ホーム 01【食べに行く】 孫悟空で教えてもらった、働くということ。

孫悟空で教えてもらった、働くということ。

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ずっとある、お店。

オフィスビルが多い、三重県津市の真ん中あたり。

三重県の大動脈である国道23号線沿い。

そこにずっとある、こぢんまりとしたお店。

餃子大王 孫悟空。
私が物心ついた時には既にあったが、38年間、一度も入店したことがなかった。
語弊を恐れずに書くと、イチゲンさんには入りずらい雰囲気だ。

でも、思う。
ずっと続いている小さなお店には、必ず何か秘訣があるはずだと。

 

13:30。平日の少し遅めの昼食。

店内はカウンターのみ。

お母さんと息子さんらしき方が、カウンター越しの厨房に。
お客さんはサラリーマン風の2名。
当日はとても暑い真夏日だった。

お母さん:そんな端っこより奥の方が涼しいから。どうぞ、どうぞ。

店内のテレビは甲子園の中継。
お母さんと息子さんは、熱気ある厨房で手際よく調理をしている。

私:チャーハンと餃子ください。

小さなころに、近所にあった町の中華屋といった店内。
そう言えば、こういう雰囲気の中華屋さん最近減ったなと、ふと思った。

トイレから帰ってくると、思ったより早くチャーハンが運ばれてきていた。
空腹に掻き込む。

あっさりながら、絶妙な味加減。
味に派手さはないけど、油っぽくなくサラッとおいしい。

餃子がくる前に、一気に食べきってしまった。
汗を流しながら、スープを飲み干す。

 

餃子大王たる所以

息子さん:お待たせしましたー。餃子のタレは黒い瓶ので。

私は餃子が好きだ。
特に、夏に食べる餃子が。

薄皮。
見ただけで旨そうな食感を想像した。
食欲が掻き立てられる。

おいしい。
いや、おいしい。
今まで食べた餃子で一番かも知れない。
ニンニクの効いた好みの味。
一気に完食。

絶妙なタイミングで水を交換してくれた。
なんだろう。この感覚・・。
“このお店の常連になりたい” と思った。

お店の方にお話を伺った。
店のお母さんの旦那さんが、40数年前に開業した孫悟空。
音楽家を目指し上京した、若かりし頃の滋賀県出身旦那さん。
食べるために中華屋で働いていた。
旦那さんはその後、兄弟の縁があって津市に移住したそうだ。
そしてまず、餃子などの食品加工会社を始められた。

息子さん:その当時このあたりに、まだニラが売っていなかったらしいです。多分ですが、餃子はこのあたりで一番早く始めた店だと思います。

お母さん:食品加工会社があったから、店も出してみようということでこのお店ができたんです。あ、これこれ。

レトロな袋。
ロゴも味がある。

ん!実用新案?

お母さん:旦那は餃子の他にも肉団子などの加工もしていて、肉団子製造の機械をつくったり、とにかく好奇心がありました。大門(津市の飲み屋街)でもモテてたみたい。

息子さん:何の話をしとんねん(笑)。この袋は所謂デッドストックです。当時大量にこの袋を発注したみたいで。だからこの袋は当時のもの。

ワタクシゴトで恐縮だが、家業は印刷業。大量に袋などを発注すると単価が下がる。なのでずっと使う、つまりずっとお店が続けられるという自信がなければ、通常は大量に発注しない。
旦那さんは当時、店を続ける覚悟と自信があったのだと思う。そしてそれは間違いなかったのだと。

 

もうね、死ぬまで仕事したいんです。やめれへん。

津市は三重県の県庁所在地で、お店の周りには大手企業の支店も多い。
保険会社、証券会社、銀行の役員なども、孫悟空の常連に多いという。

お母さん:もう何十年も前の話やけど、とある保険会社の方が津に転勤してきて、よく通ってくれたんです。そして津から転勤になって。そしてその息子さんがある日来てね、お父さんに津に行ったらお店に行くように言われて来たって。

息子さん:子どもの時に食べて、懐かしくて大人になって来てくれるお客さんもいます。

40数年も店をしていると、そういったご縁が日常的。
ご縁が繋がることが、お母さんは仕事をしていて一番嬉しいという。

お母さん:もうね、死ぬまで仕事したいんです。

息子さん:懐かしいって言うてくれるお客さんがいるから、やめられへんのです。

愛郷の味、想い出の味。
ひとつのお店が知る、人間模様。

 

変わらない、流されない何か。

色々とお話をさせていただいて、なんだか心も満たされた。

因みに、天津飯も絶品だと聞いたことがある。
どの料理が人気なのか、お母さんに聞いてみた。

お母さん:チャーハンかな。あと常連さんは、もやしそばが好きな方も多いです。

次回は絶対もやしそばを頼もうと、私は心に決めた。

店を出たらバケツをひっくり返したような土砂降り。
少し離れたところにクルマを駐めていた私。

息子さんは、初対面の私を「もうすぐ昼休憩だから」と、少し離れた駐車場までクルマで送ってくれた。

今日も明日も、
お母さんと息子さんは中華鍋を振り、
おいしいチャーハンがお客さんのお腹と心を満たす。

本文を書きながら、またお店に行きたなってきた。

胃袋は、正直だ。

 


 

餃子大王 孫悟空
電話:059-226-3844
営業時間:11:00くらいから14:30/17:00から20:30
定休日:日曜日
住所:三重県津市中央7-19

yusuke.murayama
村山祐介。OTONAMIE代表。OTONA MASTER。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩と自転車。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事

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