こんにちは!津市に勤める会社員のcannyです。
だんだん冬も近づいて参りましたが、皆さん、普段お寺に行くことはありますか?
お盆などの節目や観光地として行くことはあっても、暮らしのなかでお寺に行く機会ってなかなかないな、そもそもお寺のなかに入るのは少し敷居が高いな…という方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんなお寺で「ゆったり寺ヨガ」を体験できるということで、津駅東口から車で約7分、津市中河原にある“真宗高田派乙部山 潮音寺”へ行って参りました。
しとしとと降る雨のなか、潮音寺に到着。
入り口には“ゆったり寺ヨガ”の看板が!
私の他にもヨガマットを持った人が何人か潮音寺に入っていきます。
歩みを進めると…
立派な本堂!
ここ、潮音寺の本堂がヨガの会場です。
今回の参加者は13名。初参加の方も多く、なんと過去最多人数とのこと。
友達からの紹介や、ヨガをやってみたくて検索したところ潮音寺の寺ヨガに辿り着いたという方など。津市内や鈴鹿市と三重県各地からいらっしゃっているようです。
早速ヨガマットを畳に敷いて、1時間の“ゆったり寺ヨガ”スタート!
お寺の空気に癒されながら、ゆったり身体と向き合う時間
ヨガを教えてくれるのは、ヨガインストラクターの荒木裕子先生。
とても気さくな先生で、フィットネススタジオやヨガスタジオ、地域の集会所など幅広いフィールドでご活躍されています。
裕子先生:「この1時間は、普段身に染み付いている身体の癖や考え方の癖、自分自身と向き合う時間なので、ヨガのポーズはおまけのようなものです(笑)お寺の空気を感じながら、自分の呼吸や体に集中してみてくださいね。」
なるほど、運動が苦手な私もついていけそう…!
早速あぐらをかいて、ウォーミングアップ!
「鼻から息を吸って、吐いて…」
あれっ?深く呼吸をすると骨盤のあたりがこんなに動くものなのか…普段は息が浅いのかな?
「次は足の指の親指だけ立てて、さらに小指だけ立てて…」
ん?自分の体なのに、小指単体では動いてくれない…
「右膝を曲げて、右足で床を押して…」
あっ膝裏の筋が伸びて気持ちいい!!
さらに“呼吸”に意識を向けていきます。
息を吸って、吐いて、吐きながら身体を少しずつ捻っていく。
捻ってできた空間に、胸いっぱい息を吸って、身体の新しいスペースを広げていく。
これは実際に体験してみて感じたのですが、普段知らず知らずのうちに縮こまった身体を緩めて、空気を取り入れてあげると、身体の内側が広がり、自然と気持ちにも余裕が生まれるようです。
雨の音に耳を澄ませながら、ゆったりと体を動かすこと1時間。
最後に仰向けになって全身を休める時間があるのですが、お寺のお香のかおり、澄んだ空気、畳の柔らかさがポカポカ温まった体に心地よく、気付けば眠っていました(笑)
すっかり頭も体もすっきりしたところで、こちらの寺ヨガを主催している、潮音寺の村上住職とヨガを教えて下さった荒木裕子先生にお話をうかがいました。
お寺の空気がガラッと変わった
ゆったり寺ヨガを始めるきっかけとなったのは2015年、「寺ヨガ」を行っている愛知県のお寺を村上住職が訪れたこと。
「お寺主催のイベントといえば、参加者はご年配の方が中心かな」と、様子を伺っていたところ、ヨガ開催の時間になり村上住職が目にしたのは、次々とやって来る若者たちの姿でした。
当時の潮音寺では、お寺に色んな人、特に若者が集まってくるなんて信じられない光景。
衝撃を受けた村上住職は、「潮音寺でも寺ヨガをやってみたい」と動き始めました。
早速、寺ヨガの運営を手掛ける「まちのお寺の学校」からヨガインストラクター荒木裕子先生の紹介を受け、“ゆったり寺ヨガ”を潮音寺で始めたのが2015年の12月。
「愛知県の寺ヨガは、都会だから人が集まるのかもしれない。本当にこのお寺に人が来るのだろうか…」
開催初日、そんな不安を抱きながら、冬の潮音寺本堂で村上住職と裕子先生は参加者を待ったそう。
すると、「寺ヨガはここでいいですか?」と人が訪れ始め、初回は4名の参加者が集まりました。
それ以降、寺ヨガは毎月第1.第3土曜日に潮音寺本堂を解放して行なわれ、年齢性別問わずさまざまな方がヨガを楽しんでいます。
天気の良い日は本堂の戸を外し、青い空、一面に広がる田んぼのなか、風を感じながらヨガを楽しめるそうです。
「2年前のあの時は、ストーブ焚いてドキドキしながら待ちましたよね!」と笑う村上住職と裕子先生。
村上住職:「以前ならお寺に色んな人が来てくれるようになるなんて信じられないことで。本当にここ2年で空気がガラッと変わりました。ヨガマット持ってこの場所に人が集まってくる光景が“日常”になりましたからね。」と、とても嬉しそうな村上住職。
初回から続けて参加している常連さんのお二人は「もうやめられないよね。やめてしまうと体が痛くなる(笑)」「終わったあとのスッキリ感が全然違いますよね!あと先生の人柄!」とお話してくださり、皆さん和気あいあいと楽しそうです。
頭の中はずっと考えている
それにしても、ヨガをしてからなんだか晴れ晴れした気持ち。これもヨガの効果なのでしょうか。
裕子先生:「普段、頭の中って考えてばかりで、ずっと思考が働いているんです。ヨガで呼吸や体に集中すると、余分なことを考えないので、今までの頭のなかのごちゃごちゃが絞られてくる。なのでヨガのあとのスッキリ感は、体だけじゃなく頭もちがってきますね。」
常連さん:「ヨガ中も考えてますけどね、あと30分あるからまだハードなポーズが来そうとか(笑)」
なるほど、常連さんにもなると、そんな予感も働くのですね!(笑)
気づけばあれこれと考えてしまう頭も、すっかりリフレッシュ!日常と少し離れた場所でするヨガっていいな…!
