ホーム 01【食べに行く】 「ここの味だけは続けたくて」港町の温かいラーメン@西口屋

「ここの味だけは続けたくて」港町の温かいラーメン@西口屋

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津市から志摩市へ、納品仕事の帰り道。

志摩市浜島へ立ち寄った。

雨に濡れる、絶妙にカラフルな漁村の風景を眺めていた。

カツオを持って歩いている、おじさんに出会った。
港町であるここ浜島に、ご当地ラーメンがあると聞いた。

時間は、お昼の1時過ぎ。
昼食はコンビニでおにぎりでも買って、帰りの車中で食べようと思っていたのだが・・。
グーと鳴った胃袋は「まぁ雨やし、ちょっとゆっくりしませんか?」と、急ぐ私にブレーキをかけた。

 

自然で心地良い、お店の人との会話。

車で数分、お店に到着。

カウンターと座敷が数席。
遅めの昼食だったので、店には私一人だった。

店のお母ちゃん:いらっしゃい!お茶にします?水にします?

明るい声で店のおばちゃんが聞いてくれた。
お茶で、と告げると・・。

店のおばちゃん:あったかいお茶にします?雨降ってきましたね。

あえて書くが、この店はお初だった。
しかしそんな感じがしない。
店の人の会話が、とても自然で心地よかった。

私:めひびラーメンが人気ですか?
店のおばちゃん:そやなぁ、元祖ラーメンも出ますよー。

決められない私。
迷っていると・・。

店のおばちゃん:めひびラーメンにチャーシューとかトッピングしましょか?
私:それ!それで。

 

ここの味だけは、続けたくて。

カウンターで見覚えのあるキャラクターに見つめられながら、店のおばちゃんとのお話しは続いていた。

私:ここはいつからやってるんですか?
店のおばちゃん:私が小学生のときに母が始めたんです。母は一年前に88歳で亡くなったんですが、凝ってる人でね。メンマも手造りにこだわってて。ネギやニンニクもとなりの畑で育てとるんです。

店のおばちゃんは、よりこさんという名前だった。
よりこさんは、小さい時から母の背中を見て育った。

私:お客さんは地元の人が多いんですか?
よりこさん:そやなぁ。でも懐かしいって言って来てくれるお客さんもいます。さっき来てくれたお客さんは「おかあちゃんおるー?」って、数十年ぶりに尋ねてきてくれました。

よりこさんのお母さんはヨネコさん。
ヨネコさんは朝起きたときから寝るまで鉢巻きを巻いている、そんな人だったという。

よりこさん:ヨネコさんは一回もお店を継いで欲しいとは言わなかったんです。でもなんか、ほっておけなくて。

よりこさんは名古屋の大学に進学。
在学中も店のことが気になり、週末には手伝いに帰ってきていた。
そしてお子さんを育てながら、母と一緒に店を切り盛りしてきた。

よりこさん:ここの味だけは続けたくて。そう私に思わせたヨネコさんは、私を上手に育てたんやと思います。

めひびの食感と細麺が、澄んだ鶏ガラスープに絡む。
懐かしくも新しい。
気がつくと私は、美味しいと何度も口に出していた。

よりこさん:ニンニク擦って、入れましょか?

よりこさんはとなりの畑でニンニクを摘み、その場で擦って出してくれた。
採れたて、擦りたてのニンニクをラーメンに投入。
味に深みが出て、やみつきになった。

そして、ついついスープを飲み干した。

私:ごちそうさまでした。美味しかったです!また来ます。
よりこさん:また寄ってなぁ。

店を出ると小雨は降り続けていた。

よりこさん:傘、お貸ししますけど。
私:大丈夫です。ありがとう。

よりこさん:雨やで運転、気をつけてなぁ。

店を出たらすぐに海がある。
少し歩こう。

海沿いは、ビン玉ロード。
夜にはライトアップも。
また、夕涼みに立ち寄ろうと思った。

ねこは雨宿りをしていた。

雨を眺める。
そんな時間も悪くない。

 


 

西口屋
三重県志摩市浜島町浜島2872-1
tel 0599-53-0574

 

 

 

 

 

yusuke.murayama

村山祐介。OTONAMIE代表。OTONA MASTER。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩と自転車。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事

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