三重県の最北端、いなべ市の中心地である阿下喜で毎年恒例の『あげきのおひなさん』の催し、
22段の雛壇、町の100ケ所以上に飾られるお雛様…
手づくりのつるし雛について<前編>ではお知らせした。
折り紙雛ありと会場をさらに盛り上げている。
また、開催期間中にはお雛様に関する手づくり体験コーナー、スタンプラリーなど、
楽しみ盛り沢山である。
さらには、着物カフェ(3月4日限定)と題する、
無料でお着物を着付けして頂ける企画まで用意されている。
阿下喜の町歩きを楽しむこともでき、阿下喜の町は着物を着る人々で華やぎが増す。
~着物姿の「はなもも会」の方々~
軽やかなフルート四重奏や春にちなんだ曲の演奏や、
手品なども着物カフェ当日には楽しめるという。
~平成28年の箏と尺八の演奏の様子~
さらには、子ども達が可愛いお雛様に扮して能を披露する「こどもびな」も必見!
と、ここまで目を潤す内容ばかりを言及してきたが、ちょっと気になるお食事…
なんと!
いなべ産 本格手打ち蕎麦「いなべの里の蕎麦」が『あげきのおひなさん』期間中の土日限定で味わえるのだ!
昼夜の寒暖の差が大きいいなべ市は蕎麦の生産量 三重県一!
日沖市長(四段)をはじめ、100名を越える「素人蕎麦打ち段位者」がいる。
ぜひとも、堪能したい一品である!!!
うどん派にも美味しい朗報が!
『あげきのおひなさん』期間中の3月4日(日)、メイン会場の「ウッドヘッド三重」前にて、
阿下喜祭好会によるうどん&みたらし団子&焼き芋の出店があるという。
カレー派にも嬉しいお知らせ!
旧 阿下喜小学校跡地であり、国登録有形文化財でもある「桐林館」内阿下喜美術室にて、
「フレッシュハーブとさくらポークをふんだんに使用した本気のグリーンカレー」が
お昼のメニューに加えられる。
他にも、旧小学校跡地とあってメニューに揚げたての揚げパン(プレーン、シナモン、きなこ)が
最高に美味しいという噂。
さらには、お子様連れに!!
三岐鉄道北勢線「阿下喜駅」に隣接した「軽便鉄道博物館」が『あげきの
おひなさん』の期間中の2日間(2月18日・3月4日)、開催される。
ミニ電車に乗れたり…
ひたすら足でこぐ軌道自転車に乗れたり…
と、親子で楽しめる乗り物がある。
こうして今でこそ大きな盛り上がりをみせ、
いなべ市の一大イベントとなった『あげきのおひなさん』だが…
はじめはこんなに大きくなるとは思わなかったという。
町おこしのため、北勢町商工会阿下喜支部(現 まちなか発展会)の役員の男性達が
『第1回 あげきのおひなさん』を開催したのが平成17年、その流れで、翌年第2回も開催された。
当時は数十店舗にお雛さんを飾るのみの催しであったという。
そこで、商店街のおかみさん達が集まり、8名で「はなもも会」を結成!
そのきっかけというのも…
ウッドヘッド三重(現 メイン会場)の広い建物に飾られていたのが、折り紙のお雛様がたった2体のみ、これじゃぁあまりにも…
早速、『第3回 あげきのおひなさん』からは「はなもも会」が一念奮起!
ウッドヘッド三重の2階には7段飾りが5つも飾られ、女性達の手が加わったことで会場が華やかに変化し、大正時代のお雛様が入手でき、新聞に掲載されたことがさらなる話題に拍車をかけた。
その後、年を追うごとに、ウッドヘッド三重の2階の壁一面に7段かざりのお雛様が飾られ、
その数が15段と増え、今の22段となったのだそうだ。
22段の雛壇になった頃より『あげきのおひなさん』が定着し、
それと共に、阿下喜商店街の方々より励ましの声をいただけるようになってきた。
阿下喜は商売の町で、昔から男性社会。
一般的に男性社会の中で女性が何かをやろうとするのは、なかなか難しい、しかも十数年前…
最初は批判の声も少なからずあり、苦労も多い中、「はなもも会」のメンバーで全国各地に視察に出掛け、研鑽を積み、アイデアを出し合い、地道な努力を続け、協力し合いながら勢いでここまで続けてこられた。
『あげきのおひなさん』が反響を呼び、多くの方々がいらして下さり、男性の方々、地域の方々の理解と協力を頂けるまでになってきたということが何よりも嬉しいと語る。
『あげきのおひなさん』の参考になるようにと、ご主人がお雛様にまつわるお土産を買って来てくれることもある。
4月以外は一年中休みなしの「はなもも会」の皆さんだが、『あげきのおひなさん』の飾りつけとなると、ご主人がお店を守ってくれているからこそ、昼間も夜間も連日、家を空けることもでき、理解と協力をしてくれている家族に対する感謝の思いが大きいという。
一方で、年々数が多くなるつるし飾りについても、
近所の年配の方々が作って持ってきてくれるまでになった。
そんな『あげきのおひなさん』にも大きな課題が3つある。
ひとつめは後継者づくり。
十数年前に50代で始めた「はなもも会」のメンバーは今では12名に増えたが、全員が60代となった。
これからは、子育てに手が離れた世代の方を呼び込み、今度は自分達がお手伝いに回る立場になり、次の世代を育てていく必要性を感じているそうだ。
ふたつ目は受け入れ体制。
例年、30台程の大型バスで観光客の方々がいらっしゃっていたが、昨年は一気に100台!
