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【バイク旅】南三重で自然満喫快適ツーリング

 

バイクに乗るということ

バイクという乗り物は実に不便な乗り物である。
ドライバーの身を常に露出するため車以上に危険であるし、雨が降ればずぶ濡れになるし、ちょっとでも気を抜けば転倒してしまうし、リアキャリアやサイドバッグをつけた重装備でなければ積載も心もとない。バイクに全く興味がない人からすれば何故そんなものに乗りたがるのか到底理解することが出来ない、まったくもって不便な乗り物である。

しかしながら、ひとたびライダーになってしまえばその不便さが代え難い魅力となる。
人によってその魅力の感じ方は様々であるが、私はバイクの魅力とは「旅をしている」ことを実感できる点だと考える。
車との大きな違いはそこであり、同じ遠出でも車では「ドライブ(Drive)」となりバイクでは「ツーリング(Touring)」と区別され、バイクは「旅」を意味する「Tour」が語源となっている由縁もそこにあると、バイク歴1年ながら生意気にも乗るたびに実感しているのだ。

そんなバイクでツーリングをするにあたって重要なポイントになることは「ルート上の道が走りやすい道であるか」ということだ。
数人のバイク仲間にも聞いてみたが、どこを目的地とするかの決め手は、そこに至るまでの道が走りやすいかどうか、であるという。
具体的には…

・交通量が少ない
・信号が少ない
・見晴らしが良い、いろんな景色が観ながら走れる
・道幅広く整備されている
・適度にカーブがあり、走ってて楽しいと感じられる

といった条件を満たす道が走りやすいと言える道だそうだ。
これらすべてを見事に満たす道が果たしてあるのだろうか。
ライダーになってつい最近くらいまでの間、バイクに乗ることに対してどこか恐怖心を拭えていなかったためか、バイク購入後も近所の榊原温泉や四日市のバイクショップに行くときくらいしか乗っていなかったため、そのような道などあるはずないと勝手に思い込んでいた。
幸いなことに、これが井の中の蛙状態であることを南三重は教えてくれた。

そう、すべてを満たす道が、南三重にあったのだ。

南三重のライダープロジェクト

今回走ったツーリングルートを紹介する前に、まずこちらを紹介したい。
三重県では、ライダーに向けた「南三重 したみち よりみち バイク旅」というプロジェクトを立ち上げており、三重県南部8市町でバイクツーリングのために地域の魅力を発信している。

【プロジェクト参加市町】
玉城町  南伊勢町  度会町
大紀町  紀宝町   紀北町
御浜町  熊野市

各年度ごとに上記市町ごとのオススメのツーリングルート、観光地やグルメ情報といった地域の魅力を凝縮したツーリングガイドもフリーペーパーとして配布しているので、ぜひ手に取ってご覧になっていただきたい。バイカー必須の「ツーリングマップル」と組み合わせてルートを考えるのも良いだろう。
(配布場所は公式サイト(http://minamimie-bike.jp/#touring-guide)に記載)

各地域ごとのグルメ・観光情報が非常に細かく記載されており、南三重のツーリングではぜひとも持っていきたい一冊だ。

 

ツーリングルート紹介:玉城I.C.〜県道22号

では、ツーリングに対して消極的であった小心者ライダーをツーリングの虜にした南三重のツーリングルートを紹介しよう。
自宅が津市にあるため、伊勢自動車道の津I.C.から玉城I.C.まで進んだところから始めたい。

相棒のバイクはホンダ シャドウ400というクルーザータイプ。中型の癖に大型並の図体なので取り回しは大変だがそこが良い。

伊勢自動車道の玉城I.C.を降りると伊勢市街方面と南伊勢町方面へ道がT字に別れ、南方を目指し道を進むとさらに道が2つに別れて続く。

一つは県道169号。
通称「サニーロード」と呼ばれ、しっかりと整備された道と意外にアップダウンとカーブがありながらも「快走路」として県下でも有名な道である。
このアップダウンのある道は走ってて非常に面白く、長い直線路が高低差によって独特の景観となる様はサニーロードならではの楽しみだろう。道幅もほどよく広く、初心者にも走りやすい!と感じることの出来る道だ。

もう一つは県道22号で、こちらは通称はない。
今回の取材で走ったのはこちらのルートであるが、交通量がサニーロードに比べて少ないこと、そして一ノ瀬川を横に見ながらノンストップで走れる道であるため個人的にはこちらの道の方をオススメしたい。川が側を流れているだけでこんなにもワクワクしながら走れるのか、と自分でも驚いてしまったのは記憶に新しい。
道幅や整備状況はサニーロードに比べて若干劣るが、何より週末の午前・午後に走っても前後に車がほとんどおらずマイペースで走ることが出来るのが素晴らしい。

