今年に入ってとあるバンドを知った。
バンド名は『POTOF』(ポトフ)。
三重県を中心に活躍する彼らは、近年、ライブハウスでのライブだけでなく、野外イベントやマルシェイベントなどでも見かけるようになり、着実にファンを増やしている。
初めてその名前を聞いたのは、インスタグラムのとあるハッシュタグだった。
『#CUTLERYのある店』
『カトラリーのある店』ってなんだ?と思いインスタグラムをみてみた。
どうやら、『CUTLERY』(カトラリー)というタイトルのCDアルバムがリリースされており、そのCDを置いて販売しているお店を、『#CUTLERYのある店』のハッシュタグと共にインスタグラムにて紹介しているようだった。
CDを置いているお店は三重県のお店ばかりで、なんだか知ってる店もあるなー、と思い、それ以来なんだかこの『CUTLERY』と名付けられたCDのことが頭のどこかで気になっていた。
1st Album『CUTLERY』 イラスト:本城まい子
『CUTLERY』(カトラリー)とは、大きな意味では『食器』のことを指し、具体的にはフォークやスプーン、ナイフやお箸のことを意味する。
アルバムジャケットにはフォークやスプーンが描かれ、とってもお洒落。
そして『CUTLERY』というタイトルのアルバムをリリースしたのは三重県を中心に活動する6人編成の、『POTOF』(ポトフ)という名のバンドだということを知る。
『POTOF』のオンラインショップに、『CUTLERY』というタイトルに込めた想いが綴られている。
「近所の雑貨屋で見つけた古いスプーン、大事な友人から贈られた箸、
旅先で出会った不思議なフォーク、職人が削った憧れのナイフ。
どんな形が、素材が、物語が、このメニューや食卓に合うだろうと考えるたび
暮らしがささやかに楽しく、美しくなっていく。
そんなカトラリーのような音楽を束ねて、1つの作品ができました。」
『暮らしの近くで鳴る音、そして様々な素材感が合わさって調和する様子』をイメージしているそう。
『POTOF』という名のバンドがリリースした『CUTLERY』という名のタイトルのアルバム…
カフェの仕事を生業とする僕は、もうこの時点でこのバンドのことが気になって仕方なくなってしまった。
津で行われるジャズフェスに『POTOF』が出演するという情報を聞きつけ、いてもたってもいられなくなり、お店の営業もそこそこに、ライブを観に行くことにした。
バンド名となっている『POTOF』(ポトフ)とは、もともと、フランス語のポトフ(pot-au-feu)が由来で、「火にかけた鍋」を意味する煮込み料理のこと。
『POTOF』は、6人編成のバンドで、使用する楽器は10種類以上に及ぶ。
ジャンルも多種多様で、ジャズ、ロック、カントリーからスカまで演奏する、まさに「火にかけた鍋」のようにごった煮で、6人それぞれが、ひとつの鍋でそれぞれの個性を放って、一つの料理になっているかのような音楽。
初めて『POTOF』のライブを初めて間近で観た感想は、音楽性のレベルの高さは言わずもがな、『POTOF』というバンドが醸し出す空気と、バンドとしてのキャラクターの虜になってしまった。
正直僕には、『POTOF』の演奏がどれくらい凄いとかどれくらい上手とか、そういう専門的なことはわからないけど、いち音楽ファンとして、ライブを観終わったあとは、「凄かった」とか「上手かった」という感想ではなく、「楽しかった」という感想しかなかった。
『POTOF』というバンド名から受けるイメージ。
『CUTLERY』というアルバム名から受けるイメージ。
そのイメージがそのまま音楽になっていた。
ライブ後もずっと『幸せな余韻』が残っていて、この感覚をみんなと共有したいと思い、お店で彼らのCDを取り扱わせてもらうことにした。
ところで。
バンド『POTOF』についてもう少し紹介を。
『POTOF』は6人編成のバンド。
