ホーム 00Otona Act 地域課題 ちいきをあかるく!リモートワークの “いま” と “みらい”

ちいきをあかるく!リモートワークの “いま” と “みらい”

リモートワークやテレワーク。
最近よく耳にする、なんだかかっこいい言葉。
パソコンやチャットツールをパキパキと使いこなし、WEBミーティングをこなす。
地域で充実した仕事と暮らしを愉しむ人々。
私見で恐縮だが、リモートワークという言葉に私はそんなイメージを持っていた。

今回、そんな業態を実践しているフリーランスや起業家などの先進的リモートワーカーが登壇するイベントが、名古屋市の名城大学で行われた。今回のリモートワークとは、パソコンを使ってバックオフィス業務(秘書、広報、事務、経理)などを遠隔地で行う業態を示す。

「実際にリモートワークをやってみて、時給に換算にしてみたら時給100円しかない!これだったらパートに出てる方がいいじゃないって・・」
ひとりの参加者の発言だ。
登壇者のなかには時給3,000円を超える人もいる。
なぜ、このような差ができてしまうのだろう?

働き方改革が叫ばれ、総務省も推進するリモートワーク(テレワーク)。
時代を追い風に走り出したリモートワークだが、その現場では模索や葛藤が続き、ようやく成功事例が出はじめた段階のようだ。

イベントは登壇者による事例発表に続いてクロストーク、参加者とのワークショップなど、中身の濃い約4時間であった。

 

ただ単に、パソコンの入力代行と思われている場合もあります。

なぜ時給100円ということになってしまうのか。
それは、リモートワーカーと契約する企業側が、まだリモートワークの実態を理解していない場合があるという。

登壇者:福田ミキさん。金融にてマネージメントに従事するなか業務をソリューションする面白さにはまる。三重にパートナーの転勤で移住。クワブロー代表。OTONAMIE副代表。

ミキさん:ただ単にパソコンの入力代行と思われている場合もあります。違いは、業務改善の視点です。事務作業は外注したら無くなるというわけではありません。ワーカーもクライアントも互いに努力し、業務に関わっている時間を減らしていく意識が重要だと感じています。

登壇者の中には、リモートワークで生計を立てている人もいる。
では、リモートワーカーにどんな仕事をお願いすればいいのだろうか。

たとえば企業の場合で考えてみたい。
単に入力代行や事務処理代行としてお願いすることもできるが、登壇者は業務改善まで手がけるという。
例)
・1〜10まである業務フローを1〜7までに短縮し、確保した余白で組織の推進力を高める。
・一年に一回行われるアカデミック系のカンファレンスの運営事務局の仕事を、まるっと通年で請け負う。
・大きなイベントの事務局を請け負う。
・スタートアップの企業の単なる秘書業務だけでなく、伴走者として事業拡大を手伝う。

請け負う仕事の形態も料金形態も様々だ。
例)
・単発の仕事の場合は時給3,000円〜。
・業務を削減するのが目標なので時給という観点ではない。
・継続事業の場合は年間予算を計上する。
・スタートアップなどの場合は実際に事業を一緒に走らせ、利益からパーセンテージでフィーを受け取る。

熱心にメモをとる参加者

登壇者は、それぞれに試行錯誤しながら独自のスタイルを築きあげてきた。
今回、感じたことがある。

業務改善を提案することは仕事そのものをデザインする謂わばクリエイティブな役割だ。また、社長とのやりとりからアイデアやアドバイスを行うことは、コンサルティングや社外取締役のような仕事となる。
つまり、そのような役割などもリモートで行えた場合、クライアントの理解と評価もあって時給100円ではなく時給3,000円の価値を生み出す。

 

ポケット秘書

たとえばお客さんとの打合せでとあるカフェへ。
担当者と副担当者や秘書が同席できればいいが、なかなかスケジュールを合わせるのが大変だったりする。
その場合、あとで情報を共有するために議事録的なものの作成など業務が増える。
ならばスマホからWEB会議ツールを使って打合せに参加すればいい。
同じ会社で机を付き合わせているより、リモートの方が話が早い場合もある。
それをポケット秘書と登壇者はいう。

登壇者:長谷川萌子さん。和歌山市に生まれ。大学卒業後、会社員となるが「限られた人生。自分は誰のために時間をつかっているのだろう?」と疑問をもつようになる。社会のために活動・挑戦する方々を応援する、事務サポートチーム「オフィスミモザ合同会社」代表社員。

また “リモートワーカーに仕事の楽しみを見つけてもらいたい” という次のステップへと進んでいる登壇者、萌子さんの言葉が印象的だった。

萌子さん:結婚をして仕事から離れていた知り合いに、リモートワークを紹介したんです。そしたらとても喜んでくれて。その人自身がリモートワークの “楽しい” を発見してくれたんです。それを聞いてからジワジワと込み上げてくるものがあって、泣きそうになりました。だからこれからはリモートワークの実務に関われる人を増やしたいです。

萌子さんは、子育てをしながらひとりで模索し築き上げたリモートワークが、まさか今回のイベントのように日の目を見ることなど、想像すらしていなかったので「素直に嬉しい」と感想を述べた。

 

働き方ではなく、生き方。

リモートワークと聞くとどうしてもパソコン、インターネット、チャットツールなど先端技術を駆使した働き方に目が行きがちだ。
しかし、彼女たちの話を聞いていると、働き方より今後の可能性、さらには生き方に興味が湧いた。

「うーん」と悩みながらも丁寧に回答する登壇者。

リモートワークの仕事で実績を積むことは、様々な企業と付き合い、これからの時代に必要なノウハウを蓄積することになる。ノウハウはそれ自体が価値となる。
独自のスキルで築き上げた経験を元に、バックオフィス業務からフロント業務として営業活動などを行えば、リモートワークのファームのような会社や団体ができ、経験者だからこそリモートワーカーを目指す人を育てることもできる。新たなリモートワーカーの得意分野に磨きをかけることで、時給100円ではなく正当な対価を支払うこともできる。
そしてファーム自体もオフィスを構えずにリモートで繋がるなら、その可能性は無限大に広がる。
そんな彼女たちは、どんな未来を描いているのだろうか?