どちらの道も途中休憩する場所がなかなかないため、玉城I.C.までノンストップで走ってきたライダーは降りたすぐ近くにあるコンビニで休憩してから行くと良いだろう。

また、このサニーロードと県道22号の間には三重県のライダーにはお馴染みの「宮リバー度会パーク」がある。
ここは南三重のバイクの聖地とも言える場所であり、2016年・2017年秋に前述の「南三重 したみち よりみち バイク旅」が主催したバイクフェスティバルが開催されている。
プロジェクトに参加している8市町のご当地グルメが味わえる屋台が多数出店される他、バイク系企業のブースもあるのでぜひ一度訪れて欲しい。
2017年の開催では全国から3700人ものライダーが集まったというのだから驚きである。
去年の秋に私も行ってみたが、様々なバイク・ライダーが広大な敷地に集まる様は圧巻である。

写真は2017年にフェスに参加したときのもの。全国の個性あふれるバイクが集う。
会場には8市町の地元グルメ(B級も!)やフリーペーパーも無料で配布されている。

 

「南三重 したみち よりみち バイク旅フェスティバル」は2018年も開催されるので、開催情報は以下に記載するが、ぜひ公式サイト(http://minamimie-bike.jp/bikefes)をチェックして参加していただき、南三重の魅力をたくさん味わってほしい。

<フェスティバル情報>
開催日  2018年11月17日(土)
開催時間 9:30〜14:00
開催場所 宮リバー度会パーク
三重県度会郡度会町大野木1260

 

ツーリングルート紹介:国道260号

県道22号を進むと、いよいよ南伊勢町、そして国道260号だ。
この国道260号、志摩市から紀北町を通る全長約120Kmの国道と紹介すればただの国道ではないかと思われるだろうが、この道を走ったことでツーリングの楽しさを知ったという事実もある。
「日本の道100選」に選ばれているだけあり、海岸線を見ながらゆったりと走れる快走路だ。

しかし、国道260号の魅力はただ海側を走れるからだけではない。
前述の「走りやすい道」の条件を満たすのがまさにこの道なのである。
国道であるにも関わらず驚くほど車が少なく、とにかくマイペースに走れる交通量、悪路なく広い道幅で悠々と走れる整備された道、海だけではなくゆったりとしたカーブが続く山間部や数キロも続く長いトンネルと走るごとにその様相を変える景観と、とにかく走っていて心地良いのだ。
ライダー仲間も「国道260号は良い」という人が多いのも頷ける。

南三重といえば海を連想する人も多いだろう。
現にリアス海岸が作る独特の海岸線は国道260号を少し外れたところに点在する展望台から見ると素晴らしく壮観である。
今回のツーリングではその中の一つ鵜倉園地内の「見江島展望台」を紹介したい。
「ハートの入り江」で有名なここは2015年5月に恋人の聖地にも認定され、カップルで町内の商店で「愛鍵」を買って行けばステキなひと時を過ごせるだろう。
(残念ながらソロツーリングのため恋人の聖地を満喫することは出来なかったが)

 

ハート型の入り江は展望台からすぐ見える。恋人と見れば愛も深まるかもしれない。
展望台の中にはカップル向けのオブジェもある。この鐘も恋人同士で鳴らせば愛も深まるだろう。
町内の商店で買える「愛鍵」がかけられる場所もある。恋人同士で名前を書いてかければ愛も深まるだろう。

見江島展望台に向かう際に注意したいのが、高地へ向かう際の道幅が非常に狭く、また急なカーブが続く道のところどころに苔むした箇所もあるのでスリップしないように運転したい。
今回のツーリングで行った際も、前日が台風だったせいか多数の木の枝が落ちており何度も後輪をすべらせてしまった。
また、駐車スペースも車が数台おける程しかないため、運転に自信のないライダーは諦めて登山道で行くのも手だ。
(運転に自信のないわたしが行けたから大丈夫かもしれないが)

 

しかし、前述したとおりリアス海岸が作り出す独特の海岸線は高地から見ると圧巻であるため、ぜひとも訪れてほしい観光スポットである。
ちなみに先に愛車のバイクを紹介させていただいた写真は見江島展望台のすぐそばにある「あけぼの展望台」の駐車スペースから撮ったもの。
展望台に向かう途中でもいくつか開けた場所があるので、高地からの眺めを背景に愛車を撮れるので、撮影スポットとしてもオススメしたい。

ツーリングルート紹介:国道42号

国道260号をそのまま西に進むと「道の駅 紀伊長島マンボウ」を休憩地に選ぶライダーも多いだろう。駐車場にも車と同数かそれ以上のバイクが駐車されており、店内で販売されている海の幸を味わいながらバイクツーリング談義に花を咲かせている。

