【閲覧注意】リアルモンスターハンター女子に会いに三重の山奥へ。人は毎日、生き物を食べている。

【閲覧注意】リアルモンスターハンター女子に会いに三重の山奥へ。人は毎日、生き物を食べている。

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私は今まで漁村や離島を取材することが多く、その地でしか食べられない美味しい魚介類に出会うことがあった。
では山の生活の場合、その地でしか食べられない美味しい食事はあるのだろうか。
そんなことを考えていた冬「そろそろイノシシが旬だよ。あと三重県の山間部で20代の若手女性猟師がいるよ。」と聞いた。
海ではなく、山の猟師はどんな生活をしているのだろう。旬のイノシシって!?
春に入りかけた3月、満を持して取材させていただいた。
※本記事には、イノシシの丸焼きを調理する写真が含まれています。気分を害する可能性のある方は閲覧に注意してください。

 

かつて狩猟は生きていくための手段であった。

三重県多気郡大台町へ、津市から約50分クルマを走らせた。
大台町は町全体がユネスコエコパークにも登録されている山間の町だ。

2017.03.18-13.59.24DSC_0071大台町を流れる宮川は、水質日本一を誇る。いわば自然を存分に楽しめる町。
森に囲まれていると、その壮大な景色に圧倒される。そして目には見えない緑の香り、水のせせらぐ音。感覚がクリアになっていく。

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浦谷オートキャンプ場を運営する、瀬古さん。
彼女が若手女性猟師だ。

瀬古さん:まだまだ半人前です。鉄砲がすぐに使えないときに、獲物と素手で戦ってこそ一人前です。

淡々とそう語る瀬古さん。

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本格的なプールまであるキャンプ場

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瀬古さんは瀬古家四代目の猟師だ。お父さんも現役の猟師で総合建築の会社を経営している。ちなみにこのキャンプ場を作ったのもお父さん。お母さんは大台町でシカやイノシシなどの食肉を販売する、鳥獣屋を営んでいる。

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瀬古さん:猟には鉄砲と罠(わな)がありますが、私は鉄砲。いろんな説がありますが、罠は捕らえてから捕獲しに行くまで時間がかかり、その間にイノシシの体に血がまわってしまいます。でも鉄砲だと捕らえてからすぐに処理をするので、美味しい状態で肉を残すことができます。

どこかで聞いたことのある話だと思った。

瀬古さん:処理するのが早い方がいいのは、魚も同じでしょ。あと、頭を落としておなかを開いて処理をするのも、魚と同じ。

淡々と語る姿に驚いてしまったが、よくよく考えたら魚を食べる日本の食文化に育った私なので驚いているだけで、狩猟の食文化の方からしたら普通のことなのかもしれない。
以前、欧米の方と鯛を捌いたが、その方は始めて魚を捌いたらしく、今回の私と同じようなリアクションをしていたのを思い出した。

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お父さん(瀬古 稔さん)にもお話しを伺った。
先代(お父さんの父)の時代から、イノシシやシカが食肉として売れるようになったが、その前の時代は自分達が食べるための食材として狩猟を行っていたそうだ。
当時、この辺りにあった10数軒は農家などをしながら、みんな狩猟をして暮らしていたという。捕らえたイノシシはみんなで分けていたらしい。
獣害対策ではなく、かつて狩猟は生きていくための手段であった。

 

山の中を猛ダッシュ!GPS狩猟とは!?

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狩猟に同行させていただくことになった。
因みに鳥獣屋では狩猟ツアーも行っている。

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二匹の猟犬を山に放つ。猟犬は、鋭い嗅覚などでイノシシやシカを見つけ追いかける。

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猟犬には首輪にはGPSのセンサーが取り付けてあり、猟師はGPS受信機の動きを見て位置を特定できる。そしてGSP受信機で猟犬の動きの速さや移動する方向などを確認し、シカなのかイノシシなのかおおよそ見分けることができるという。ジモトの山に精通した猟師なので、猟犬が獲物を追いかけている場所に先回りしたりして、鉄砲で仕留めるという狩猟スタイルだ。ちなみに、このような狩猟スタイルの名称をお父さんに伺ったが、GPSを使った狩猟は最近始まったので名称は知らないとのこと。

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GSP受信機を見ながら、「ここだ!」というポイントを掴むと、細い山道を軽トラで走る。

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そしてクルマを降りて、GPS受信機を再度確認。最終ポイントが定まると、一点をめがけて一目散に山の中をダッシュ。一分一秒が勝負の世界。

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私はまさか山の中をダッシュするとは思っておらず、お父さんについていくのがやっとだった。
しかし、すぐにイノシシは見つからない。

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ヌタと言われる、イノシシが体のノミなどを落とす水たまり。どれくらい前にイノシシがやってきて、どっちに向かったのかなどを細かくヌタをチェック。

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この後、1時間くらいポイントを変えながら山の中を当たったが、イノシシとは出会えず。

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今日の猟犬の動きだと狩猟場所が遠く、日が暮れる可能性もあるので私はお父さんの軽トラでキャンプ場に戻ることになった。そしてお父さんは再び狩猟に出かけていった。

 

海も山も川もある三重の魅力。イノシシの丸焼き!?