登壇者:前田智子さん。地元福井県の大学を卒業後、大阪府へ。大林組で総務・人事・役員秘書業務に従事。結婚を機に三重県へ。東京の企業のバックオフィスに従事。OTONAMIE広報担当。

智子さん:福井出身、大阪で働き、今は三重在住なので福井、大阪、三重の三地域居住をしながらリモートワークをしたいです。

登壇者:元木ひとみさん(ひとみんさん)。大学卒業後、岐阜県のケーブルテレビ局にて番組制作業務に従事。結婚を機にバックオフィス業務に従事。

ひとみんさん:夫とシンガポールで暮らしたい!(笑)。リモートワークはどこにいてもできる仕事ですから。

登壇者:生駒郁代さん(いくぴーさん)。大学卒業後、メーカーにて10年ほど貿易事務業務に従事。現在は古着屋とバックオフィス業務も行う二児の母。

大ナゴヤ大学がおこなっていた大型マルシェ、SOCIAL TOWER MARKETではリモートワークで事務局を担当していたいくぴーさん。

いくぴーさん:リモートワークとまちづくりの相性はいいと思います。今はFukumochi vintageという地域に関係する古着屋をしているのですが、仕事だけじゃなく地域の人が助け合えるような仕組みを作りたいです。

笑いも起きるクロストーク。

走り出した彼女たちの未来は明るい。

 

とにかくやってみよう!

今回登壇したひとみんさんは、パソコンやバックオフィスもあまり詳しくなく「リモートワークってなに?」から始めたひとりだ。

ひとみんさん:でもやってみたら何とかなるものです。最初はパソコンのカーソルがクルクルまわっりぱなし、メールからは急ぎの業務依頼・・。そんな状況でもひとりでリモートワークをしていて、さみしいので観葉植物を買いました。普通は成長が遅い植物を買ったのですが、あまりにも私が話しかけるもので、3倍くらい早く成長しました。愛情を注ぐって大切ですね(笑)。リモートワークに興味がある人には、とにかくやってみることを推進しています。

左:加藤慎康さん。右:坂本大祐さん。

今回のイベントを企画、運営をした二人にもお話をうかがった。
まずは発案者の大祐さん
奈良県東吉野村で、コワーキングスペースOfficeCamp東吉野を運営している。

大祐さん:今回登壇してもらったリモートワーカーたちと少し前に知り合いました。これは何かおもしろいことが起きているぞと。地域こそ、こういった働き方が必要だと思っていました。そしてリモートワーカーの繋がりが作れたらと思い、飲み会の席で慎康さんに相談したら、トントン拍子で今回のイベント開催となりました。10人くらい集まったらいいかな、とにかくやってみよう!と蓋を開けたら予想以上の参加者数に驚いています。

共同企画、運営者である慎康さん
慎康さんは「先生は、まちの人。生徒も、まちの人」がコンセプトで、学びの場をつくりまちを楽しくしていくNPO法人大ナゴヤ大学の初代学長であり、現在は美濃加茂市のまちづくりコーディネーター木曽三川電力みのかもの代表取締役も務める。
二人は様々なメディアにも登場する、地域の第一線を走る地域イノベーターだ。

慎康さん:今回のイベントでいろんな共感が生まれていました。このイベントが今後、何らかのプラットフォームになればいいなと思います。人の顔が見える。その人が暮らす町が好きになる。実際に行ってみる。そんな展開になればと思います。

ワークショップで登壇者と語る参加者。
長野県根羽村という人口約900人の村に移住し、移住コーディネーターをしている参加者。
リモートワーカーを探しにきた参加者。
ワークショップでは様々な意見交換や解決案が模索された。

 

人口が激減する日本の未来。
しかし、そんな時代がやってくるからこそ楽しくつながる。

地方創生も働き方改革も、きっと彼ら彼女らのような目を輝かせている人がつながり、リモートワークなどで企業もつながれば地域の未来は明るくなるのでは、と思えたイベントだった。

次回は三重県の小さな漁村にあるゲストハウスで、1泊2日の合宿も予定されている。時期は今年の夏頃。
でも、なぜ漁村?

大祐さん:夏は海がみたいじゃないですか(笑)。

そう、この勢いとノリがいいなと思うわけです。

幽霊ポーズ!?ではなく、リモートワークだけにパソコン入力風ポーズ。

ぜひ、ご興味のある方は参加してみてはいかがだろうか。

 


 

▼今回登壇したリモートワーカーへのお仕事依頼やお問い合わせ

福田ミキさん、前田智子さんへの問い合わせ
Mail tamiki0310@gmail.com
HP https://b-l.jp/2F/

生駒郁代さん(いくぴー)への問い合わせ
Mail allonsikuyo@gmail.com

長谷川萌子さんへの問い合わせ
Mail support@office-mms.jp
HP http://office-mms.jp

 

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