ホーム 02【遊びに行く】 あの映画界の問題・・・いや反ぎゃ・・・じゃなくて風雲児『鉄ドン』が、なんと三重県に初上陸!? ~製作総指揮の星野総帥に突撃インタビュー!~

あの映画界の問題・・・いや反ぎゃ・・・じゃなくて風雲児『鉄ドン』が、なんと三重県に初上陸!? ~製作総指揮の星野総帥に突撃インタビュー!~

映画の楽しみ方って人それぞれだと思わない? 飲み食いしないで見る人、ポップコーンとドリンク必須で見る人、必ず後ろの席で見る人などなど、自分ルールみたいなのが絶対あるわよね。
アタクシは、あれよ。チープなんだけど、ポップコーンとドリンクいる派よ。サイズはL、バケツサイズ。これだけは譲れないわ!
で、見る時にも自分ルールがあって、先読みする、あえて何も考えないようにして素直に驚くようにする、レビューようにメモる、とかね~。
だけど、騒ぐって選択肢はないのよねー。当たり前だけど。
まぁ、例外ってのもあって、ロッキーホラーショーは騒ぐのがルールらしいわよ。
その騒ぐから発展しちゃうけど、映画館で笑うって行為も、なんかご法度みたいな空気があるのじゃない? 何て言うのかしら、年末の「笑ってはいけない」的な。いえ、本当におケツはシバかれないけど、笑い辛い空間が作られちゃってるのよねー。

で、逆に騒ぐ事を推奨してる映画があるの。
映画で笑って。
お客様のツッコミで会場が更に笑って。
笑いが一回起これば、遠慮なくみんな笑い始めて、ずーっと会場が賑やか。
映画なのにライブのような一体感が生まれる、そんな不思議な映画。

本日は、そんなすっごいものを世に送り出した人にインタビュー。
魔法の一部を解析しちゃうわよー!
鉄ドン製作総指揮の星野総帥、お願いいたします!

<Q1>
鉄ドンを知らない人のために、鉄ドンの説明をお願いします。

<A1>
「鉄ドン」は1992年に始まり、当初は3分程度のバカ映画の間に、漫才やコントやヒーローショーなどのライブが入るノンストップイベントだったのですが、2、3年やった後に阪神・淡路大震災があり18年間中断していました。
2012年に復活してからは3回のライブイベントを行い、2013年からは毎年バカ映画オムニバスを作る活動になっています。
現在、年一本のオムニバス制作だけでも結構手一杯なので、どうなるのかはわからないのですが、またライブイベントをしたい気持ちはあります。

<Q2>
いつからスタートされた企画なんですか?

<A2>
「鉄ドン」そのものは1992年で、オムニバス製作は2013年(完成は翌年)からです。
歴史は長いけど途中で18年休んでいます。
ぎゅっと圧縮したら10年弱ぐらいですね。

<Q3>
製作総指揮としての役割って何ですか?

<A3>
本来は「映画を完成させてお金を回収、分配する」ということでないといけないのですが、それが全くできてないですね。
映画制作上で言うと、麻雀やトランプと同じように持っているものでできる限りいい手にできるように努力するということです。
映画上映前に、前説をしてお客さんをあおるのですが、それはちょっとイカサマみたいですね。

<Q4>
3分前後の短編オムニバス形式にしたのはなぜですか?

<A4>
「ABC・オブ・デス」というA~Zまでの各アルファベットを頭文字にしたタイトルをつけた「死」をテーマにしたオムニバス映画をお手本にしたのですが、この映画が2013年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭で上映された時に、監督で参加されてた西村喜廣さんが「この映画は世界中から監督を集めた『鉄ドン』みたいなものです」と舞台挨拶で言ってくれたんですね。この時「鉄ドン」は全然無名にも関わらず。
それをぼくは、「お前たちもこの舞台に上がってこい!」という意味に捉えて、それなら自分たちもやろう、と。
平均3分というのは、もともとイベント時の「鉄ドン」も映画は平均3分ぐらいだったのと、「ABC・オブ・デス」は平均5分ぐらいで、各作品はよく出来てて大変面白いのですが、全体通して見ると長くてちょっと疲れるなあと思ったからです。
ちなみに、平均3分で作った「フールジャパン ABC・オブ・鉄ドン」でも、見てるとちょっと疲れてしまうので、以降は本数を減らすなどして上映時間を少なくする努力をしました。
ちなみに「ABC・オブ・デス」シリーズ、ちょいちょいバカ映画っぽいものが入ってますので、気になる人はチェックしてくださいね。

<Q5>
映画館では、お客さんを煽るところからスタートしますよね。いつもボルテージが上がりますけど、この流れが生まれた経緯は何ですか?

<A5>
これは完全にライブイベントの1回目(1992年)からのものです。
「オムニバス映画」としての「鉄ドン」しか知らない人にとっては「なんでこんなことしてんの?」ということだと思いますし、この形式のために映画祭や映画館にめんどくさがられることもあるのですが、ライブイベントの空気が欲しいのでやっています。
「静かに見てください」という、あまりにもお客さんが楽しむことにリミッターをかけるような映画館が多いということには多少の反発はあります。
もちろん映画館側の言うてるのは「マナーを守りながら楽しんでね」ということだとは理解してますが、金払って見に行って、「ストップ 映画泥棒」とか言われて、テンションが上がるのかって話です。映画館で公式に売っているポップコーンも食べるときに「カサッ」って音なったら睨んでくる客がいますからね。
でも、最近は映画館でも「応援上映」とか「発声上映」とかいって、騒ぎながら見ることを奨励する上映も増えて来たので、そろそろ「鉄ドン」の存在意義の一部はなくなっているようにも思っています。

<Q6>
金返せコールを考案したきっかけは何ですか?