三重で結成され、今はそれぞれに社会人として三重で働いている。
音楽活動は、それぞれの仕事や家庭の時間をやりくりしながら、練習やライブを行なっており、主に三重県内のライブハウスや、カフェ、雑貨屋さん、マルシェやジャズフェスなどのイベントを中心にライブを行なっている。
『POTOF』の6人に聞いてみた。
「仕事と音楽活動の両立は大変じゃないですか?」と。
「仕事も音楽も大事。仕事の合間の練習やライブで、休まる時間が取れない時もある。けれど、みんなで一つのものを作っていくことの楽しさが、音楽の楽しさが、日々の精神的な支えになっている」
とのことだった。
さて、そんな『POTOF』に、僕のお店でライブをやってほしい、と思った。
彼らの楽しい音楽、幸せな余韻を、僕のお店がある東紀州地域でも知ってほしい、と思い、ライブをオファーした。
想いが叶い、9月29日、『cafe Scale』にて『POTOF』のライブが行われた。
ボーカル・ギター…宮田光顕(ピーター)
ソプラノサックス・アルトサックス・フルート…石川武雅
ソプラノサックス・アルトサックス・フルート…石川武雅
ベース…加藤伊知朗
キーボード・鍵盤ハーモニカ・ホルン…駒田早紀
ドラム・パーカッション…青木鷹平
ボーカル・アコーディオン・木琴・オーシャンドラム…日隈麗
改めて、ライブを観させてもらって思ったこと。
『POTOF』というバンドのメンバーが持つピースフルな個性がそのまま音楽性に結びついているということを感じたし、彼らが作り出すバンドとしてのキャラクター性がこのバンドの魅力だということ。
ギター、ベース、ドラム、キーボード、アコーディオン、木琴、ホルン、サックス、フルート、、、様々な楽器がおもちゃ箱のように飛び出して、聞いている人をハッピーにしてくれる。
終始笑顔で演奏する『POTOF』の6人。
その笑顔につられて笑顔になるオーディエンス。
この日は、お客さんのノリも最高で、ダブルアンコールとなって、幸せな熱気が渦巻いたまま、終焉した。
後日、『POTOF』のライブを観たお客さんからは
「興奮してその日の夜はうまく眠れませんでした」
「あの日からずっと、幸福な余韻を引きづっています」
「とても楽しくて、夢のような時間でした」
と直接感想を言いに来てくれたり、メッセージをくれたりした。
僕も同様に、その後数日間、幸せな余韻と幸運をひきづったまま、なんだか夢か現実かわからない日々を過ごした。
それほどに、とても素敵なライブと幸福な時間だった。
『POTOF』は、演奏をするその場所が大きなライブハウスだろうと、小さなカフェだろうと、野外だろうと、その環境を活かすバンドであり、その環境に活かされるバンドだと思った。
三重県内のライブハウスやカフェや雑貨屋さんやマルシェイベントなどで活動する『POTOF』。
三重県が拠点の『POTOF』。
東京ではなく、ここ、三重で。
これからもライブハウスやカフェやマルシェイベントや音楽イベントで彼らの名前を見る機会、音楽を聴く機会が増えていくだろうと思う。
その度に『POTOF』のハッピーな雰囲気のファンは増えていくに違いない。
そして彼らのライブを目当てに、三重に来る人もこれからきっと増えていく。
6人の個性が混ざり合った音楽。
コトコト煮込んだ幸せな音楽をこれからも多くの人に届けて欲しい。
『POTOF』 公式ホームページ↓
https://potofmusicband.wixsite.com/website
『POTOF』 オンラインショップ↓
https://potof.thebase.in
『POTOF』 公式インスタグラム↓
たかやん。OTONAMIE公式記者。三重県尾鷲市にあるカフェ「Scale」で働く茶坊主。コーヒー、本、映画、人文学、デザイン好き。趣味は園芸とウクレレとカメラ。フリーペーパー製作に関わっていた経験を活かして、尾鷲市のカフェからのんびりレポートいたします。得意ジャンルは人物紹介、お店紹介、イベント、町ネタ。