今回の取材でもう一つの狙いがあった。イノシシの丸焼きだ。最近、鳥獣屋さんはイノシシの丸焼きができる器具を開発したと聞いた。
実はキャンプ場には、岡崎市からきたファミリー集団のお客さんがイノシシの丸焼きをすると事前に聞いており、取材に快諾いただいていたのだった。

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当日までビビり性の私は内心 “どこまで処理されたイノシシ肉が準備されているのだろう。まさかその場で一から・・・” と不安であったが、大きい鶏の丸焼きのような形状で少し安心した。

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滴る油。厚さ1mm前後の脂肪を残して皮を剥ぐ作業には、熟年のスキルが必要。

鳥獣屋さんでは、自然のものなので丸焼きは約束できないが、部位やどこまで処理をして欲しいなど、お客さんの要望に対応してくれるらしい。

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こちらの丸焼き機は岡崎から来られたお客様が持参したもの

普段、一体丸ごと肉料理が食事にでてくることはまずない。こうして一体丸ごとの肉をみていると、当たり前だが、私たちは毎日、生き物を食べているのだと実感する。

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焼けるまで結構時間がかかる。火を囲みながら岡崎市からきた方と少しお話しさせていただいた。
キャンプ好きの方で、三重(紀北や大台)に良く来られるそうだ。海も山も川もある三重はキャンプに行くのにとてもいい場所で、道中に地元食材を準備したりするのも楽しいとのこと。

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そして今回のように、イノシシの丸焼きを自分達で調理して食べられるところは早々なく、こうやっていのちをいただくことを実感できるのは、子どもの食育にも繋がるとお話しいただいた。
キャンプに来ていた子どもたちは、意外とイノシシの丸焼きに驚かない。幼児の子どもも平気で開かれたイノシシのお腹を見ている。馴れているせいもあるのだろうが、小学生の子どもは「イノシシのリブ肉がうまい。楽しみ。」とも言っていたのが印象的だった。

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「シシ肉、焼けたよー!」と普段聞き慣れない言葉。

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僭越ながら少しシシ肉を分けていただいた。
絶句した。私はグルメではないが、パリパリの皮、サラッとした甘味のある脂、とても柔らかくジューシーな肉。私は牡丹鍋くらいしかシシ肉を食べたことがなかったが、驚くほど美味しかった。そして丸焼きなので色んな部位を食べることができる。首元のお肉は、サラサラした豚トロのようで絶品だった。臭みなんて全くない。これが森を駆け廻っている天然の肉の味なのかと、深く感銘を受けた。

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みるみるうちになくなっていくシシ肉。そして日が暮れるころには完食。
残すことなく、いのちをいただくことが一番大切だと実感できた。

 

いのちの大きな循環を感じた。持続可能な循環。

今回、狩猟に同行させていただいたり、イノシシの丸焼きを取材させていただいて、いのちの大きな循環を感じた。持続可能な循環。

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ハンモックもあるキャンプ場
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気持ちよさそう♪

海山川の自然に恵まれた三重県。その人工物ではない魅力に引き寄せられて県外からやってくる方々。森が育てたいのちを食べることを実感するこどもたち。

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海の漁師や山の猟師など、いのちと向き合う人の目は澄んでいるとともに、その奥に深い説得力を感じる瞬間がある。

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いのちをかけて仕事をしている猟犬の目にも、そう感じた。

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日が暮れた。そろそろ帰ろう。そういえば今晩は家族が外出していて夕飯がない。私の一人メシの定番であるジャンクフードは、今日は食べる気になれなかった。

 

おまけのお話し

取材当日のお昼に、せっかく大台まで来たのだからと、ウワサのイケメン移住者がつくっているダムカレーを食べました。

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なるほど!ダムカレーって、ごはんがダムってコトだったのですね。
イケメン移住者:ダムを決壊して食べてくださいね!
うん!ホロホロと口の中で解ける鹿肉も美味しい。
さて、気になるイケメン移住者の詳細は、OTONAMIEキャスターマミさんのこちらの記事でチェック!

 


 

取材協力

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鳥獣屋
add:三重県多気郡大台町上真手437-1
tel:0598-76-0044
hp:http://www.ma.mctv.ne.jp/~f-style1/
fb:https://www.facebook.com/鳥獣屋浦谷オートキャンプ場-1586982504936528/

 

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浦谷オートキャンプ場
add:三重県多気郡大台町小切畑857-2
tel:同上
hp:http://www.ma.mctv.ne.jp/~f-style1/o-tokyanpu.html
fb:同上

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※キャンプ場には、ホタルの季節にも多くの観光客が訪れるとのこと。三重の山へ行ってみよう!

 

yusuke.murayama
村山祐介。OTONAMIE代表。OTONA MASTER。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事

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