<A6>
単純にみなさん、今まで「鉄ドン」以外の映画見ても「金返せ!」「時間返せ!」と思ったことがあるだろうし、それはもうお客さんに言うてもらう方が楽しいですよね。
作品に対して「金返せ!」と言う声が起こるのは、「くだらねえ」って言いながら笑う感覚のものが多く、決して評価が低いものではなく、ある種の誉め言葉ですね。

<Q7>
お客さんのノリは、地方毎に大きく違いますか?

<A7>
地方というよりは、同じ会場でやってても、その回により異なることが多いです。
「前説」の出来はもちろん、時間帯、知り合いが多く来てるのかどうか、複数回目の方が多いかどうか、客の入り、会場の雰囲気、そういうものが全て影響しあっているように感じます。
ある種の「均一性」とその回だけの「特殊性」を掛け合わせて楽しんでもらえたらと思っています。
もちろん、うまくいくときもいかないときもあるのですが、お客さんの密度が高いほど盛り上がる傾向があるので、できるだけ多くのお友達など誘って来てもらいたいです。

<Q8>
海外上映の実績もある鉄ドン。やっぱり海外では笑いのツボって違うんですか?

<A8>
ぼくはスペインでの上映にしか立ち会ってないのですが、日本では賛否がはっきり分かれる「おとな鉄ドン シャバダバ無法地帯」がすごく受け入れられたのが意外でした。
もちろん、日本でウケてた映画があまりウケない、あるいはその逆も見ることがあるのですが、それは日本でも各回で違うことなので、全体としてウケていたらあまり気にしないようにしています。
ちょっとヤケクソ気味のオチの方が受けやすい気はします。
スペインでは、スペイン語で前説をするのですが、日本で前説をやるよりもだいぶ長く、ネタを挟み込んでやります。
これはこの映画祭で星野個人が「映画プロデューサー」というよりは、「スタンダップコメディアン」のような扱われ方をしているからです。

<Q9>
毎回20作品程度のオムニバスですが、審査は大変ですか? 「ダメだこれ」、など思わず口にしてしまった作品とかありますか?

<A9>
口にはしませんが、既存のキャラクターが出てくる映画や、著作権を無視したものが時々来るので、そういうのは勘弁してもらいたいです。
制作時だけではなく以降の取り扱いについても書いているのでルールブックはちゃんと読んでもらいたいです。

<Q10>
審査をする時にいつも心掛けていることは何ですか?

<A10>
その映画にとって「鉄ドン」に入ることが幸せなのかどうかは気にします。
以前にすごく良くできた映画が来たけど「鉄ドン」には不向きだと思い、ある映画祭に応募することを勧めました。
その映画祭で評価を受けたので、良かったなあと思いました。もちろん、いつかその監督が「鉄ドン」の監督の一人になってくれればより嬉しいですね。
あとは、バランスですね。
よくサッカーの監督が「最高の11人の選手ではなく、11人の選手で最高のチームに」みたいなことを言うのですが、やはり「鉄ドン」には「金返せ!」と言われる映画がないと盛り上がらないです。

<Q11>
これから映像をやってみたいと思っている方もいると思いますので、鉄ドン的映画の作り方をご教授下さい。

<Q12>
まずは自分が面白いと思うものを、駄作になることを恐れずに作ってもらいたいです。
習作であれば、著作権など無視しても構わないので、手持ちのキャラクターグッズで人形劇を作ってもいいですね。
映画を作る人の中には意外と「お笑い好き」の人が少ないのですが、もっとお笑いを見てもらたいです。
「鉄ドン」の映画は平均3分、これはお笑いのショーレースの時間と大差ありません。映画の技術を勉強するのと同時に、お笑いの技術についても勉強してくれたらと思います。
今は、iPhoneで撮影したものがスクリーンで見ても問題ないくらいキレイです(もちろん、わざわざ撮影のために買うのだったら、ビデオカメラか一眼レフのカメラ買う方がいいです)、いろんなアプリで編集もできます。
あなたがまだ一本も映画を作っていないのに「いつか映画を作りたい」と思っているのだったら、そのいつかが今日でない理由などありません。
「鉄ドン的」ではなく、「鉄ドン」の映画ということだったら、お願いですからルールブックをちゃんと読んでもらいたいです。

 

<Q12>
今後の上映告知などお願いします。

<A12>
11月3日「四日市☆映画祭」で、「鉄ドン」バカ映画オムニバス第三弾の「フールジャパン 鉄ドンへの道」が上映されます。
また、12月29日に大阪で「フールジャパン」シリーズ3本(第一弾~第三弾)をまとめて上映する予定です。
現在は、第六弾のオムニバス映画を製作中ですが、未成年者でも見られるものを目指しているのでプロデューサーに女優で中学生の坪内花菜さんにも参加していただいています(第六弾への参加に興味がある方はご連絡ください)

静かじゃない映画っていう、新しい概念を一回経験してみたらいかがかしら? 思いのほか、ハマっちゃうかもよ! だって、楽しんだもん勝ちなんだから!

星野総帥、ありがとうございました!!

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