道の駅の敷地内では変わった海の幸の串焼きが売られている。まんぼうの唐揚げは美味だった。

ちなみに、「南三重 したみち よりみち バイク旅」では南三重のツーリングスポットにスマートフォンの位置情報サービスを使用したスタンプラリーも開催しており、ここ紀伊長島マンボウもスタンプスポットとして登録されている。
南三重のツーリングルートを3ルートに分け、いくつルートを制覇(スポットでスタンプを押す)ことが出来たかで特製ステッカーや8市町の特産品セットなどのプレゼントに応募できるので、南三重をツーリングする際はぜひチャレンジいただきたい。

スタンプラリーの詳しい情報は公式サイト(http://minamimie-bike.jp/stamp-rally)より。

道の駅 紀伊長島マンボウで海の幸を堪能して忘れずにスタンプを押したら、いよいよ目の前を走る国道42号を熊野方面に南下する旅へ出発だ。
なお、国道のすぐ横を紀勢自動車道が走っているが、今回は利用せずにひたすらしたみちを進むこととする。熊野市にたどり着くまでの紀北町〜尾鷲市まではゆるやかなカーブの続く山道であるが、尾鷲市に入れば市街地に入るのでコンビニやガソリン補給をする際はここに立ち寄るのも良いだろう。

熊野市に入ったら国道42号は一気に海の側を走る景観に変わる。
熊野灘を横目に直線をゆるやかに走れるこの道はライダーにとっても人気のコースだ。
なにより国道42号には見所がたくさんある。
熊野市といえばまず世界遺産「熊野古道」が名所として思い浮かぶが、それだけではないのだ。
世界遺産として有名な海食洞・鬼ヶ城。
熊野灘に向かって吠える獅子の形をした、同じく世界遺産の獅子岩。
全長約25km、「日本の白砂青松百選」「21世紀に残したい日本の自然百選」「日本の渚百選」「日本の名松百選」に選ばれており、アカウミガメの産卵地としても知られているこれも世界遺産の七里御浜(ちなみに一里=3.9kmなので「七里」とされている)
「神々が眠る日本最古の地」として有名な、これもまた世界遺産の花の窟。

世界遺産が数多く同時に見られる国道というのも、全国的に見ても非常に珍しいのではないか。

今回のツーリングでは世界遺産としてすでに有名なスポットの紹介は省くが、まだ訪れたことがなく、時間に余裕があるなら是非ルートとして組み入れてもらいたい。
なお、国道42号は和歌山県まで続く主要道路であるため、交通量はそれなりにある。
特に県境である熊野川を渡る紀宝バイパスは大小様々な車が利用するため渋滞となることもあるので注意が必要だ。

熊野川を渡る紀宝バイパス。川の向こう側が熊野市だ。(和歌山県側から撮影)

余談ではあるが、海を眺めながらの快適ツーリングをしたい場合は和歌山県との県境からUターンして、熊野街道を北上するルートをオススメする。
和歌山県側が高地にあるためか、北上ルートでは海を見下ろすような道が多く、走っていて何度も「おお」と声を上げてしまう箇所がところどころにあった。

北上ルートだと防風林も見えずに、道の先にすぐ海が見えるような景観が続く。

また、北上ルートの方が途中にある道の駅にも行きやすいのでオススメである。
特に前述のスタンプラリースポットである「パーク七里御浜」もあるので、休憩とスタンプを押すためにも立ち寄っていきたいところだ。
和歌山県のすぐ側ということもあって、みかんを主とした特産品を数多く取り揃えているし、展望テラスもあるので海を眺めながら食事するのも良いだろう。

道の駅の中には「ライダー歓迎!」とある。是非とも立ち寄ろう。

 

スタンプラリーも忘れずに!

今回のツーリングでは南三重、その中でも玉城町から三重県最南端の紀宝町まで走ってきたが、とにかく走りやすい道が続く前半(県道22号〜国道260号)に、海の側を風を感じながら走れる後半(国道42号)と、自然を満喫しながらの快適ツーリングを楽しめるルートであった。
一通りの道を走ってみれば、なるほど南三重でバイク事業が展開されていることも納得のいくところだ。

取材ではツーリングルートを実際に走った感想を主に書かせてもらったが、観光スポットやグルメ情報については是非とも先に紹介した「南三重 したみち よりみち バイク旅」のツーリングガイドを活用してもらいたい。

また、11月に開催予定のバイクフェスティバルも、バイクイベントとしては全国有数の規模を誇るものなので、こちらも是非とも参加いただきたいところだ。

車でのドライブでは味わえない、バイクならではの感覚。
バイクに興味があってバイク購入を悩んでいる方がいれば、こんなにも楽しいツーリングが待っていることをお伝えしておこう。
そういうわたしも、三重に来てからバイクの免許を取った人間である。
バイクに乗りたての頃は色々不安があって遠出は避けていたが、いまではバイクに乗るために「とりあえず南三重のどこに行こうか?」とルートを悩む日々が続いているのだ。

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