私の日常。職場と自宅の往復。
寄り道はスーパー。
今日の晩御飯、寒いし鍋でええかな…えー、また鍋―?って言われそ。
エンドレスな家事と仕事。なんだろう、この毎日の繰り返しは。スーパーで買い物しながら、ふと、そんなふうに思うことがある。浮き沈みのある時は、平穏な日々を求めるのに、身勝手だとは思っています。
そんな時、「クリスマスプレゼントで子供にスケートボードを買ったので(サンタさんがくれたので!)一緒にやらないか?」と友達からL I NEがきた。刺激のある非日常を求めて、スケートパークへ行ってみた。
全国最大規模の面積を誇る、松阪市スケートパーク(松パー)へ
来ました、松パー!綺麗ですごく広い!安全第一で滑ります。
受付でお願いすれば、スタッフの方が一からスケートボードを教えてくれる。じっくり教えて欲しい場合は、月一で開催している有料のスクールがおすすめとのこと。松阪スケートボード協会の鈴村さんにスケートボードの基本を教わった。
中学からスケートボードを始めた鈴村さんは、当時あまり売っていなかったスケートボードの雑誌を、穴が開くほど眺めては、友達と練習していたという。今の子供達は動画などの教材も多く、技ができるようになるのが早いけれど、焦らずゆっくりで良いと鈴村さん。
数年前に息子と私がこのスケートパークに来てから、平坦な場所はなんとなく滑れるようになったのだが、オーリーという技がなかなかできなかったり、コロナ自粛だったりで、次第にスケートボードから離れていってしまった。オーリーとはスケボーの登竜門とも言われる、板と一緒にジャンプする技だ。なぜ板が足にくっついてくるのか、私は不思議でならない。
鈴村さん:オーリーは一日1200回練習な。ひたすらやる!
息子と私:せ、せんにひゃく…
要はスケボー愛と練習量。近道なんてない、黙って練習。オーリーの練習をしていると、体があっという間に熱くなる。初心者エリアから少しだけ、ローカルエリアへと滑っていく。冷たい冬の空気をまとって滑るのが心地良くなってきた。
全国最大規模のこのパークは、初心者エリアの他、バンクと呼ばれる坂やレールなど、様々なセクションが楽しめるローカルエリア、国際大会も開催できる競技エリア、深さ最大2.3mのプールエリアがある。
ローカルエリアには、初心者から上級者までたくさんのスケーターが滑っていて、初心者エリアから出るのは少し緊張する。プールエリアなんて、一度入ったら自力で出れなさそう。
今日が初めてのお父さんと来場3回目になる小学1年生の息子さん。
中学2年生、小学4年生、5歳のお子さんとお母さんで滑っていた立岡さんファミリー。
お母さんのスケートボードはサーフスケートというボードなのだとか。試しに乗らせてもらうと、グネグネして怖かった。
近田さんと田中さん。若い頃からずっとスケートボードを続けている。
どうしてそんなに続けられるんですかと尋ねると、「なんか知らんけど、楽しいんやわ。」と近田さん。
立岡兄弟が息子にスケートボードの技など、気さくに教えてくれた。とにかく老若男女、和気あいあいとしているこのパーク。
パークの外を散歩中の老夫婦が、「子供ら寒いのに、よぉ頑張っとるわ」と感心しながら通り過ぎていく。ネガティブなイメージもあるスケートボードだが、オリンピック競技になりスケートボードのイメージは変わってきていると、鈴村さんが言っていたのを思い出す。
このパークができたことにより、こんなにも大勢の人々が、安心してスケートボードを楽しんでいる。一体、誰がこのパークを作ろうと言い出したのだろう。
官民一体!意見交換に8年かけて完成した、松阪市スケートパーク
スケートパーク建設当初から事業に携わっている、松阪市役所の鈴木さんにパーク誕生のエピソードを伺った。
鈴木さん:平成10年くらいかな、スケートボードの愛好者(鈴村さんや現在の松阪スケートボード協会のメンバー)からスケートパークを作って欲しいという要望があったんです。当時、滑るところがないので公園でスケートボードをしている子達が多く、騒音で近隣住民とトラブルになっていたんですね。スケートボードが理解されにくい時代でした。
鈴木さん:スケートボードがオリンピックの種目になった時、パーク建設に追い風が吹き、市職員と松阪スケートボード協会はパークのレイアウトについて、何度も話し合いを続けました。それが7、8年かかったんですよ。パークを作っている最中にも、多くの愛好者に来てもらって、とにかく1人でも多くの方から、使いやすいかどうか意見を聞いていましたね。
そして平成31年4月に、松阪市スケートパークがオープン。現在では、このパークでスケートボード日本OPENなど多くの大会が開催され、東京オリンピックの時には、カナダのナショナルチームがこのパークで練習していたというのだから、これはもう「世界の松パー」です!
公園で滑っていたスケーター達が声をあげ、長い年月をかけて市職員と作り上げた松阪市スケートパーク。県外からの来場者も含め、初心者から上級者、子供から大人まで、多くの人々に愛されている。
何となく行ってみたパーク、そこは胸アツな場所だった
松阪市スケートパークには、熱い誕生秘話があった。誰もが安心して利用できるパーク、それを維持していくための労力だって想像できる。何事も、ローマは一日にしてならず!時折平凡に感じる私の日常も、自宅と職場の往復も、かかってこいです。
松阪市総合運動公園管理事務所(松阪市山下町111)
Tel 0598-28-6757
https://www.city.matsusaka.mie.jp/soshiki/41/skate.html
読んで頂き、ありがとうございます。三重県松阪市の山間部、70もの橋が架かる香肌峡在住。地元の写真部としても活動しており、香肌峡を旅するように暮らしています。フォトスポットやクセになるディープなお店をご紹介したいです。