ホーム 02【遊びに行く】 [鳥羽ラッコストーリー#2]貝はおいしい食べ物か?いや、他にもいろいろ使えます。ラッコと貝のエトセトラ。

[鳥羽ラッコストーリー#2]貝はおいしい食べ物か?いや、他にもいろいろ使えます。ラッコと貝のエトセトラ。

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鳥羽水族館はラッコの聖地。

1980年代にラッコブームに火を付けた鳥羽水族館。

今、日本に10頭しかいないラッコのうち2頭が暮らす鳥羽水族館。

 

今回も、鳥羽水族館で暮らすメイとロイズの暮らしを通して、

ラッコの世界を少し深めに覗いてみます。

【これまでのラッコのお話はこちら】

知ってる?鳥羽水族館はラッコの聖地。

[鳥羽ラッコストーリー#1]ラッコはとっても可愛く、賢い。みんなが驚く仕草の裏にある水族館の人の想いを探る。

 

ラッコといえば?

そう、「貝」ですね。

でも、ラッコと貝の組み合わせって、

水族館ではなかなか見られないって知っていますか?

さらにでも、実は鳥羽水族館ではたくさん見られます。

なぜでしょう?

 

おいしいエサ、というだけではない。

実はいろいろな使い道があるラッコにとっての貝。

その関係を知ると、鳥羽水族館で注目できるポイントがひとつ増えます。

 

お話いただいたのは、前回に続き鳥羽水族館の飼育研究部 次長の石原良浩さん

35年前、鳥羽水族館にラッコがやって来た日から、飼育に関わってきた方です。鳥羽だけでなく日本全国のラッコ事情を知る石原さんに、ラッコの奥深さを教えていただきました。

 

<「いたずラッコ」に貝は渡せない?>

「ラッコは削ったりするのが好きなんです」と石原さん。

「水族館の水槽の素材には、ガラスとアクリルがあります。アクリルだと、ラッコが貝殻で削って、傷だらけになるんです。中がまったく見えなくなってしまう。だから、貝殻を長く持たせない水族館もあります。その点、鳥羽水族館のラッコの水槽はガラスなので、貝殻を渡しておけるんです。

まぁ、ガラスでも根気よく削られて、一箇所だけすりガラスみたいになっているところがありますが(笑)」

なるほど。「いたずラッコ」という歌もありますが、ラッコは好奇心旺盛でいたずら好きと聞きます。メイとロイズの紹介文にも「いたずら大好き」の文言が。つまり鳥羽水族館の水槽は、ラッコのいたずらに耐えられる造りなんですね。

 

ちなみに過去には、ラッコのいたずらで大変な事件もあったそうで。

「水族館が移転する前ですが、ラッコに水槽を壊されたことがあります。石を渡すとガラスを割ると聞いていたので、100kgもある大きな岩なら大丈夫だろうとオブジェとして入れていました。けれど、その岩を根気よく押して動かしたんです。壁にゴツンと当たって岩が割れる。その破片で壁を削って、樹脂を剥がし、コンクリートに穴をあけ…。野生からやってきた子たちは、気になるところを延々と削り続けていました。それで水槽がダメになって。すぐに作り直したのですが、実はふたつめの水槽も壊されてしまって(苦笑)そうしてできたのが、移転後の今の水槽です」

 

ラッコ水槽にも歴史あり。いたずらと呼ぶにはあまりに大人泣かせな事件の先に、私たちがよく知る「ラッコと貝」の姿に安心して出会える環境ができているのです。しかし、そんな人の予想を超えるラッコの根気強さにも、正直「スゴイなぁ」と感心してしまいます。

 

<おもちゃにも歯ブラシにもなる貝殻>

エサの時間になると、メイもロイズも殻付きの貝を上手に食べています。

貝の中身はもちろん美味しいエサ。

けれど、外の貝殻もラッコたちにとっては、みっつの使い道がある大切なものだそうです。

 

「まず、貝殻自体も“食べる”んです。カルシウムが摂れるし、整腸作用もあります。

それから“おもちゃ”にして、かじってみたり、前脚でいじったり、叩きつけたり。ラッコにとって前脚は、エサを食べるにも、毛づくろいするにも大切です。貝殻で遊んで前脚を使うと、器用さも養われます。

さらに“歯ブラシ”にするんですね。割った貝殻でガシガシ歯をみがいています。歯みがきにいい貝殻のサイズがあるみたいです。みなさんも運が良ければ見られるかもしれません。

ラッコの歯は、人間と同じ噛み砕く歯です。イルカやアザラシは、歯で捕まえて飲み込みます。ラッコは、細かく噛み切って咀嚼して食べる。だから、歯みがきしてキレイにしないといけません。歯が汚いのは本人たちも気持ちが悪いみたいです」

貝殻が、ラッコの栄養面、手や頭や口の健康面にも重要な役割を果たしている。ラッコと貝の組み合わせにも奥深い意味がありました。

 

<貝を集めるメイとロイズ>

鳥羽水族館のラッコ水槽の底へ目を向けると、貝殻がたくさん落ちています。

食事後の貝が捨てられている?と思えば、ここにも面白いエピソードが。

 

「メイもロイズも貝殻を集める癖があるんです。気に入った貝はポケットに入れています」

ポケット?

と思われた方、ラッコの脇の下はものを入れておけるポケットのようになっています。そこにお気に入りの貝を集めているということです。

 

「それぞれ集め方が違います。ロイズは、小さい貝殻をいっぱい集める。メイは小さい貝殻を集めて、ポケットから落ちないように大きな貝殻で蓋をします。

水槽の底に貝殻がいっぱい落ちていますが、よく見ると、ひとかたまりになっているところがあります。ポケットの貝が、まとまって落ちてそうなることがあるんです。小さい貝殻の中に大きい貝殻がひとつだけ混ざっていると、『これはメイが落としたのかな』って想像できます。そんな風に眺めてもらっても面白いですよ」

 

貝殻をポケットにしまう場面にも、運が良ければ出会えるかもしれません。

みなさんも水槽の底の貝殻から想像してみてください。メイとロイズがポケットに貝殻をしまうかわいらしい姿を。

 

Imagine all the people.

Seaotters collect shells lovely in their pocket.

ハカセ

愛知県あま市出身。日頃は、コピーライターとまちづくりと講師の三足のわらじで活動。ライフワークはラッコの魅力発信。鳥羽水族館LOVE。得意ジャンル:まちづくり、はたらく、学ぶ、ラッコ

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