ホーム 00春 人里離れた世界遺産へ。神様に呼ばれた人だけが行けるという神社を外国人が目指す。

人里離れた世界遺産へ。神様に呼ばれた人だけが行けるという神社を外国人が目指す。

の終わり。18042745_1333427103404892_819063_o ここは三重県南部の熊野

かつては陸の孤島といわれる程であったが、
2013年、紀伊自動車道開通によりアクセスが良くなった。

とある日、
県内・県外・海外から
東京の某企業が運営するゲストハウスに、
吸い寄せられたかのように集まった面々。 18049721_1333426946738241_103371065_o 皆ほぼ初対面。

関係性は謎。

目的はそれぞれ。

 

朝食は自家製パンが絶品の喫茶「寿」

珈琲を頼むと付いてくる、
自家製無添加パンのモーニング。 18043051_1333426963404906_50086255_o焼きたてパンにかぶりつきながら自己紹介。

学生時代にパリで過ごした一人が、
「It’s like a French cafe」とつぶやいた。

 

生まれて初めてみた桜。

奥熊野を目指すことにした一行。

道中、思わず車を停めた場所があった。 18015568_1333426956738240__o熊野市の山間部に位置する神川町。

人口300人、
高齢化率58%を超える限界集落。

フェンスの向こうに見えるのは、 18049725_1333426960071573_112420026_o 神上中学校の旧校舎。 18049892_1333426966738239_204621325_o薄桃色の木造校舎に、
ピンクの桜がよく映える。 18042903_1333427093404893_67399299_o はらはらと舞う桜吹雪。 18013040_1333426943404908_111596720_o 散り積もる桜の絨毯。 18043047_1333426933404909_8532784_o たまらずに、
花びらをかき集めるメンバーがいた。

世界的に活躍するインドネシア人デザイナー
Francis Surjaseputra(フランシス・スルジャセプトラ)だ。

惜しむように花びらを、
集めては舞わす。 18012935_1333427083404894_67630936_o 生まれて初めて、
桜を見たというフランシス。

泣きそうになった

そう言っていた。

儚いからこそ、
その風景を、今この一瞬を、
心に焼き付けておきたいと願う。 18015567_1333427226738213_208909942_o

荘厳で神秘的。息を飲むほどのコバルドブルー

奈良県・三重県・和歌山県にまたがる大峡谷。 17976800_1333427630071506_121680366_o 国特別名勝の瀞峡18049573_1333427620071507_183663085_o古くから知られているというその幽水美。

荘厳な岩に囲まれ、
息をのむほどにコバルトブルー。 17949837_1333427600071509_192084960_o 断崖絶壁の上に佇む、
食堂・喫茶「瀞ホテル」

18049529_1334709133276689_1958887797_o
▲オフシーズンの営業は土日のみ

築100年以上の歴史ある老舗旅館であったが、
一度閉館。

現在は食堂・喫茶として営業を再開している。

静けさの中で、
ブランコや朽ちた吊り橋を眺めていると、
まるで時が止まっているかのよう。 18042903_1333427626738173_40093446_o

神様に呼ばれた人だけが行けるという異次元のパワースポット

目指すは、
選ばれし者しか辿り着けないといわれる玉置神社

霊峰 玉置山の
標高約1000メートルの場所に鎮座する。 18042812_1333427243404878_185720837_o呼ばれる」というのは、
急に気になったり、
何となくの流れで行くことになるような感じらしい。

実際、この日、 体調不良等で
急遽来られなくなったメンバーが数名いた。

彼女たちにとってのタイミングは
きっと「今」ではないのだろう。

玉置神社へ向かう道中は、
曲がりくねった険しい崖際の道

阻害に合うという噂通り、
通行止めにも遭遇したし、
カーナビも利かなくなった。

到着予定時間を過ぎても、
一向に着かない。

たまに車と行き交うと、
「神様のしもべなのじゃないか」
と思ってしまうほどの山深さ。

 

修験道の開祖によってひらかれた聖なる道

奈良吉野山と熊野三山を結ぶ、
世界遺産 大峯奥駈道に入った。 18015982_1333427363404866_1023779827_o修験道の修行場として開かれた道で、
1300年の伝統をもつ
熊野古道の中で最も険阻なルートだそう。

 

神様?八咫烏?そう思えてしまう不思議な空気。

玉置神社へ続く鳥居に到着。 18049449_1333427526738183_34825385_o神武天皇東征の際、
八咫烏の先導にてこの地にみえ、
「十種神宝」の「玉」を鎮め、
武運を祈願されたことから
玉置神社の名が付いたのだそう。

あまりの疲労から邪念が出て、
鳥居脇の売店のおじさんに、近道を聞いた。

「あんたら、参道は人生と同じ。近道なんてないよ。」

そうおじさんは言い、
細く険しめの道の入口を案内してくれた。

その時、私たちの足元に、華奢な蛇が横切った。

神様??

そしておじさんは八咫烏??

 

山あり谷ありの参道に、感じる人生。

景観や山道の植物を楽しみながら進む。 18015503_1333427360071533_167154326_o 玉置山の山頂にたどり着いた。 17949704_1333427346738201_55618386_o定番ルートと比べて
だいぶ回り道となったがそれが良かった。

本殿よりも先に礼拝すべき、
末社玉石社にも行くことができた。

参道は産道。

熊野には「黄泉の国」の入り口があるとされる。

更に参道脇には、枕状熔岩がみられる。 18012907_1333427500071519_62710922_o 深さ4000m以上の海底で噴出した
玄武溶質が固まったもので、
地殻変動で陸となり、 玉置山を形成。

もともとはグアムの海底だったという。

日本列島の成り立ちを物語る
貴重な資料になっているとか。

日本のルーツかもしれない。

 

熊野詣は生まれ変わり

山頂から直下9合目に位置する玉置神社。

御鎮座は約2060年前18049876_1333427343404868_123222364_o 境内にはそびえ立つ樹齢3000年の神代杉。 18042926_1333427530071516_46331119_o熊野詣は、
黄泉の国にふれ、生まれ変わり、
現世へ戻っていくという意味があるらしい。

何かが漂っていてもおかしくはない空気感。

神道と日本人の心に感銘
フランシスは静かに言った。

壮大な歴史と、
雄大な自然が調和した厳粛さに、
気持ちが浄化され、
エネルギーを得た聖地 熊野から
各々帰路につく。

結局、今日のメンツは何だったのだろう。

不思議さは残るが、
大切なのは、この日、ここに呼ばれた意味。

考えさせられる旅であった。

撮影: y_imura


■喫茶 寿
住所:三重県熊野市井戸町355-1
電話:0597-89-0459

■神川町
住所:三重県熊野市神川町

■瀞峡
住所:三重県熊野市紀和町木津呂

■玉置神社
住所:奈良県吉野郡十津川村玉置川1番地
電話:0746-64-0500

 

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