世界の車窓から、というテレビ番組が好きだ。
世界各地の美しい景色や、そこに暮らす人々が出てくるミニ紀行番組。
ワタクシゴトで恐縮だが、暮らしている津市から仕事等で三重の南部に行くことがある。
仕事で移動が伴うので、車を運転していくのだが「この景色を列車からゆっくりと眺めたいな」と思っていた。
世界の車窓からに負けず劣らずの美しい景色がそこにはある。
列車に揺られ、ガタンゴトン。
正月休みに日帰りで実行してみた。
ポケットにウィスキーを忍ばせ(正月休みということでお許しを)イヤホンからは世界の車窓から風のお気に入りBGM。
大人になり、一人でゆっくりと過ごす時間はそれこそ移動中の車の中くらいしかない、という人も多いのではないでしょうか。
今回はそんな忙しい大人へ、また全国の車窓ファンへ贈るミニ紀行文。
お粗末な記事ですが、車窓風BGMを頭の中で再生しながら、是非お付き合いのほどを。
紀伊半島の森を!海を!駆け抜ける。
実家で過ごしていた正月。
子どもたちがテンション高めで「今日は親戚のお兄ちゃんと遊んで、夜はじぃじの家にお泊まりする!!」と言ってきたので、これはチャンスとばかりに一人向かったのは津駅。
大阪、名古屋、志摩方面などに出かけることが多く、津駅からは近鉄に乗ることが多い。
津駅からJRに乗ったことは、今まで数える程しかなかった。
ワイドビュー南紀には初めて乗ったが、車窓がワイドでナイスなビューだった。
のどかな田園風景を眺めながら南下する。
多気駅を過ぎた辺りから、山の中へ。
三瀬谷駅(大台町)を超えると、さすがの紀伊半島。
美しい川や連なる深い山脈。
山から紀伊長島駅に向かう途中に、海が顔を出す。
海と山の距離が近い紀伊半島ならではの自然が愉しめる。
紀伊長島駅を出るとレトロな街並み、そして漁船も観ることができた。
非日常の風景に心が躍り、やや興奮気味に・・。
圧巻!東紀州の車窓から。
尾鷲駅を過ぎたころ、小島に赤い鳥居が映える風景。
手を振る子どもたち。
小さな漁村や砂浜など、リアス海岸の美しい景色を眺めながら熊野駅に到着。
今回は熊野駅で下車せずに新宮駅まで行き、神倉神社と熊野速玉大社へ向かう。
なぜ転げない!?御神体は神秘の巨岩。
駅ではニットキャップがお似合いの、パンダがお出迎えしてくれた。
新宮駅から神倉神社に向かって住宅街を歩く。
見上げると、何かある。
突如街中に現れた世界遺産、神倉神社。
出雲大社新宮教会の横に、神倉神社の入り口があった。
神倉神社の由来
神倉神社は熊野権現として有名な、熊野速玉大社の摂社。
熊野三山(速玉・那智・本宮)の主神降臨の霊地、熊野信仰の根本とも申すべき霊所である。(看板より)
街中で発見した神社は、かなり高所にあった。
そこを目がけて鳥居をくぐり、ゴツゴツとした石段を登った。
写真では伝えきれないが、息が切れるほど登る。
538段もあるという石段は途中、ヨイショと声も出るような高いところもあった。
おー!
思わず御神体「ゴトビキ岩」の姿に声が出た。
何で転げないのかが不思議な、神秘的な巨岩。
ことびき岩から眺めた新宮の景色にも息を吞む。
神様はここに降臨してここから景色を眺めたのかと思うと、不思議と神話に説得力を感じた。
来た石段道を下って、レトロな街並みを歩き・・、
15分程で熊野速玉大社に到着。
迫力のある、ふとーい注連縄。
縁起良い、白ヘビのイラスト。
風格ある、熊野速玉大社を後にした。
歩いて駅に戻ると、パンダ列車。
紀州名物とはいえど、まさか・・。
駅の中にもサンマが干してある・・、
と思ったらオブジェでした。
嘘ではなかった、トンビ注意。
以前、知り合いがトンビに食べ物を取られたと言っていた。
紀州の車窓から
パワースポット巡りのような感じになった今回の散策。
帰りの車窓からは行きとは違う、夕方の美しい景色。
お伊勢参りが流行る前から、蟻の熊野詣で賑わった紀伊半島。
伊勢にも熊野にも、神話は生きている。
そして2017年に世界的旅行誌が「世界のおすすめ旅先5位」に選ぶなど、世界から注目されている紀伊半島。
“ 紀州の車窓から ”
津駅から新宮まではワイドビュー南紀で約2.5時間と長時間ですが、逆に自然の眺めを味わいながら、一人でゆっくりできる時間が心地良かったです。
深い森やリアス海岸など、味わいのある自然を「ワイドなビュー」で愉しむ紀行文でした。
(巡った日:2018年1月3日)
村山祐介。OTONAMIE代表。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩と自転車。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事