神様、仏様。
“祈りや願い” なんて口にしていたら、笑われてしまいそうな現代。
しかし、この国に生まれ育った私には、その概念が根付いている。
日本にはどの地域にも、神社、寺、地蔵がビッシリ存在する。
地方に暮らしていると、特に私は田園地域に暮らしているので、他に建物が少ないせいかその存在感が強くなる。
今回は、日本を代表する磨崖仏(岩に彫られた仏や菩薩)、三重県津市芸濃町にある石山観音を訪れた。
石山観音があるのは、関ドライブインからクルマで10分ほど走った、山林だ。
石山観音には40体ほどの磨崖仏が存在する。
入口正面に地蔵菩薩立像。
室町時代初期に彫られたらしい。
穏やかに微笑むような表情。
少し歩くと、沢山の磨崖仏が存在することに驚く。
頂上からは伊勢湾を一望できる。
馬の背と呼ばれている巨岩。
巨岩に彫られている磨崖仏。神秘的ですらある。
歩く。
大きな阿弥陀如来立像に驚く。3.5mにも達する巨像だ。
また台座を合わせると5m超える、鎌倉末期に彫られた阿弥陀如来立像もあるという。
入口に戻ってきた時には、日が暮れ始めていた。
古くより、何かを祈り、願ってきた人間。
科学的根拠ではなく、信念を頼りにしていた人間。
常に祈り、願い続けることで、ココロの平安が保たれていたのだろう。
経済成長が壁に当たり、昔のようにモノやお金ではない価値を求め出してきた世代。
磨崖仏はジタバタと生きる私を、優しい微笑みで見守ってくれているような気がした。
pray. 祈り願うココロを取り戻せたならば。
何かを新たに創り出すのではなく、すでにそこにある価値に気が付くこと。
経済力より強い力が、日本には存在していたこと。
そしてその力は、個々の身体に宿る、大切なところに作用するということ。
石山観音
三重県津市芸濃町楠原
村山祐介。OTONAMIE代表。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩と自転車。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事