されたんです。話を聞いてみると他県のチェーン店が名乗りを挙げていることがわかりました。それが悪いことではないと思っていましたが、それ以上に自分たちで町のために何かできないかという思いが勝ったんです。それで、勢いで購入してしまって・・・どうしていくのが町のために良いのかと考えていたところ、以前から考えていた構想が浮かんできました。」
関宿には手軽にお土産を買えるお店がない。
今こそ構想を形にする時だと決断し、そして、関見世 吉右衛門が生まれた。
建物は築150年 江戸時代には造り酒屋だった
- 伝統的な関宿の町並みを残した外観
- 装飾が施された美しい内観
まさか関見世 吉右衛門の建物が築150年だと聞いて、僕は驚きを隠せずにいる。
建物の場所は、江戸時代頃から現在まで
- 造り酒屋
- 旅籠
- 紡績工場
- 民家
- そして、関見世 吉右衛門
と時代を越えて在り続けてきた。そんなお話をお聞きすると、改めて店内を見渡してしまう。
服部さん「そうそう、これも見てやってください。」
このおちょこは、改装工事の際に出土されたものだそうだ。いつの時代のものなのかは断定できないが、もしかしなくても関宿の地下には夢が埋まっているのかもしれない。
販売商品500点以上。胸が高鳴る商品ラインナップ
三重県各地の特産を取り揃えたのは、関宿が昔も今も西の玄関口であることが理由だ。
例えば、伊勢志摩旅行でお土産を買い忘れたとしても、関見世 吉右衛門に立ち寄れば寄りすぐりの逸品を手に入れることができのだ。
店内には三重県のご当地感溢れるお土産品がところ狭しと陳列されていた。
三重県の特産、伝統工芸がズラリと並ぶ
店内は決して広くはないが、見ていて楽しくなる配置で三重県各地の商品が陳列されている。食品だけでなく、伝統工芸品も扱っているのにも注目だ。
服部さん「店をOPENするにあたって地元コーナーを作れたことが、何よりも嬉しかったです。」
亀山は他の地域に比べて特産は決して多くはない。地元コーナーとして2棚用意をしたものの、商品が並べられるか服部さんは不安でしかたなかったそうだ。
結果として、そんな不安は取り越し苦労に終わる。服部さんたちの思いは、事業者に伝わり、地元商品が関見世 吉右衛門に集まった。
深川屋羽二重餅 琴の橋
関見世 吉右衛門には深川屋羽二重餅 琴の橋が販売されている。関宿に縁あるお話を元に製造販売されていて、とても興味深い。
琴の橋の由来
昔、新所城の城主奥方の付き人おとらが、お城が火事になった時奥方を連れて逃げました。ところが途中、流れが急な川で立ち往生してしまいました。
その時おとらが持って逃げていた奥方のお琴を川にかけ、難を逃れたという伝説があります。後にその川を「おとら川」かけられた橋を「琴の橋」と呼びました。
いまでも”おとら川”は関宿を流れている。銘菓は身近にありながら風化していく逸話を残したい、そんな思い込めて作られていたのだ。
現在はおとら川に琴の橋はない。しかし、逸話を知った上で眺める”おとら川”には琴の橋が見えてくるに違いない。
三重県で唯一の販売場所 福岡 チロリアン
関見世 吉右衛門の商品ラインナップには、三重県産品に加えてもう一つ特長がある。
「えっ、チロリアンって確か福岡駅か・・・で買いましたよ。三重県ではじめて見ました。」
服部さん「私は和菓子屋ですから、全国に同業の友人がいるんです。実は三重県で福岡 チロリアンが販売されているのはうちだけなんですよ。」
お仕事で全国を飛び回る服部さんの交友と人柄だからこそ、三重県に福岡 チロリアンがならんでいたのだ。
服部さん「”東京 銀座空也 もなか”さんや”岐阜 田中屋せんべい総本家”さんの商品も入荷予定です。楽しみにしていてくださいね。」
楽しそうに話す服部さんは、誰よりもワクワクしている。
そこで気がついた。お店に入って感じたワクワク感の出どころはここかと。
現代の”琴の橋”を渡って
実は関見世 吉右衛門の入口には、今は無き”琴の橋”がある。
関見世 吉右衛門が関宿や三重県、そして全国への架け橋になっていく。橋を渡って、そんな未来を思い描く。
関見世 吉右衛門では、同敷地内で茶房やワークショップギャラリー、厨房付きのテラスなど新たな展開も予定されている。
琴の橋を渡って、関見世 吉右衛門さんの暖簾をくぐる。そして、今度は琴の橋を渡って次の場所へと向かう。
あなたにもぜひ体験してもらいたい。
関見世 吉右衛門(せきみせ きちえもん) 店舗情報
最新情報は関見世吉右衛門 公式FACEBOOKをチェック
店名:関見世 吉右衛門(せきみせ きちえもん)
営業時間:10:00〜16:00
休業日:不定休 ※.お問い合わせの上での御来店推奨
電話番号:0595-86-5780
駐車場:店舗横 2台 ※.増築予定のため期間限定/関宿観光駐車場 大型4台、普通16台、おもいやり駐車1台(無料)
住所:〒519-1111 三重県亀山市関町新所1765-5
アクセスMAP
濱地雄一朗。南伊勢生まれの伊勢育ち。三重県といっても東西南北、文化や自然・食と魅力で溢れていることに気づき、仕事もプライベートも探求する日々を過ごす。探求を続けると生まれた疑問、それが「何で◯◯が知られていないんだ」ということ。それなら、自分でも伝えていくことだと記者活動を開始。専門は物産と観光、アクティビティ体験系も好物。自身で三重県お土産観光ナビも運営中。