日々をどうやって快適に幸せに過ごせるか
ところで、寺ヨガの冒頭でポーズは出来なくても大丈夫とお伺いしましたが、その真相は?
裕子先生:「ヨガに求められるのは、“日々をどうやって快適に、幸せに過ごせるか”なので、難しいポーズを取れなくても大丈夫。今の自分の状態を知って、体に合ったことができればOKです。
あとは、普段の暮らしのなかで、“今、体がギュッとこわばっているな”と気づいたら動かしてあげる。“息が浅いな”と気づいたら、あっ!呼吸しようと一息つく。
普通に暮らすなかで気づいていくことがヨガなので、アクロバティックな動きができなくても大丈夫!(笑)だから誰にでもできるんです。」
なるほど!ポーズを取ることよりも、今の身体の状態に気づくことそのものがヨガなのですね。
普段仕事でパソコン作業が続いていると、指先だけ動かして身体は省エネモード。気づけば呼吸を忘れていること、結構あります。
そんな時は、ちょっと背筋を伸ばして深呼吸してみようっと!
これからどんなことができるのか、どんな場所になっていくのか
さらに、寺ヨガのスタートがきっかけとなって、様々なイベントが潮音寺で開かれるようになったそう。
村上住職:「Facebookやインターネットで、寺ヨガをはじめとする潮音寺主催のイベント情報を発信し始めたところ、“こんなことを潮音寺でやってみたい”という問い合わせがあちこちから寄せられるようになりました!」
イベントの内容は、「赤ちゃんとお母さんでできるヨガをやりたい」「クリスタルボウルの演奏会を潮音寺で開きたい」「終活メイク・就活メイク講座を開催してみたい」など。
これまで繋がりのなかった新しい分野と潮音寺とのコラボレーションが実現しています。
村上住職:「ここでメイクアップ講座をする日が来るなんて考えもしなかったですね(笑)ずっと住んでいるから気づかなかったけれど、このお寺っていい場所なんだなと改めて思いました。
色んな人が集まってコラボできる場所になってきたのが嬉しいですね。
“場所を開くと色んな人が来てくれる。場を作れば鍛えられる。”という師匠からの言葉は本当にそのとおりで、外から来た人が色んなことを潮音寺でしてくれて、日々勉強になっています。」
これから潮音寺でどんなことができるのか、どんな場所になっていくのかが楽しみとお話してくださった村上住職。
お寺という少し特別な空間でありながらも、地域に開かれた居心地のよい場所。色んな人が集まって色んなことを楽しめる場所。
そんな身近な町のお寺、潮音寺のこれからに注目です!
*取材プラスα
後日、10月4日の中秋の名月の日に開かれた「潮音寺 キャンドルヨガ&お団子と絵解き説法」に参加させて頂きました。
その時に、村上住職がキャンドルを灯しながらご挨拶された言葉が印象に残っています。
「ろうそくの火は、一つのろうそくから他のろうそくへと分けてもなくならない。幸せもそれと同じで、誰かに分けても減るものではなく、ずっとそこにあるものとされています。」
キャンドルヨガからの帰り道、このお寺で過ごす時間は、その言葉を形にしたようなものだな、と思いました。
身体も心も喜ぶヨガを教えてもらったり、皆で満月を眺めて面白いお話を聞かせてもらったり、参加者の方から嬉しい柿のおすそ分けをもらったり。
潮音寺で過ごす時間は、誰かに分けてもなくならないハッピーなものが詰まっていました。
今後も寺ヨガをはじめ、色んな人が、好きなことや面白いことをここに集う人と分け合える、地域の居場所になっていくのが楽しみです。
また行きたいなあ!
潮音寺
住所:〒514-0118 三重県津市中河原554
〈アクセス〉
車:伊勢自動車道 津インターより約13分
公共交通機関:近鉄津駅東口よりバスで「万町」まで乗車約3分、下車徒歩約10分
ゆったり寺ヨガ
毎月第1.第3土曜日 15:00~16:00(予約不要)
参加費:1,500円、ヨガマットレンタル:300円
名張市出身。ずっと暮らしてきた町にこんな景色があったとは!!と、赤目四十八滝に魅了され、滝を案内できるよう、現在見習い中です。山、川、夕焼け、旅先でマンホールを見つけることが好きです。路線バス好き女子 得意ジャンル:名張・伊賀エリア、滝、防災、路線バス