しかも、阿下喜の町全体を楽しんでもらうのが目的だが、ツアーのスケジュールによってはメイン会場のみで帰られる団体様もお見えになるという。
三つ目は阿下喜の現状。
『あげきにおひなさん』にはいなべ市内だけでなく、三重県内や県外からなど、多くの方々に足を運んでもらえ、その人気は右肩上がりに上昇を続けてきているのとは反対に、右肩下がりに衰退する阿下喜の町の問題も浮き彫りになってきている。
もともとは町おこしが目的で、阿下喜商店街が潤うようにと始められたもののはずが…
多くのお客様に町歩きをしてもらっても、当の阿下喜商店街は高齢化により閉店してしまい、開店している店舗が数える程しかなくなってしまったのだ。
以上、3つの課題を挙げて頂いた。
笑顔の裏には色んな悩みがありそうだ。
阿下喜では『あげきのおひなさん』以外にも、あじさいまつりや、いなべ市の無形文化財にも指定されている「八幡祭」、阿下喜の町でマルシェが開催される「秋ノ市」など、様々な催しが開催される。
そういった集客が功を奏してか、ここ数年…
廃業した旅館をリノベーションして開業した自然農法の野菜を使った料理が食べられる「上木食堂」
老舗呉服店の軒先で開業したギャラリー&ワークショップ「暮らしのシューレ」
廃校となった小学校跡地にてオープンさせたカフェ「桐林館 阿下喜 美術室」
空き店舗をリノベーションして、作家の作品を展示・販売する「岩田商店 gallery」
などが相次いで阿下喜に若い人達が集える場を作り出している。
無縁の地にもかかわらず、若者たちがこの地に魅力を感じ、
自分達の拠点づくりをスタートさせている。
また…
子ども達に小さな頃から、阿下喜の祭りやイベントに連れて行き、自分達の育った所の良さを肌をもって感じるよう育ててきた。
そうして育った子ども達が、学生時代は名古屋に行っていても、ちゃんと戻ってきて阿下喜の町に住んで、町を盛り上げてくれている。
そう「はなもも会」の会長は語る。
住み続けている人だからこそ見えるもの、他の地から来たからこそ見つかるもの、一旦よその社会を経験したからこそわかること…
地域を超え、世代を超えた人々が集うことにより、開ける可能性を秘めている。
かつては様々な地域から多くの人々が集まって来た阿下喜。
異文化が融合し、老若男女が交流し…
これから、あらたなものが産み出されはじめるのかもしれない…
何はともあれ、今年の『あげきのおひなさん』はますます見逃せない!
開催期間 平成30年2月17日(土)~3月4日(日) 9時~15時半
開催場所 三重県いなべ市北勢町阿下喜地内
メイン会場 ウッドヘッド三重
住所 三重県いなべ市北勢町阿下喜1991
『いなべ産蕎麦』
日時 平成30年2月24日(土)・25日(日)・3月3日(土)・4日(日)
10時~14時半
場所 林商店(稲垣眼科の西隣)
『うどん・みたらし』
日時 平成30年3月4日(日) 10時~15時
場所 ウッドヘッド三重 前
うどん300円 みたらし80円 焼き芋300円
『カレーなど』
イベント開催期間中は毎日営業(11時~18時)
場所 桐林館 阿下喜美術室
住所 三重県いなべ市北勢町阿下喜1980
~~メニュー~~
●あげたてあげぱん
●いなべプリン店のカリカリのプリン
●ラム酒薫る大人のカタラーナ
●洋食屋SAKURAの林檎のガトーショコラ
●フレッシュハーブとさくらポークをふんだんに使った本気のグリーンカレー
●多湖農園の減農薬ミルキークイーンのおにぎり
〇コーヒー 2018ブレンド
〇大人の珈琲牛乳
〇柚子茶
〇ほうじ茶イ
『軽便鉄道博物館』
日時 平成30年2月18日(日)・3月5日(日) 10時~16時
住所 三重県いなべ市北勢町阿下喜 三岐鉄道北勢線「阿下喜駅」隣接
※3月5日(日)は『貨物鉄道博物館』への無料臨時バス運行予定。
『こどもびな』
出演 たのしい能
日時 平成30年3月3日(土)13時半~14時15分
入場無料
場所 桐林館
住所 三重県いなべ市北勢町阿下喜1980
【演目】
一口謡
小鼓
富山県出身。結婚を機に東京へ、名古屋を経て、その後、子どもの小学校入学を機に、三重県いなべ市に落ち着きました。昼寝が趣味!ぐうたら主婦です。得意ジャンル:イベント